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2024.07.04

標準作業とは?ものづくりの基盤となる3要素と目的、効果、取り組み手順を徹底解説

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「標準作業について詳しく知りたい!」製造業の現場に従事している方で、このような思いを抱いている方はいませんか?標準作業は、製造現場の作業効率アップに大きな役割を果たす要素です。標準作業の意義を十分に理解して取り入れることで、企業にとって多くの成果が得られるでしょう。そこで今回は、標準作業とは何なのか、目的や効果、取り組み手順などをまとめて徹底解説します。

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目次

標準作業とは

そもそも標準作業とは何か。ここではまず、標準作業の意味を確認し、混同しやすい「作業標準」との違いを解説します。

標準作業が意味することとは

標準作業とは、無駄をなくし、高品質な商品をより早く安全に製造するために行う作業のことです。「人の動き」「もの」「設備」という3つの要素をもっとも効率良く連動させる組み合わせを考案し、実行します。標準作業を構築したうえで業務を進めることは、作業効率が重視される製造業の現場において重要なポイントです。

作業標準との違い

標準作業と似た用語に「作業標準」があります。「標準」と「作業」と順番が逆で混同しやすいですが、意味は異なります。
一言でいうと、標準作業は具体的な作業の手順や方法ですが、作業標準はそうした作業の基準やルールといった点で違いがあります。

 

自動車部品の製造ラインを例に説明します。「部品Aを3秒以内に取り付け、次に部品Bを同じ位置に配置する(手順・方法)」というのが標準作業です。一方で、「部品Aはこのサイズ・形状であり、取り付ける際はこの強度で締め付けなければならない(基準・ルール)」というのが作業標準です。

標準作業の目的とは

製造現場の作業効率アップに必要不可欠な標準作業。具体的には、どのような目的で行うのでしょうか?標準作業を行う2つの目的について詳しく解説します。

目的① 製造現場のルールを明確化する

標準作業を設定すると、製造現場のルールが明確に定められます。商品の製造に取りかかる前の段階でルールをはっきりさせておくことで、個体差によって生まれる作業手順や管理方法の違い、作業にばらつきが生まれるといった認識の違いから生じる無駄を削減できます。さらに、無駄を省くことによって、業務の効率アップにつながるでしょう。

目的② 改善ツールとして活用する

現場全体の共通認識として標準作業を定めることで、業務が適切に進められているか判断しやすくなります。作業者全員が問題点に気付くための改善ツールとして標準作業を活用することで、さらに効率が向上するでしょう。

標準作業の3要素とは

標準作業を効果的に活用するには、3つの要素を明確に打ち出しておく必要があります。標準作業で重要な3要素を押さえておきましょう。

要素① タクトタイム

タクトタイムとは、1つの部品や製品の製造にかける時間のこと。タクトタイムに合わせて作業を行うことで、時間を意識した効率的な動きへと変わります。決められた枠内で作業しなければならないので、無駄な時間が減り、稼働率の向上につながります。
タクトタイムの計算式は、「稼働時間÷必要生産数」。タクトタイムは、必要な生産数をクリアするためにも重要な要素となります。1サイクルにおける余裕率の見込みは立てず、タクトタイム内で付帯作業まで終わらせるようにしましょう。

要素② 標準手持ち

標準手持ちとは、必要最小限の仕掛品数のことを指します。仕掛品は、同じ手順で繰り返し作業が行えるように工程内でつくっておく未完成な製造品を指します。標準手持ちは、製造現場のレイアウトや作業順序を考慮して決めることが重要です。標準手持ちが多すぎるとつくりすぎてしまい、作業スペースの圧迫、次の工程での作業ロスにもつながります。標準手持ちに達した場合には、作業を止める必要があるのです。
反対に、標準手持ちが少なすぎた場合には、作業待ちが生まれてしまうため生産性が下がります。1つの工程にかかる時間も十分に考慮したうえで、適度な数を設定しましょう。

要素③ 作業順序

作業順序は、効率的に作業を進められる順番のこと。運搬・加工・組み立てといった各作業をどのような順序で進めるか検討します。ポイントは、だれが実施しても効率良く進む流れであること。実際の製造現場で作業する技術者の意見を十分に取り入れる必要があります。
より効率のよい順序で進めることで、無駄な作業の排除や製造時間の短縮につながるでしょう。

標準作業で作成する3票(表)

標準作業では、「工程別能力表」「標準作業組み合わせ票」「標準作業票」を作成します。スムーズな現場管理や指導、改善に役立つ3つの票(表)について解説します。

工程別能力表

工程別能力表は、それぞれの工程における生産能力の把握が目的です。各工程にある自動送り時間や手作業時間などを記します。これにより、ライン全体のなかでもっともネックとなっている工程の定量的な分析が可能です。工程別能力表を作成することで、優先順位や改善すべき点を定めやすくなるでしょう。

標準作業組み合わせ票

標準作業組み合わせ票には、作業者一人ひとりの動作や設備の所要時間を記入。タクトタイムと実際にかかっている作業時間を比較し、差がある場合には改善点を探します。作業者の特性に適した工程や作業順序を検討することで、タクトタイム内で作業を行いやすくなるでしょう。また、人と機械を組み合わせて作業することができるかという点ついても検討が可能になります。

標準作業票

標準作業票は、全体の作業工程を1枚の帳票にまとめたもの。工程全体を把握し、改善点を見つけるために作成します。標準作業票の内容に標準作業の3要素も組み込むことで、無駄な部分や品質、安全性のチェックも可能です。

標準作業で得られる効果

標準作業は、企業にさまざまなプラスの効果をもたらします。主な4つの効果をご紹介しましょう。

製品の品質が安定する

標準作業により作業プロセスやルールが明確化することで、作業者の経験値や技術力によって変わる品質のばらつきが少なくなります。作業者の思い込みによるミスも起きにくくなるため、不良品の廃棄や再作業によるロスも削減できるでしょう。

生産性がより向上する

標準作業では、無駄を省いた製造プロセスを構築します。効率が良くなった製造現場では生産性が向上するため、さらに多くの製品を製造できます。標準手持ちやタイムタクトを設けることで、生産計画も立てやすくなるでしょう。

安全性を高められる

標準作業は、安全性を高める際にも役立ちます。標準作業を用いて統一された作業工程を構築することで、認識の違いによる事故が起こりづらくなるのです。標準作業に取り組む際は、5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)活動を同時に行うことで、安全性アップに対する効果がさらに高まるでしょう。

 

関連記事:

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教育時間の短縮につながる

標準作業を構築しておくことで、新しく入った作業者にも業務内容を共有しやすくなります。新人教育にかかる指導時間の短縮にもつながるでしょう。また、標準作業は誰が担当してもスムーズに作業ができるよう事前に検討を重ねています。そのため、標準作業がされていれば新しく入った現場担当者も作業全体を理解しやすく、即戦力になりえるでしょう。

標準作業の取り組み手順

標準作業に取り組むときの手順を解説しておきましょう。

1. 前提条件や目的を明確化する

まずは、対象となる作業の範囲や管理者、作業者といった前提条件を確認します。また、標準作業を行う目的も明確にしておくことが大切です。あわせて、品質・生産性の向上をはじめとした明確な目的に対する目標値を設定しておきましょう。

2. 作業内容をまとめる

実際に行う作業内容を確認し、標準作業における3つの要素を算出。「工程別能力表」「標準作業組み合わせ票」「標準作業票」の3票(表)も作成します。この段階で、現在の作業状況を確認して手順の修正や無駄な作業の排除を行ってください。

3. 作業訓練を繰り返す

標準作業の内容がまとまったら、現場で作業している技術者へ共有して工程と同じ流れで訓練します。作業者が十分に理解して実行できるようになるまで、訓練と指導を繰り返しましょう。

4. 現場で標準作業の問題点を探す

実際の現場に標準作業を導入し、訓練時に発見できなかった問題点がないかチェックします。見つかった問題点は、「だれが(Who)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」という5W1Hの6つの観点から詳しく分析して原因究明してください。

5. 原因をもとに改善策を打ち出す

問題が起こる原因が判明したら、改善策を打ち出します。実際に効果的な方法なのか、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を用いて検証しましょう。

6. 改善策を組み込んだ標準作業を作成する

打ち出した改善策が有効であった場合、改善策も採り入れた新たな標準作業を現場に投入します。投入後は現場で定着させ、目標達成するよう取り組みましょう。達成できなかった場合は、再度問題点を探す段階からチェックします。

最後に

標準作業とは一体何なのか、その目的や効果、取り組み手順に至るまでをまとめて解説しました。製造業において、作業効率アップに必要不可欠な標準作業。実行・改善を繰り返してたしかなものへと確立することで、生産性や品質の向上にもつながります。作業に携わるすべての関係者へスムーズに作業内容を共有するためにも、標準作業を構築しておくとよいでしょう。

 

 

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