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設備管理

2024.08.07

製造業における設備保全の属人化はどう防ぐ?起こりうる問題から解消のコツまで

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一部の担当者しか業務内容を把握できていない状態を指す属人化は、製造現場でよくある問題の1つです。製造に関する仕事にはいくつかジャンルがありますが、設備保全という業務でも属人化が発生する可能性は十分にあります。設備保全の属人化によってさまざまな問題に直面し、会社として悪影響を受けるケースも。そこで今回は、安定した経営を続けつつ職場環境を改善するためにも、設備保全の属人化にフォーカスし、その解消方法のコツを詳細に解説します。設備保全の属人化が起こる原因や、引き起こす問題などもまとめました。

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目次

属人化と設備保全の概要をおさらい!

まずは、属人化がどのような状態なのかをチェックしておきましょう。また、設備保全の詳細もわかりやすくまとめました。

属人化とは?その状況をおさらい

属人化とは、ある特定の業務内容について担当者しか把握していないことをいいます。基本的な作業手順や注意点など、詳細な業務内容が工場内でしっかり共有されていないことで起こりうる問題です。一見、作業員が業務を把握していれば問題ないのでは?と思われがちですが、属人化は会社や技術者にとってさまざまな不利益をもたらします。そのため、工場全体で属人化しない体制を整えることが大切です。

設備保全とは?基本的な仕事内容をチェック

設備保全とは、工場の設備を常に安全な状態に維持するための役割を担っている仕事です。機械が故障しないように普段から点検を行って、設備の安定化を図ります。設備保全と似たような言葉に「保守」がありますが、保守は万が一機械が故障した際に修理する役割がメインといった違いがあるのです。よく似ている言葉であるため、間違いないように理解しておきましょう。

設備保全が属人化しやすいのはなぜ?その5つの理由

設備保全という仕事が属人化するのはなぜなのか、考えられる代表的な理由をご紹介しましょう。

人手不足で技術者が多忙

経済産業省・厚生労働省・文部科学省が発表した「2023年版 ものづくり白書」によると、過去20年の間に製造業に従事する人材がおよそ157万人も減少しているというデータがあります。一方、非製造業の就業者数は増加していることから、製造業界では慢性的な人手不足が発生している状態です。人手不足により、技術者1人あたりの業務が増えて多忙になるため、設備保全に関するノウハウを別の人材に共有する時間がなくなります。人手不足である状態では、設備保全の担当者だけでなく、生産ラインや品質管理など、ほかの業務を担当する技術者も時間がない状態です。そのため、工場全体で属人化が進んでしまうことが考えられます。

連携がとりにくい状態にある

担当者が独自の業務フローを構築すると、専門性の高い内容になっていることが多く、別の技術者が見ても理解しづらいことも。すると部署内の情報共有が進まず、連携体制が取りにくくなるため、より属人化してしまうのです。

業務内容の専門性の高さと複雑性

製造に関する業務は、専門性が高く、複雑な内容も多くあります。なかでも、工場内の機械を取り扱う設備保全の仕事は、専門性が高い仕事の1つ。高度な知識や技術が必要になると、どうしても経験が豊富な人材に頼らざるを得ません。すると、新人や設備保全の仕事に関わったことがない人材では対応しきれないため、属人化しやすくなります。

OJTメインで技術者教育を行っている

OJTとは「On the Job Training(オン ザ ジョブ トレーニング)」の略で、現場で上司や先輩から直接業務内容を学ぶ、製造業のなかでも代表的な教育方法の1つです。OJTは、即戦力となる人材の育成や経験を積み重ねたいスタッフに対しては有効ですが、上司や先輩がもつノウハウの範囲でしか学ぶことができません。また、教えてもらう上司や先輩によって、教育の質にばらつきが生じやすい問題点もあります。これらのことから技能や技術の共有が不十分となり、属人化に陥ることが考えられるのです。

個人成果主義の考え方が定着している

個人成果主義とは、自身の評価を高くするために、ほかの技術者と差別化を図ることを重要視するようになること。評価に固執するあまり、自身が持っている知識やスキルノウハウをほかの技術者と共有しなくなるのです。

 

また、個人評価主義が定着していると、より高い評価を維持するために、属人化解消を望まない技術者も出てくる可能性もあります。

 

(出典)
経済産業省、厚生労働省、文部科学省|2023年版ものづくり白書(令和4年度ものづくり基盤技術の振興施策)概要

設備保全の属人化が引き起こす問題は?

設備保全の仕事が属人化した場合、どのような問題が起こる可能性があるのかを詳しくチェックしていきます。発生しうる問題を把握することで、属人化を解消すべき理由が見えてくるはずです。

品質にばらつきが生じる

設備保全の属人化が進むことで、担当者独自の方法で業務をこなしてしまうため、人によって仕事内容に差が生じてしまいます。その結果、機械が不安定になり製品の仕上がりが統一できません。品質低下も考えられ場合によっては、会社全体の信頼喪失にもつながりかねません。

非効率的な業務になる

もしも保全担当者が休んでしまった場合、ほかに仕事内容の詳細や適正なノウハウを持っている人材がいないため、業務が滞ることが考えられます。生産計画に遅れが出る可能性があるほか、最悪の場合、製品や部品の製造ができなくなるなど、日々の業務が非効率化する恐れもあるため注意が必要です。

業務がブラックボックス化する

情報共有がうまくいっていない状態の属人化は、業務の詳しい内容や進行状況が、ほかの技術者から見えづらくなり、ブラックボックス化してしまいます。業務のブラックボックス化は、特定の技術者だけに業務内容やノウハウが蓄積されていくため、ほかの技術者の参入や理解が難しくなってしまう状況を引き起こしてしまうのです。さらに、なにが正しいのかわからないので、業務の良し悪しも判断できません。

人材が育たず技術が失われる

属人化すると、情報共有する機会が減るため、新人社員や若手社員にとってなかなかよい経験がつめない環境になってしまいます。つまり、スムーズな技術伝承ができないのです。万が一、設備保全担当のベテラン技術者が退職したり長期休暇を取ってしまったりすると、ほかの技術者に技術継承していないことが理由で、技術やノウハウが失われるリスクがあります。

担当者の負担が増える

設備保全の属人化は、ある特定の技術者に業務依存した状態です。ほかに手伝ってくれる人材がいない、休みがなかなか取れないなど、担当者の負担が増えることも属人化が引き起こす問題点の1つです。また、担当者しか業務を行えないことで、残業が増える、休日出勤をするという場合も少なくありません。こういった状態は、法律によって定められた時間外労働の制限を超えてしまうこともあり、担当者の負担が増えると同時に、会社全体のイメージ低下にもつながります。

企業倒産につながる可能性も

ここまでにご紹介したとおり、属人化によって業務が非効率的になる、製品にばらつきが出る、製造できないといったさまざまな問題が発生します。すると、職場環境が悪化して技術者が退社する、製品の質が悪くなり売り上げが低下するといったことが連鎖的に発生。企業としての競争力が低下し、結果的に倒産につながることも考えられるのです。

設備保全の属人化を解消することで得られるメリット

設備保全の属人化を解消することで、先述した問題の発生を回避できるだけでなく、設備保全のノウハウが社内で広く周知されれば、製品の質が安定し生産性も向上するでしょう。技術者全体のスキルアップにも寄与します。こういった環境が整えば、よりよい製品が安定して出荷できるため、会社の信頼性やブランディング強化にもつながるはずです。さらに、属人化を解消して技術者全体でノウハウを共有していることで、休みが取りやすい、業務を手伝ってくれる技術者がいるといった状況となり、働きやすい環境が整います。

設備保全の属人化を解消するには?4つのポイント

属人化によって起こる多様な問題を発生させないために、この状況を打破する必要があります。そこでここからは、属人化を解消するポイントをご紹介しましょう。まだ属人化していない会社も、今後のことを考えてチェックしてみてください。

業務内容を徹底的に把握する

設備保全の属人化を解消するためには、まず業務内容を徹底的に洗い出し、隅々まで把握することから始めます。すると、基本的な業務内容だけでなく、特定の技術者しか知らない情報を発見することが可能です。また、業務の無駄や改善するべき点を見出すこともでき、結果的に業務効率が向上します。

 

ときには、今まで着目していなかった点に気付いた技術者から、新たなアイデアが寄せられるといった相乗効果を期待できるでしょう。デジタルツールを用いて、設備保全の業務内容を可視化し、社内での情報共有に役立てるのも1つの手段です。

マニュアルを作成・整備する

誰が見てもひと目で設備保全の業務内容がわかる、詳細なマニュアルを作成・整備することも大切です。どの技術者が行っても一定水準以上の業務ができるよう、専門用語への配慮や関連情報の添付など、わかりやすくまとめましょう。また、無駄な時間を発生させないために、マニュアルがすぐに見られるよう保管場所への配慮も大切です。マニュアルを作成・整備することで、技術者同士の情報共有が行いやすくなります。

ノウハウを技術者同士で共有する

マニュアルの作成・整備と併せて、研修などによって技術者同士で情報共有をしっかり行うことも重要です。マニュアルのほかに、業務内容をまとめた文章やフロー、動画を作成し、誰もが参照できる体制を整えましょう。チャットを活用する、定期的にミーティングを行うといった方法で情報共有するのも取り入れたい方法の1つです。

定期的に業務を見直す

業務内容の洗い出しやマニュアルの作成など社内でさまざまな努力を行い、設備保全の属人化を解消したあとも、定期的にフローを見直すことが大切です。属人化解消後、しばらくすると新たな問題が発生することも考えられます。これを放置することで、再び属人化が進むこともあるため、定期的なフロー見直しは属人化へと逆戻りしないために必要な業務です。

最後に

設備保全の属人化は、慢性的な人手不足や情報共有がされていないことが原因で発生する問題です。一見スムーズな業務ができているように見えても、ある特定の技術者しか設備保全の仕事を把握していないことで、業務の非効率化や優れた人材が育たない、製品に悪影響が及ぶといったこともあります。そのため、早めに対策を講じ、解消することが大切です。ご紹介した設備保全の属人化を解消するポイントを参考に、自社によりマッチした対策を練って実施してみてください。設備保全の属人化を解消し、よりよい会社を目指しましょう。

 

MENTENA(メンテナ」では、クラウド型の設備保全システムを展開しています。どこからでもアクセスしやすく、情報共有が容易にできるため、属人化の解消ならびに業務効率化をサポートします。

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MENTENA編集部

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MENTENA編集部

製造業向けの業務効率化・業務改善に役立つコラムやセミナー、および有益な資料を通じて、実践的な情報を提供しています。最新のツールの使い方や業界の情報・トレンドを継続的に発信することで、製造業の皆様にとって信頼できる情報源となることを目指しています。

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