作業手順書の作り方をチェック!製造業に必要な内容と効果的な運用ポイントを解説

公開日:2024/7/5

更新日:2024/7/23

「作業手順書の作り方がわからなくて困っている」「作業手順書を作って業務の効率化を図りたい」。製造業に従事していて、このような思いを抱いている方はいませんか?作業手順書には、担当者以外の技術者にも作業の詳細な内容や進め方が伝わりやすくなり、業務の効率が向上するなどのメリットがあります。 そこで今回は、企業の業績アップにも欠かせない作業手順書の作り方と具体的な記載内容、作成するメリット・デメリット、効果的に運用するためのポイントについて解説しましょう。

作業手順書とは

 

作業手順書とは、一連の作業における手順を簡潔にまとめたもの。担当作業員の安全を確保しつつ、間違いや抜けを防ぐために作成します。ただし、作業手順書はほかの技術者が見ても内容を理解できるようわかりやすく作成しなければなりません。万が一、内容を理解できない人がいた場合には改善を検討する必要があります。

 

 

作業手順書を作成するメリット

 

作業手順書は、作成しておくことでさまざまな効果が得られます。主な4つのメリットをまとめました。

 

作業時間を短縮できる

作業をはじめる前に手順をまとめておくことで、次に取り組むべき工程が明確になります。作業者自身が迷いづらくなることでスムーズに作業を進められ、時間の短縮につながるのです。また、業務全体にかけられる時間から一つひとつの作業に割けられる時間も想定しておくことで、計画を立てて進められるでしょう。

 

作業の質が安定する

作業手順書があることで、全員が同じ手順で作業を進められます。作業者によるやり方の違いやムラが起こりづらくなるため、作業の質を均一化させることが可能。作業を安定して行えるようになれば、製品の質にもよい影響を与えます。一定の製品品質を維持することで、顧客からの信頼も得られやすくなるでしょう。

 

共有しやすいので属人化を防げる

作業手順書を作成しておくことによって、担当者以外にも内容を共有しやすくなり、特定の人しか作業を知らないといった属人化を防げます。担当者の不在時には作業が進まなくなる、認識の違いが起こってしまうといった事態が発生しづらくなるでしょう。

 

教育にかかる時間を削減できる

作業手順書は誰にでもわかるように作成するため、はじめて作業する技術者や新しく入った若手社員も理解できます。大まかな作業の流れを口頭で説明する必要もないため、教育や指導にかかる時間を大きく削減できるでしょう。

 

 

作業手順書を作成するデメリット

 

では、作業手順書を作成するデメリットはあるのでしょうか?起こりうるデメリットを2つご紹介します。

 

 

作業手順書を作成する時間がかかる

作業手順書は、作業の流れをすべて網羅したうえで、誰にでもわかるよう作成しなければいけません。作成者だけでなく、作業に関わるほかの技術者の意見や責任者の見解も取り入れる必要があるため、どうしても作成には時間がかかってしまいます。まずは、基盤となる作業手順書を簡潔に作成し、作業を進めるなかで改善していくこともおすすめです。

 

作業がマンネリ化する

作業手順書に頼りすぎてしまうと、手順書どおりの動きしかできなくなります。作業手順書は、あくまでも現状で最も効率のよいとされている方法が記載されているだけ。作業手順書があったとしても、改善ポイントはないかと常に考えることは必要です。作業がマンネリ化しないためにも、作業手順書はあくまでも作業の基盤と認識しておく必要があるでしょう。

 

 

作業手順書の作り方

 

それでは、実際に作業手順書の作り方を確認してみましょう。

 

 

①作業工程の洗い出し

まずは、作業工程をすべて洗い出します。本作業だけでなく、作業するまでに必要な準備、本作業を終えたあとの片付けの段階まで洗い出しておきましょう。作業工程の漏れや抜けをなくすためには、現場担当者全員からヒアリングを行う、実際に作業している現場を見ながらリスト化するといった方法がおすすめです。

 

②作業内容の細分化

作業工程の洗い出しが終わったら、一つひとつの作業内容を細かく切り分けていきましょう。1つの工程を完結させるために必要なタスクをすべて記載し、誰でも理解できるようにします。また、それぞれのタスクに要する時間の目安や必要とする機械、材料などもメモしておくとよいでしょう。

 

③作業内容の手順化

作業内容を細分化したあとは、手順として並べていきます。実際に作業する状況を想定し、無駄な動きや無理が生じないよう確認してください。作成者だけでなく、作業に携わるより多くの技術者の声を反映させることで質の高い手順書となるでしょう。

 

④完成した作業手順書の校正を行う

手順化まで完了したら、このまま運用してよいかチェックしていきましょう。作成者自身での抜けや漏れがないかの確認や誤字脱字チェック、実際に作業する現場の技術者や責任者への最終確認を経て、質の高い作業手順書が完成します。

 

 

質の高い作業手順書を作るポイント

 

 

作業手順書は、誰にでも伝わるように作成する必要があります。質の高い作業手順書を作成するためのポイントをご紹介しましょう。

 

 

作業をまったく知らない人の視点で作成する

 

作業工程や内容を洗い出す際には、現場にまったく携わっていない人の視点で考えてみましょう。何気なく行っている作業であれば、意図せずに書き出し忘れてしまうこともあります。まずは細かすぎるほど書き出しておき、まとめるときに要否を判断してみる方法もおすすめです。

 

専門用語を少なくする

 

手がベテラン技術者か新人かによって理解度に差が生まれます。よって、作業手順書に専門用語は不要です。なるべく、かみ砕いた表現で記載するよう意識してください。現場に慣れていない新人がすぐに作業内容を理解できると、作業効率もアップするでしょう。

 

画像や写真を添付する

製造工程や機械の操作箇所などは、文章よりも画像や写真で記載したほうがわかりやすいケースもあります。初心者が理解しにくい工程では、できる限り見ればわかる工夫をしてみましょう。

 

 

作業手順書に記載する内容

 

 

作業手順書に記載する内容作業手順書に記載する基本的な内容は以下のとおりです。ただし、それぞれの企業や現場によって必要な項目は異なるため、適宜不要な項目の削除と必要な項目の追加を行ってください。

 

・基本事項(品名・作業内容・人員名・使用する機械や材料など)

・作業の手順

・過去の不具合データ

・危険性の度合い

・想定される災害

・災害対策

・責任者名

・作成日・改定日

・作業の区分

 

どのような作業で何人関わっているか、必要な機材や材料などの基本事項を記載しておくことで、作業開始前の確認作業がスムーズに進みます。作業手順を簡潔にまとめておくことで、ミスの少ない確実な作業が可能。また、リスクヘッジとして過去にあった製品不具合の履歴や作業の危険度を記しておくことも大切です。過去の不具合事例と同じ過ちを繰り返さないためにも、作業手順書を確認しながら作業を進めましょう。

 

さらに、起こりうる災害の予想と対策も立てておくと安心です。災害による被害を最小限にとどめるために、突然の事態にも即座に対応できるよう記しておきます。最後に、現場の責任者名、作成日と改定日、作業区分を記載。準備から本作業、後片付けまでの区分を明確にしておきます。

 

 

作業手順書を効果的に運用するポイント

 

 

完成するまでに多くの時間と労力を要する作業手順書。しかし、完成させただけでは意味がありません。現場での運用がスタートした際には、作業手順書がただのマニュアルとなっている、作業がマンネリ化しているといった事態に陥らないよう注意しましょう。

作業手順書を効果的に運用するための2つのポイントをご紹介します。

 

実際の作業と乖離していないかチェックする

実際に作業を行っていると、より効率のよい方法が見つかることや作業自体が不要になる、または工程が追加される事態が起こることもあります。普段、問題なく作業できていれば、作業手順書の更新をしないこともあるでしょう。しかし、特定の技術者だけが変更された作業手順を認知している状況は、不測の事態を発生させます。
実際に行っている作業手順が変わった場合には、速やかに作業手順書を更新しておきましょう。

 

定期的な改善を行う

作業手順書は完璧なマニュアルではありません。作業手順書を運用しはじめたら、特に変化がなかった場合でも今以上に改善できる点はないか定期的にチェックしましょう。管理者を設けて管理する方法もおすすめです。定期的に更新することで、最新の情報を共有しやすくなります。

現場にいるすべての技術者の認識を統一してミスやトラブルを防ぎ、効率的に作業を進めるためにも、作業手順書は常にアップデートしておきましょう。

 

 

 

最後に

 

作業手順書の作り方と内容、作成するメリット・デメリット、作り方と運用方法のポイントをまとめてご紹介しました。業務を効率良く進めるために必要不可欠な作業手順書は、作ったら終わりではなく定期的に内容をチェックし、変更・改善点は早急に修正しながら有効的に運用しましょう。

 

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