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2024.08.01

現場帳票を電子化するメリットは?製造業で取り組むDX化について徹底解説

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昨今、各業界で推進されているDX化。現場帳票など、紙で記録している情報をデジタル化し、より良いプロセスに変えていくことで、多くのメリットが得られます。しかしながら、日本の製造業界ではまだまだ多くの企業でDX化が進んでいないのが現状です。そこで今回は、日本の製造業におけるDX化の現状やDX化が進まない理由について徹底解説。現場帳票を電子化して活用するシステムのメリットと効率的に電子化する方法、そして実際に電子化した活用事例までを一挙にまとめてご紹介します。

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目次

DX化とはどのような意味を持つ?

「DX」とは、デジタルトランスフォーメーションの略称です。近年では、システムのIT化に加えてAI(人工知能)やIoT(モノをインターネットとつなぐ技術)などのデジタル技術が急速に発展しています。

 

「DX化する」とは、企業が社会的に進んでいる電子化の動きに対応した組織へと変革すること。DX化した企業は、現代社会や顧客のニーズに適応した体制を確立するとともに、今後の社会競争上でも優位に立てるでしょう。

製造業におけるDX化の推進とは

製造業においてのDX化とは、デジタル技術を取り入れて業務を効率化し、製品を利用した顧客の生活や社会をよりよいものへと変革することを指します。現状、まだまだアナログな体制が定着している製造業。DX化は、製造業の成長に重要な選択肢の1つと言えます。

 

製造工程にデジタル技術を取り入れた場合、電子データによる一元管理が可能です。現場の作業進捗の管理などがスムーズに進むだけでなく、すべての技術者に情報を共有しやすくなります。

 

また、既存のやり方や技術を電子データとしてまとめるためにマニュアル化することで、作業の標準化が実現。作業者による生産速度や品質のばらつきが少なくなります。既存のやり方を電子マニュアル化することで改革すべきプロセスを見極める重要な資産となり、DX化の成功の可能性が高まります。

 

DX化に向けた動きを推進し続けて、業務プロセスのムダな箇所を改良していくことで生産体制と品質が安定。製造業にとって重要な生産性の向上にもつながるでしょう。

 

製造業にDX化が必要な理由

製造業がAIやIoTといった技術が急速に発展している現代の社会に適応していくためには、DX化に向けた動きが必要不可欠です。特に、職人技で生き残ってきた製造業は、従来通りの体制のままではデジタル化していく社会に追従できず、経営破綻する可能性が懸念されています。現状の品質やサービスを維持しながら競争社会を生き抜くためには、DX化による体制改革が必須条件といえるのです。

 

また、DX化の推進は、新たな技術開発を促す役割も果たします。製造工程に機械やロボットなどを取り入れて省人化を図ることで、人員をより付加価値の高い仕事に集中できるのです。製造業のDX化は、デジタル化が進む今後の社会に適応するためだけでなく、人材不足が問題視される企業のさらなる発展にも必要な動きといえるでしょう。

日本での製造業DX化の現状

総務省が公開している「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」によると、製造業界において2021年時点でDXの取り組みを行っている企業は全体の22.8%。2018年時点の15.7%、2019年時点の19.4%を踏まえると、少しずつDXに取り組む企業が増えてきていることがわかります。

 

しかし、もっとも高い水準でDX化を図っている情報通信業の割合は2021年時点で45.0%となっており、製造業界では、今後さらなる拡大に向けて注力していく必要があるといえます。

 

また、業種に関わらず大企業ではDXに取り組んでいる割合が42.3%、中小企業ではわずか13.8%との結果が出ています。企業の規模によってDX化の進捗に差が生まれているといえるでしょう。

SQ9(DXの取り組み状況)
参照元:総務省「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/r03_02_houkoku.pdf

 

(出典)
文部科学省|AIってなに?
独立行政法人 情報処理推進機構|IPA DX白書 2023 進み始めた「デジタル」、進まない「トランスフォーメーション」
株式会社情報通信総合研究所|デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究の請負 報告書

 

日本の製造業界でDX化が進まない4つの原因

急速にデジタル化が進んでいる社会へ適応するために必要不可欠である製造業のDX化。しかし、まだまだ多くの企業において、DXへの取り組みが十分とは言えません。
日本の製造業界でDX化が進まない理由として考えられる主な4つの原因をまとめました。

DXに取り組もうとする文化や風土がない

同じく総務省の資料によると、製造業において2021年時点で「DXに対する取り組みを実施しておらず、今後も実施する予定がない」と回答した企業は全体の半数以上である57.2%でした。製造業では、まだまだDXに取り組む文化や風土がない企業が多いことがわかります。

 

さらに、業種に関わらず「今後もDX化する予定がない」と回答したのは、大企業で39.5%、中小企業で68.6%という結果でした。大企業より中小企業のほうが、従来の生産体制を変革する意向を示していないのです。

 

今後のデジタル化さらに進む社会に適応していくためには、経営者が率先してDX化に向けた体制を検討していく必要があるでしょう。

 

SQ4×SQ9(創業時期別のDXの取り組み状況)②

参照元:総務省「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/r03_02_houkoku.pdf

 

DXに対する社内理解度が低い

社内全体にDX化への理解が深まっていなければ、経営者がいくらDX化を進めようとしても失敗する恐れがあります。なかには、DX化を推進した業務改革を行うことで業務負担が増えると考える技術者もいるかもしれません。

 

まずは、「デジタル化が進む社会に適応した体制が確立し、さらなる企業発展につながる」というDX化の目的を全社員に浸透させることが大切です。また、機械の導入による作業負担の軽減、業務の効率化による残業時間の削減など技術者に直接もたらす効果も周知しておくと、すべての社員が前向きに取り組みやすくなるでしょう。

 

DX化・IT化を推進する人材の不足

DX化に向けた取り組みを行いたいと考えていても、DX化を推進する方法やデジタル機器を扱うための専門知識がなければ実現できません。DX化・IT化に精通した人材の確保は、企業の規模に関わらずDX化を進めるうえでの大きな課題となっています。

 

製造業だけでなく社会全体でITリテラシーの高い人材への需要が高まっている現状では、部門ごとにDX化・IT化に詳しい人材を確保することは難しいでしょう。そのため、部門の垣根を越えて全体を俯瞰して管理できる人員を探すことが大切です。新規採用が難しい場合には、DX化の先導に特化した人材を社内で育成しましょう。

 

予算不足により実施困難

DXの導入を検討している中小企業では、予算不足が大きな課題となっています。DX化を図るためには、既存の製造システムからデジタル化に対応した製造システムに刷新しなければなりません。最先端の機械やロボットを導入する際には、多くの投資費用がかかるでしょう。そこで、支援制度を活用するのがおすすめです。

 

2024年現在、DX化を推進する際にはIT導入補助金やものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金などの制度が利用可能です。また、地域特有の補助金・助成金制度を備えている自治体もあります。中小企業を支援する補助金・助成金制度を活用することで、DX化に向けた動きも起こしやすくなるでしょう。

 

(出典)
独立行政法人 中小企業基盤整備機構|中小企業のDX推進に関する調査(2023年)
株式会社情報通信総合研究所|デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究の請負 報告書
経済産業省|製造業の企業変革力を強化するデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
独立行政法人 中小企業基盤整備機構|IT導入補助金2024

 

現場帳票の電子化による製造業のDX推進

製造業でDX化を進める方法は、生産ラインに機械やロボットを導入するだけではありません。製造現場において、紙で管理している生産管理や在庫管理、現場帳票などのデータは、電子化が可能です。

 

今回は、電子化できるデータのなかでもさまざまな種類がある現場帳票に焦点を絞り、電子化するメリットとその方法、実際の事例をご紹介します。

 

(出典)
国税庁|記帳や帳簿等保存・青色申告

現場帳票とは?

帳票とは、企業の経営活動に関わっている帳簿と伝票の総称です。具体的には、仕訳帳・総勘定元帳・見積書・請求書・納品書などを指します。これらは、製造業以外でも広く扱われている書類です。

 

製造業においては、前述した帳票以外にも製品取引に関する書類や製造プロセスを記した書類も含まれます。例として、作業指示書・作業日報・現品票・出荷指示書・設備点検表・製品入庫伝票・出来高報告書・作業伝票といった書類があり、現場帳票とも呼ばれるのです。

 

帳票類は、法律によって保管が義務づけられているため、期間を過ぎるまで欠かすことなく書類を管理し続けなければなりません。さまざまな種類がある製造業の帳票は、年数を経ることで膨大な量となります。紙での管理は非効率的であるといえるでしょう。

 

現場帳票を電子化するメリット

現場帳票の電子化は、製造業に多くのプラス効果をもたらします。
4つのメリットをまとめたので見ていきましょう。

業務の効率化を図れる

現場帳票の電子化は、業務の効率化を図れます。紙で帳票を作成する場合には、フォーマットの原紙をコピーして記入していました。電子帳票システムを導入すれば、タブレット端末やパソコンに直接データを打ち込むだけで完成します。作業が簡略化されるだけでなく、印刷しなくて済むことで管理工数も減らせるでしょう。

データを活用しやすい

保管しているデータをいつでも確認しやすくなる点も大きなメリットです。現場帳票を紙で管理していると、保管場所に出向いて膨大な資料のなかから必要な情報を探し出さなければなりません。電子化しておくことで、すべてのデータを時間・場所に関係なくパソコンやタブレット端末から見られるようになります。蓄積したデータを確認・分析する際にもあらためてまとめ直す必要がないため、効率良くデータ活用できるでしょう。

データを安全に管理できる

現場帳票の電子化は、セキュリティ面の強化にも効果的です。現場帳票を紙で管理することは、複写や無断で持ち出されるリスクを伴っています。だれが情報を知り得ているかわからない点も、紙で運用を行うデメリットといえるでしょう。

 

電子化することで、保存したファイルにパスワードをつける、閲覧履歴が残る設定にするなどのセキュリティ対策が可能です。技術者がいつ、どの資料を確認したかまで把握できる電子帳簿システムは、情報漏洩のリスク低減につながるでしょう。

コスト削減につながる

電子化を進めることで、コスト削減にもつながります。紙の現場帳票を作成する際には、用紙代や印刷代、インク代、ファイル代、郵送費、書類の処分費用などがかかっていました。これらの経費は、電子帳票システムによる帳票の作成・送付によってすべて削減可能です。さまざまな種類の書類を抱える製造業においては、ペーパーレス化によって大きなコスト削減効果が得られるでしょう。

現場帳票を電子化する方法

現場帳票を電子化する手段としては、2つの方法があります。それぞれのやり方を詳しく解説しましょう。

エクセル・PDFの活用

1つ目の手段は、エクセルで入力してPDFにまとめる方法です。紙のコスト削減になるだけでなく、フォーマットを作成しておくことで効率良く作業ができます。エクセル・PDFソフトさえあれば、追加コストをかけることなく現場帳票の電子化が実現するでしょう。

 

エクセルとPDFを活用した現場帳票の作成は、以下の手順で行います。

 

  1. 現場帳票のフォーマット作成
    発行日、取引先の企業名、担当者名、連絡先、取引数量、取引金額などの必要項目を入力する。
  2. フォーマットのコピー、内容入力
    フォーマットをコピーして、項目の内容を入力する。
  3.  PDFファイルで保存
    エクセルで作成した資料をPDFファイルに変換したのち、保存する。

 

エクセル・PDFを活用した現場帳票作成のデメリットは、フォーマット作成に手間がかかることです。だれもがわかりやすいと感じるフォーマットを作り上げるためには、実際に使って改良を重ねる必要があるでしょう。

 

また、現場帳票を電子化する際には、電子帳簿保存法の要件を満たしておく必要があります。必要となる項目は事前に確認して、漏れがないようにしておきましょう。

 

電子帳票システムの導入

2つ目の手段は、電子帳票システムの導入です。電子帳票システムとは、現場帳票の作成から送付、管理までを一括してできるサービス。カスタマイズも可能となっており、既存のフォーマットを活用できるものが多くなっています。フォーマットを作成する手間がなく、必要な項目内容を入力するだけで済む点が電子帳票システムのメリットです。

 

また、電子帳票システムには電子帳簿保存法に則って作成できるものが多く存在しています。指示に従うだけで必要な要件を満たせるため、円滑に電子化が進むでしょう。

 

(出典)
国税庁|電子帳簿・電子書類関係

 

現場帳票を電子化する進め方

現場帳票の電子化を進める際には、以下の4つの段階を押さえておく必要があります。

 

  1.  現状把握
  2. 電子化による影響の確認
  3. システム選定
  4. 導入体制の確立

 

現場帳票の電子化を効率良く進めるためには、現状の業務把握が欠かせません。現場帳票の作成・閲覧・保存といった業務のなかで、改善したい点を見つけておきましょう。
ただし、さまざまな種類がある現場帳票を一度にすべて電子化することは困難です。電子化したことによる業務への影響も踏まえて、優先して電子化する書類を選定しましょう。

 

電子帳票システムによっては在庫管理や販売管理を行うシステムと連動させることも可能です。現場帳票のデータを手動で転記している場合は、業務の効率化を図れます。電子帳票システムごとにできる機能が異なるため、自社の条件に合ったものを選定することが大切です。

 

導入するシステムが決定したら、導入体制を整えておきましょう。電子帳票システムの操作マニュアルを作成し、研修やセミナーによって操作方法を周知します。トラブルに対応できるチームまで設けておくことで、スムーズな運用が実現するでしょう。

現場帳票を電子化した事例

当社では、ペーパーレスや脱エクセルが実現できるクラウドサービス「MENTENA(メンテナ)」を提供しています。「MENTENA」は、現場帳票をはじめとした膨大なデータの一元管理が可能です。作業負担が軽減するだけでなく、必要な情報をすぐに抽出できる管理体制が確立します。

 

実際に「MENTENA」を導入したパナソニックエコテクノロジーセンター株式会社さまでは、電子化を行ったことで、紙による情報のやりとりを廃止するというDX化を実現しました。これにより伝達ミスを軽減することができました。導入や運用支援により、システムをゼロから構築する必要がなかったことも導入の後押しとなっています。現場帳票のみならず、保全業務全般の情報形式を統一して蓄積することによって、だれもが柔軟に対処できる体制ができつつあるようです。

 

関連記事:
パナソニックエコテクノロジーセンター株式会社|MENTENA

最後に

日本の製造業におけるDX化の現状や、DX化が進まない理由、現場帳票を電子化するメリットと電子化する方法、実際に電子化を行ったプロセス改革の事例までをご紹介しました。現場帳票の電子化は、製造業においてDX化を進める第一歩となります。帳票データが膨大になって収拾がつかない場合は、DXを推進するチームを設けて実現可能な範囲から着手することが大切です。電子帳票システムをうまく活用し、デジタル化が進む現代社会に適応した企業体制を確立したい企業さまを当社の「MENTENA(メンテナ)」はご支援します。お気軽にご相談ください。

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MENTENA編集部

執筆者

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製造業向けの業務効率化・業務改善に役立つコラムやセミナー、および有益な資料を通じて、実践的な情報を提供しています。最新のツールの使い方や業界の情報・トレンドを継続的に発信することで、製造業の皆様にとって信頼できる情報源となることを目指しています。

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