2024.12.20
リードタイムを短縮してコストカットできないか、頭を悩ませている経営者やマネージャーの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、リードタイムとは何かという基本的な説明から、リードタイムの短縮によってどの程度のコスト削減が見込めるか、さらには効果的な短縮方法についてまで詳しく解説します。
ぜひこの記事を参考にして、リードタイム短縮がどのように企業のコスト削減に寄与するかを再認識し、実際に短縮のための方法を試してみてください。
目次
リードタイムとは、注文を受けてから製品やサービスを顧客に届けるまでに必要な時間です。
この時間には、受注処理から製造、準備、検査、出荷準備、
そして最終的な配送までの全工程が含まれます。
具体例として、アパレル企業での新商品が顧客に届くまでのリードタイムの例を紹介します。
企画から商品化までに90日、製造に30日、検品と在庫管理に7日、
そして配送準備と実施に3日を要するとすれば、リードタイムは合計130日となります。
実は、このリードタイムには、無駄な待機時間や非効率な作業が多く含まれているケースが珍しくありません。
それらを最適化することで、大幅な時間短縮とコスト削減が可能です。
では実際にリードタイムの短縮によってコスト削減できる金額はどのように求めればよいのでしょうか?
4つの要素に分けて、算出方法をご紹介します。
在庫削減効果によって削減できるコストは、現在の在庫金額に保管日数の削減率と金利(年利)をかけ合わせることで計算できます。なお、保管日数削減率を算出する際には、金利と同様に保管日数も年単位の基準に直して計算する必要があります。
計算式: 在庫金額 × 保管日数削減率 × 金利(年利) = 削減コスト
例えば、在庫1億円を保有している企業が30日のリードタイム削減を実現した場合、年利3%として計算すると、【1億×(30÷365)×0.03】で年間約25万円の削減効果が得られます。
人件費削減効果によって削減できるコストは、業務効率化による工数削減から算出します。
計算式:時給 × 工数削減時間 × 年間稼働日数 = 削減コスト
例えば、時給2,000円の作業者が1日あたり2時間の工数削減を実現し、年間240日稼働するケースでは、年間96万円の削減となります。
設備費削減によって削減できるコストは、設備の稼働時間削減率から計算します。
計算式:設備費 × 稼働時間削減率 = 削減コスト
例えば、年間の設備維持費が500万円の工場で稼働時間を20%削減できれば、100万円の削減効果が期待できます。
品質向上による不良品削減によって削減できるコストは、年間の不良品対応にかかるコストと不良品発生率の削減割合から計算します。
計算式:年間不良品対応コスト × 不良品発生率の削減割合 = 削減コスト
例えば、年間の不良品対応コストが200万円の企業で、不良品率を30%削減できれば、60万円の削減効果を得られます。
次に、どうすればリードタイムを短縮することができるのか、効果的な5つの方法を紹介します。
リードタイム短縮を実現するためには、まず現状のプロセスを詳細に可視化することから始めましょう。
各工程の所要時間や工程間の待機時間を把握し、どこにボトルネックが存在するのかを明確にしていきます。
リードタイム短縮を実現するためには、ITシステムを活用することも重要です。
最新のITシステムを導入することで、受発注の自動化や在庫管理の効率化、生産計画の最適化が可能となります。
ITシステムの導入には一定のコストが必要ですが、長期的に見れば大きなコスト削減効果が期待できます。
作業の標準化も、リードタイム短縮には欠かせません。
標準化によってミスが減少し、作業時間のばらつきが解消されます。
さらに、新人教育の効率化や品質の安定化にもつながり、総合的な生産性向上につながります。
生産ロットの最適化も、リードタイムを短縮するために重要な要素です。
ロットを適切なサイズに分割することで、工程間の待ち時間を削減し、在庫を最小限に抑えることができます。
同時に、設備の稼働率も向上させることが可能です。
調達から配送までのサプライチェーン全体を見直すことも重要です。
部材調達時間の短縮や物流効率の改善、在庫の適正化などを通じて、全体的なリードタイムの短縮を実現できます。
リードタイム短縮の効果は、直接的なコスト削減にとどまりません。
納期短縮により顧客満足度が向上すると、リピート率の上昇や口コミによる新規顧客の獲得につながり、企業のブランド価値を高めることになります。
また、業務効率化による残業時間の削減は、技術者のストレスを軽減し、職場環境の改善につながります。
業務の達成感が高まることで、モチベーションの向上も期待できます。
リードタイム短縮は、市場競争力の観点からも重要な意味を持ちます。
市場変化への迅速な対応が可能になることによって、新商品の早期投入や競合との差別化を実現することが可能です。
リードタイム短縮には大きなメリットがありますが、いくつかの点に注意しなければ悪影響が出てしまうこともあります。
ここでは3つの注意点を紹介します。
リードタイム短縮のための取り組みを含む企業の変革プロセスでは、一度に大きな変更をするのではなく段階的に進めることが重要です。
段階的に進めることで、リスクを抑え、変革の成功率を高めることが可能です。
具体的なスケジュールの例としては、まずは現状を正確に把握することから始めます。
この現状分析フェーズは1〜2カ月かけて行い、その後の1カ月間で改善計画を立てます。
次に、2〜3カ月を使ってパイロット導入を実施します。
パイロット導入とは、一部で先行して試験的な導入をすることで、効果や問題点を確認し、本格的な導入の準備をすることです。
これにより、どのような影響が出るのかを小規模でテストできます。
その後、1カ月の効果検証期間を経て、3〜6カ月かけて本格的な展開に進めていきます。
リードタイム短縮の改善活動を成功させるためには、技術者の理解と協力が不可欠です。
まず、技術者に変革の目的や内容を理解してもらうために、定期的な説明会を開催しましょう。
次に、現場からの声を積極的に取り入れる改善提案制度を導入し、技術者が主体的に関与できる環境を整えます。
さらに、成果の可視化と共有によって、自身の努力が組織全体の成果にどのように貢献しているのかを実感できるようにします。
これに加えてインセンティブの導入を検討することで、技術者のモチベーションを一層高めることが可能です。
リードタイム短縮のための変革において、スピードを重視する場合でも、品質管理の維持は妥協できません。
なぜなら、スピードと品質のバランスを保つことが、企業の持続的な成功につながるからです。
品質を確保するために品質チェックポイントを明確にし、検査工程の効率化を図りましょう。
さらに、品質データの収集と分析を通じて、早期に問題を発見し、迅速に対策を講じることが必要です。
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リードタイムの短縮に取り組むことは、企業にとって大きなコスト削減だけでなく、多くの副次的な効果をもたらします。
在庫や人件費、設備費、不良品対応コストなどの削減に加え、顧客満足度や技術者のモチベーション向上、そして市場競争力の強化にまでつながります。
この記事で紹介した方法を実践して、効果的にリードタイムを短縮し、業績向上を実現しましょう。
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執筆者
MENTENA編集部
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