技術伝承

2024.12.11

製造業の生産管理職に就くために有利になる資格と取得方法

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製造業における生産管理職は、製造プロセス全体を監督し、スムーズな生産を実現するために重要な役割を果たします。
生産管理職に就くために特定の資格はないものの、資格を取得することでキャリアアップやスキル向上に大きなメリットがあります。

生産管理でのキャリアを目指す方は、ぜひこの記事を参考に役立つ資格の取得を目指してください。

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目次

そもそも、製造業の「生産管理」とは?

製造業における生産管理とは、製品が計画通りに製造されるよう、製造プロセス全体を調整・監督する仕事です。
製造業において、製品の企画から最終出荷までの流れを円滑に進めるために欠かせない存在であり、その役割を効果的に果たすためには、広範な知識と実務経験が求められます。

 

担当業務は、原材料調達から在庫管理、作業員のシフト管理、品質管理まで多岐にわたります。

 

【生産管理の主な業務】

  • ・生産計画の策定:需要予測をもとに製造スケジュールを立て、材料や人員を適切に配置する
  • ・原材料や資材の管理:必要な材料が適切な量揃うよう、調達や在庫の管理を行う
  • ・製造プロセスの監視と改善:製品が効率的に作られ、かつ品質が保たれるよう、現場での工程管理を実施する
  • ・トラブル対応:設備の故障や人員不足などのトラブルに対して、迅速な解決策を講じる

製造業の生産管理職に就くためには資格が必要?

製造業の生産管理職に就くためには、特定の資格が必須というわけではありません。

 

ただし、関連する資格を取得することで、より責任のあるポジションに就けるチャンスが増え、キャリアアップしやすくなります。
なぜなら、関連する資格の取得により生産管理職としてのスキルが向上し、企業内での信頼も得やすくなるからです。

特に大手企業やグローバルな製造業界では、資格や専門知識を持った人材が高く評価され、リーダーやマネージャー職に登用されることもあります。

生産管理職に就くために有利になる代表的な資格

ここからは、生産管理職に就くために有利になる代表的な資格9種と、その取得方法について紹介します。

資格①生産士(生産管理技術者)

生産士(生産管理技術者)とは、生産管理の専門知識を持つことを証明する民間資格です。
産業能率大学総合研究所によって認定されています。

資格の取得方法

生産士(生産管理技術者)の資格は、産業能率大学が主催する試験を受け、合格することで取得できます。
初級・中級・上級に分かれており、経験に応じたレベルで受験が可能です。

 

試験では、実務で必要となる知識が中心となり、製造現場での経験を活かすような問題が出題されます。
具体的な試験内容は、製造プロセスの管理、在庫や品質の最適化、効率的な人員配置の方法などで、理論と実践に基づき製造業全体に関わる問題が出題されます。

 

(出典)
学校法人 産業能率大学 総合研究所 | 生産士認定試験について

資格②中小企業診断士

中小企業診断士とは、製造業をはじめとする企業全般に対して、経営コンサルタントとして活躍するための資格です。

 

生産管理だけでなく、財務、マーケティング、法務など幅広い知識が必要とされ、取得することで生産管理の担当者としての視野を広げ、適切な判断を下す能力が養われます。
特に中小企業での生産管理職を目指す場合には、この資格を取得しておくと有利になります。

資格の取得方法

中小企業診断士の資格を取得するためには、国家試験に合格する必要があります。
筆記試験と口述試験があり、幅広い経営知識と実務経験が求められます。
試験では、生産管理に加えて、経営戦略や財務管理、法務など、企業運営に関わるあらゆる分野の知識が出題されます。

 

(出典)
一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会 | 中小企業診断士資格取得を目指す方に中小企業診断士試験のご案内です

資格③PMP(Project Management Professional)

PMP(Project Management Professional)は、プロジェクト管理の国際資格で、製造業の生産管理にも応用できるスキルを証明することができます。
プロジェクトを効率的に進め、目標を達成するための知識やスキルが求められ、製造ラインの新設や改善プロジェクトに携わる際に、特に役立ちます。

資格の取得方法

PMPの資格は、プロジェクトマネジメント協会(PMI)が実施する試験に合格すると取得できます。
実務経験が受験資格の1つとなっており、プロジェクト管理に関わる実践的な知識が問われます。
試験内容としては、プロジェクトの立ち上げから計画、実行、監視、完了までの各フェーズにおける管理手法が中心です。

 

(出典)
一般社団法人 PMI日本支部 | PMP®資格について

資格④QC検定(品質管理検定)

QC検定(品質管理検定)は、品質管理に関する知識を証明する資格です。
製造業における品質管理・品質保証だけでなく、生産管理に従事する際にも役立ちます。
この資格の取得を目指すことによって、製造プロセスのなかで製品の不良を防止し、品質を安定させるための管理手法が学べます。

資格の取得方法

QC検定(品質管理検定)の資格は、日本規格協会(JSA)が主催する試験に合格することで取得可能です。
1級から4級までレベルに応じた試験があり、試験内容は、品質管理の基本的な手法や統計的なデータ分析、現場での品質改善に役立つ知識が問われます。

 

(出典)
日本規格協会 JSA Group Webdesk | QC検定

資格⑤ITコーディネータ

ITコーディネータは、ITを活用した業務改善や効率化を支援するための資格です。
特に、スマートファクトリーの導入や業務自動化を進める際に役立ちます。

 

製造業のデジタル化が進むなか、ITを駆使した生産管理が必須となっている企業では、この資格を取得することによってキャリアアップにつながります。

資格の取得方法

ITコーディネータの資格は、研修を受講して、認定試験に合格することで取得できます。
研修では、IT戦略の策定や業務プロセス改善の知識が学べます。
試験内容は、IT導入に伴う経営戦略や業務効率化に関する課題解決の方法が中心です。

 

(出典)
ITコーディネータ資格取得サイト | ITコーディネータ試験

資格⑥ファシリティマネジメント技能士

ファシリティマネジメント技能士とは、工場の設備管理を中心とした適切な生産環境の維持を行うための資格です。
資格取得を通して、製造設備の保守やエネルギー管理、作業環境の改善など、施設管理に関する総合的な知識が身につきます。
企業内では特に、設備トラブルを未然に防ぐための管理スキルが評価されます。

資格の取得方法

ファシリティマネジメント技能士の資格は、都道府県が実施する技能検定試験に合格することで取得可能です。
試験内容としては、工場内の設備や施設管理、メンテナンス手法、環境対策などが問われます。

 

(出典)

公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会 | 資格試験

資格⑦物流技術管理士

物流技術管理士とは、生産管理に密接に関係する物流の知識を持っていることを証明する資格です。
この資格取得を目指すことによって、製造業における部品の調達や製品の出荷など、生産プロセスと物流の効率化を図るための知識が学べます。

資格の取得方法

物流技術管理士の資格は、日本物流学会が実施する講座を受講し、試験に合格することで取得可能です。
試験内容は、物流システムの最適化やコスト削減、サプライチェーンマネジメントなどについての問題が出題されます。

 

(出典)
公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会 | 物流技術管理士資格認定講座

資格⑧技術士(経営工学部門)

技術士とは、経営工学部門は生産管理の最適化や経営資源の効率化に関連する技術や知識を認定する国家資格です。
生産工程の改善や管理プロセスの効率化を担う役割に役立ちます。

資格の取得方法

技術士の資格取得には、一次試験と二次試験に合格する必要があります。
一次試験は基礎的な知識(数学や物理など)、二次試験は専門的な経営工学や生産管理に関する内容を含みます。
さらに、実務経験が必要とされています。

 

(出典)
公益社団法人 日本技術士会|試験・登録情報

資格⑨TOCICO認定資格

TOCICO認定資格とは、制約理論をもとにした生産管理や業務プロセスの最適化に大きく貢献する経営手法TOCを身につけていることを認定する資格です。
この資格では、業務のボトルネックを特定し、生産性を最大化する手法を学べます。
資格を取得することで、TOCを用いたプロセス改善や管理に強みを持つことができます。

資格の取得方法

TOCICO認定資格を取得するには、TOCICOが主催する公式試験に合格する必要があります。
試験では、業務のボトルネック管理やプロジェクトの最適化、サプライチェーンマネジメントなどに関する問題が出題されます。

 

(出典)
TOC情報ライブラリー | TOC-ICOの資格認定

資格取得のための学習方法のポイント

生産管理職としてキャリアアップを目指し、ここまでご紹介してきた資格を取得するために、試験の合格に効果的な学習方法のポイントをまとめました。

ポイント①戦略的な学習計画の立案

まずは受験日から逆算して計画を立て、無理のない学習スケジュールを設定しましょう。
短期・中期・長期の目標を具体的に決めることが重要です。
計画を立てたあとは、計画を見て進捗を確認しながら学習を進めます。

ポイント②基礎知識の体系的な習得

公式テキストや参考書を使って基礎を学び、重要なポイントにマークをつけて学習を進めましょう。
基礎的な知識を覚えられたと思ったら、章末問題や確認テストを活用して理解度をチェックします。

ポイント③過去問題と模擬試験の活用

過去問題を解き、出題傾向や自身の弱点を把握することも重要です。
また、模擬試験で時間配分を練習して実戦感覚を養うと、本番で焦る心配がなくなります。

ポイント④学習環境の整備

勉強をスムーズに進めるためには、学習環境を整えることも必要です。
静かで集中できる場所を選ぶことはもちろん、快適な椅子や適切な照明を使って、長時間学習しても体に負担がかからないよう気を付けましょう。

ポイント⑤アウトプットによる知識定着

知識をインプットするだけではなくアウトプットすることも重要です。
学んだことを自分の言葉でノートにまとめたり、仲間と勉強会を開いてお互いに教え合いながら理解を深めたりしましょう。

ポイント⑥適切な休息と気分転換

資格取得のためにひたすら勉強したほうがいいと思うかもしれませんが、勉強を続けるためには適切な休息と気分転換も必要です。
学習の合間には休息を取り、定期的な運動や趣味の時間も確保し、十分な睡眠を取ることで脳をリフレッシュしましょう。

ポイント⑦進捗の可視化

資格取得までモチベーションを保つために、進捗を目で確認できるようにすることもおすすめです。
学習時間や解いた問題数を記録したり、計画通りに進んだ際に自分へのご褒美を設定したりしてみましょう。

ポイント⑧本番試験の最終調整

いよいよ試験が近づいてきたタイミングでは、最終調整を行いましょう。
本番と同じ条件で練習するための模擬試験を複数回実施したり、過去の学習内容を総復習して苦手分野を見直します。

最後に

この記事では、製造業の生産管理職に就きキャリアアップするために役立つ資格と、その取得方法について詳しく解説しました。
資格取得は必須ではありませんが、取得すると生産管理の業務がより効率的になり、昇進や給与アップのチャンスも広がります。
取得したい資格が決まったら、ご紹介した学習のポイントを意識しながら合格を目指してください。

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MENTENA編集部

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製造業向けの業務効率化・業務改善に役立つコラムやセミナー、および有益な資料を通じて、実践的な情報を提供しています。最新のツールの使い方や業界の情報・トレンドを継続的に発信することで、製造業の皆様にとって信頼できる情報源となることを目指しています。

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