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2024.12.18

製造業における品質目標とは?6つの具体例と目標達成のポイント

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製造業において、品質目標の設定は、企業の競争力向上と持続的な成長に不可欠な要素です。 効果的な品質目標を設定し、確実に達成するためには、体系的なアプローチと具体的な実行計画が必要です。

この記事では、品質目標の基本的な考え方から、具体的な目標例、設定方法、そして目標達成のための重要なポイントまで詳しく解説していきます。

品質管理に携わる方々や製造現場のマネージャーの方々は、ぜひこの記事を参考に品質目標を設定してみてください。

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目次

製造業における品質目標とは

製造業における品質目標とは、製品やサービスの品質を向上させるために設定される具体的な目標のことです。
品質目標は、企業の品質方針や経営戦略と密接に関連し、以下のような役割を果たします。

 

【品質目標の役割】

  • ・品質向上の方向性を示す
  • ・技術者の意識統一と動機付け
  • ・進捗管理のためのベンチマーク
  • ・顧客満足度の向上
  • ・コスト削減と効率化の促進

 

役割からもわかるとおり、品質目標は製品の物理的特性だけでなく、生産プロセスや顧客サービス、環境への配慮など、企業活動のさまざまな側面におよびます。

 

関連記事:
>>品質管理と品質保証の違いとは?品質向上に向けての課題と対策についても解説

製造業における品質目標の具体例

品質目標は、製造業の分野や企業の状況によってさまざまですが、イメージしやすいようにいくつか具体例を紹介します。

具体例①不良品率の低減

生産された製品のうち品質基準を満たさない製品の割合を指す、不良品率の低減を品質目標として設定する際の具体例です。

 

「今年度末までに、不良品率を現在の3%から1.5%に半減させる」
「6カ月以内に、最終検査での不良品発見率を10%から5%に削減する」

 

このような品質目標を設定することにより、生産プロセスの改善や品質管理システムの強化につながります。

具体例②顧客満足度の向上

製品やサービスに対する顧客の評価を数値化した、顧客満足度を品質目標として設定する際の具体例です。

 

「顧客満足度調査のスコアを、現在の75点から1年以内に85点に向上させる」
「製品の使いやすさに関する顧客評価を、5段階評価で平均4.2から4.5に上げる」

 

この目標は、製品の品質だけでなく、アフターサービスや顧客対応の改善にもつながります。

具体例③納期遵守率の改善

納期内に製品を納入できた割合を示す、納期遵守率を品質目標として設定する際の具体例です。

 

「納期遵守率を現在の92%から、6カ月以内に98%まで向上させる」
「緊急オーダーの納期遵守率を、3カ月以内に100%達成する」

 

このような品質目標を設定することにより、生産計画の最適化や物流システムの改善につながります。

具体例④環境負荷の低減

環境に配慮した製造プロセスの実現を品質目標として設定する際の具体例です。

 

「製造工程でのCO₂排出量を、1年以内に現在比20%削減する」
「リサイクル可能な材料の使用率を、2年以内に60%から80%に引き上げる」

 

このような品質目標は、持続可能な製造プロセスの構築と企業の社会的責任の遂行につながります。

具体例⑤生産効率の向上

投入された資源に対する生産量の比率を表す、生産効率を品質目標として設定する際の具体例です。

 

「生産ライン1台あたりの1時間の生産量を、6カ月以内に15%増加させる」
「段取り時間を現在の平均45分から30分に短縮し、3カ月以内に定着させる」

 

このような品質目標の設定は、コスト削減と生産性向上につながります。

具体例⑥品質管理スキルの向上

技術者の品質管理スキル向上を品質目標として設定する際の具体例です。

 

「全製造部門の技術者の80%が、1年以内に品質管理基礎認定を取得する」
「品質管理研修の受講率を、6カ月以内に現在の60%から100%に引き上げる」

 

このような品質目標を設定することで、組織全体の品質意識向上と人材育成につながります。

製造業における品質目標の設定方法

このような製造業における品質目標は、どのような手順で設定すればよいのでしょうか?
効果的な品質目標を設定するためには、系統的なアプローチが必要です。
ここでは8つのステップに分けて解説します。

ステップ①現状分析

まず、現状分析から始めることが重要です。

 

生産実績や不良品率、顧客フィードバック、市場シェアなど、関連するデータを収集し、改善が必要な領域や潜在的な問題点を洗い出しましょう。

 

また、業界標準や競合他社との比較を行い、自社の位置づけを明確にするベンチマーキングも有効です。

ステップ②企業方針との整合性確認

次に、企業方針との整合性を確認します。
品質目標は、企業全体の方針や戦略と一致している必要があるからです。

 

経営ビジョンを再確認し、既存の品質方針が現在の状況に適しているか検討しましょう。
さらに、他部門の目標や計画と矛盾がないか確認することで、全社的な整合性がとれます。

ステップ③SMART基準に基づく目標設定

品質目標は、抽象的な理想ではなく、明確で実現可能な形で設定することが重要です。
そのためには、SMART基準にしたがって設定しましょう。

 

SMART基準とは、具体的(Specific)で、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性がある(Relevant)、期限がある(Time-bound)ことを意味します。

ステップ④目標の階層化

大きな品質目標は、より小さな、管理しやすい目標に分解することも重要です。

 

まず企業全体の品質目標を設定し、それを各部門に落とし込み、さらに個々の技術者の目標まで展開します。
この階層化により、全社的な目標と個人の行動を紐づけることができます。

ステップ⑤関係者との合意形成

品質目標の実現には、関係者全員の理解と協力が不可欠です。
設定した目標について経営陣の承認を得るとともに、全技術者にその目標と重要性を周知しましょう。

 

また、目標に対する意見や懸念を収集し、必要に応じて調整することで、より実効性の高い目標設定が可能になります。

ステップ⑥実施計画の策定

品質目標を達成するためには、具体的な行動計画を立てることも重要です。

 

目標達成に必要な活動を具体的に列挙し、それに必要な人材や予算、設備などのリソースを割り当てます。
さらに、各活動の実施時期と期間を明確にしたスケジュールを設定することで、計画的な目標達成が可能になります。

ステップ⑦モニタリング体制の構築

品質目標の進捗を定期的に確認するためのモニタリング体制も構築する必要があります。

 

目標の達成度を測定するためのKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的な進捗報告の仕組みを構築しましょう。

また、目標の進捗を確認して必要な対策を議論する会議を設定することで、継続的な改善が可能になります。

ステップ⑧柔軟な見直しと調整

最後に、環境の変化に応じて目標を見直し、調整することも重要です。

 

設定した目標の妥当性を定期的に再評価し、市場動向や技術革新などの変化に応じて目標を調整しましょう。

また、達成した目標はさらに高いレベルの目標に更新することで、継続的な改善を促進できます。

製造業における品質目標を達成するためのポイント

製造業における品質目標を達成するためには、いくつか重要なポイントがあります。

ポイント①全社的な品質文化の醸成

品質目標を達成するには、全社的な品質文化の醸成が不可欠です。

 

経営陣が品質管理の重要性を明確に示し、品質方針を全技術者に周知して理解を促進します。

さらに、品質管理に関する研修や勉強会を定期的に実施し、品質改善の成功事例を社内で積極的に共有することで、組織全体の意識を高めることができます。

ポイント②技術者の参画と能力開発

技術者の参画と能力開発も、品質目標達成の鍵となります。

 

自主的な品質改善活動を行う品質サークル活動を推進しましょう。
技術者からの改善提案を積極的に募集して、優れた提案を表彰・実施することで活動を活性化させられます。

 

さらに、技術者のスキルレベルを可視化し計画的な能力開発を行うスキルマップの活用や、部門を越えたクロスファンクショナルチームの結成により、多角的な視点で問題解決に取り組むことができます。

ポイント③効果的な品質管理システムの構築

品質目標を達成するには、効果的な品質管理システムの構築も重要です。

 

ISO 9001などの国際規格に基づいた品質マネジメントシステム(QMS)を導入し、製造プロセス全体を一連の流れとしてとらえるプロセスアプローチを採用します。

 

また、問題が発生する前に潜在的なリスクを特定し対策を講じる予防的アプローチを重視することで、より効果的な品質管理が可能になります。

 

関連記事:

>>QMSは本当に意味がない?重要性や活用ポイントを簡単に解説

ポイント④継続的改善活動の実践

品質目標を達成するには、継続的改善活動の実践も重要です。

 

計画(Plan)、実行(Do)、確認(Check)、改善(Act)のPDCAサイクルを徹底し、日々の小さな改善を積み重ねる改善活動を推進し、優れた事例は社内で共有しましょう。

さらに、社内だけにとどまらず、業界内の優れた事例を研究して自社の改善活動に活かすことで、より継続的な品質向上を実現できます。

ポイント⑤先進技術の活用

先進技術の活用も、品質目標達成を加速させる重要なポイントです。

 

製造設備にセンサーを設置してリアルタイムにデータを収集・分析するIoT(モノのインターネット)技術や、大量のデータから傾向や異常を検出するビッグデータ分析、製造プロセスを最適化する人工知能(AI)など、最新のテクノロジーを積極的に活用しましょう。

 

そうすることで、品質管理の精度と効率を飛躍的に向上させることが可能です。

最後に

設備管理クラウドサービスMENTENA

この記事では、製造業における品質目標の定義から具体例、設定方法、達成のポイントまで解説してきました。
目標を達成するためには、企業方針との整合性を保ちつつ、SMART基準に基づいた具体的な計画を立てて、継続的な改善活動を実施する必要があります。
さらに、より大きな目標を達成するには、全社的な意識向上や先進技術の導入も重要です。

 

品質目標達成のために先進技術の導入を検討される際には、ぜひクラウド型設備管理システム「MENTENA(メンテナ)」をチェックしてみてください。
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MENTENA編集部

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MENTENA編集部

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