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2024.08.23

製造業における平準化の必要性|平準化する方法やポイントなどを解説

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ユーザーのニーズに合わせて、類似性の低い商品を少しずつ生産する多品種少量生産が主流になりつつある製造業では、平準化の重要性に注目が集まっています。より効率的な業務遂行と売上アップを目指すためにも重要なカギを握る手法です。そこで今回は、平準化とはどのようなアプローチなのか、詳しい概要やその必要性、具体的な取り入れ方などをご紹介します。導入する際のポイントもまとめたので、まだ平準化を導入していない、平準化がうまく進んでいないといった企業さまは必見です。

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目次

平準化とは?まずは基礎知識をおさらい

まずは、平準化とはどのような生産方法なのかについて、詳しく解説していきます。平準化と混同されがちな、標準化との違いについてもまとめました。

平準化の概要について

製造業における平準化とは、月ごと、もしくは日ごとに、工場で生産する製品の量と作る品目を一定にすることをいいます。作業の流れがある程度決まっており、繰り返し作業を行う業務を対象とした手法です。主に「ムリ・ムダ・ムラ」をなくすことを重視した工夫を取り入れ、実行します。また、製造に関わる技術者に対して均等に作業を振り分けて属人化を予防する、作業人数を適正化するといったことも平準化の一種です。

 

平準化を導入したとしても、すべての工場がこの手法をうまく進められるわけではありません。平準化は、工場全体で協力しあって遂行し続ける必要があるため、技術者同士が尊敬しあい、信頼関係が築けている場合に、成功する手法です。

 

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標準化との相違点は何

前述したとおり、平準化は月ごとや日ごとの生産量を平均的にすることを指します。一方で、標準化は、作業する際にルールを設けて一定以上の品質を確保すること。ISOのように、製品の規格を統一し、誰が製造しても同じ品質になるようにすることを目的としています。標準化を図ることで品質が維持され、ユーザーからの信頼を得ることが可能です。

平準化の必要性

製造業でなぜ平準化が重要視されているのでしょうか。ここでは、製造業における平準化の必要性について解説しましょう。

人件費の削減を進められる

平準化の導入によって、人件費削減につながる点が製造業において注目される理由の1つです。

 

平準化を導入していない工場では、4月は100個、5月は200個といったように月ごとに生産量が変わります。前月の倍の数の製品を製造しようと思うと、人員も増やさなければなりません。反対に、前月よりも個数が少なくなった場合、前月と同じリソースを導入すれば、人件費が余分に発生してしまいますよね。

 

そこで平準化を導入し、毎月の生産量を一定にすれば、必要以上の人員を投入せずに済みます。そうすることで、人件費を抑えつつ生産ラインが維持できるのです。

品質を確保できるようになる

平準化を導入していない場合、繁忙期には生産量が増加するため、工場にとって厳しい生産計画になってしまいがち。時間に追われるだけでなく、残業が必要になるなど、技術者にとってストレスを感じやすい環境に陥ってしまいます。また、稼働時間が長くなることで、設備に負担がかかり、エラーや故障などトラブルが発生する可能性も。技術者の精神状態の悪化や設備の不具合は、製品の仕上がりに直接影響を及ぼすことも。最悪の場合、ユーザーに不良品を出してしまうでしょう。

 

平準化によって適切な労働時間にすることで、技術者が無理なく作業でき、集中しやすい環境が整います。また、設備メンテナンスの時間をきちんと確保できる、といった好循環が生まれるのです。その結果、品質の向上につながります。

在庫量の適正化が可能

平準化は、毎月一定量の製品を製造するため、在庫量が過不足するリスクを軽減できます。月や日ごとの生産量にムラがある場合、急激な受注量の変化に対応しきれず、在庫が大量に余る、不足するといった事態を引き起こしかねません。平準化では、あらかじめ需要を予測して、一定の量を生産するため、常に在庫量を適正に保てます。

平準化するには?具体的な方法をチェック

平準化する際にはどのように進めていけばよいのか、具体的な方法をご紹介しましょう。これから平準化を導入したい企業さまは必見です。

プロセスの分析と可視化

まずは平準化させたいプロセス全体を細かく分析する必要があります。技術者が何をしているのか、品番の切り替えにはどの程度時間がかかっているのかなどを詳しくチェックし、表などを使って可視化しましょう。作業を細分化していくことで、必要な時間と無駄な時間が鮮明に見えてくるのです。

無駄な時間を削減する

続いて可視化したプロセスを、治具交換作業のように機械設備をいったん停止しなければできない内段取り、機械を停止せずに装置が取り換えられる外段取り、そして部品を探すといった無駄時間の3パターンに分類します。

 

内段取りや外段取りは、製品を製造するうえで必要な時間ですが、部品を探すなどの明らかに無駄な時間は、業務内において徹底的に省きたいものです。工場内を整理整頓したり、作業手順を技術者全員で統一したりすることで廃除できるでしょう。無駄な時間をなくすために、マニュアルを作成し、技術者全員への周知を徹底する点も重要ポイントです。

内段取りの時間短縮

内段取りと外段取りの時間は、製造業にとって必要な時間です。しかし、注意深く見直してみると、実は機械を停止せずにできる作業にも関わらず、技術者の誤認によって不必要に止められている場合もあります。

 

内段取りは、製品の生産性に大きく影響する作業です。いま一度、機械を本当に停止しなければできない作業なのかどうか検討してみましょう。また、機械の調整を目視で実施している工場の場合には、何らかのシステムを導入する、デジタル化するといったことで時間の短縮ができるはずです。

外段取りを工夫する

内段取りが効率化され、時短作業ができるようになると、今までは外段取りとして機械を停止せずとも実行できていた業務が間に合わなくなり、その結果、機械を止めざるを得なくなるケースもあります。すると結果的に無駄な時間がまた別の場所で発生している状態となるため、他の工程で時間が余っている技術者に段取りを手伝ってもらうなど、内段取りと並行して作業が進められる工夫を講じることが大切です。

 

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平準化がうまく進まないのはなぜ?

平準化の導入によって、コストを抑えつつ製品品質を担保でき、さらには在庫の適正化も図れるなど、さまざまな恩恵を受けられることは明らかです。しかし、企業によってはなかなか平準化が進まないことも。

 

平準化は、工場内の作業について詳しい知識を必要とし、大がかりなプロジェクトになる場合もあるため、企業としては手を付けにくいといったケースもあります。また、平準化に伴い、新しいプロセスを技術者に伝え、トレーニングを行って習熟してもらうには、ある程度時間が必要です。つまり、平準化導入のために多くの費用や時間を費やすことになり、一度にすべての作業を平準化しようとすると、うまく進められないのです。

平準化する際のポイント

平準化する際には、いくつかポイントがあります。ご紹介するポイントを参考に、スムーズな平準化導入を目指しましょう。

一部の製品に絞ってスタートする

一度にすべての業務を平準化しようとすると、多くの費用と時間を要します。そこでまずは、一部の製品に絞る、特定の部門や領域に限定するなどして、スモールスタートをするのがおすすめです。対象を決めて平準化することで、成功例、失敗例を体験でき、よりよいサイクルを生み出すことができます。すると、徐々に平準化できる範囲も広がり、最終的には職場全体での平準化が叶うはずです。

平準化だけに固執しすぎない

平準化する目的は、人員や在庫の最適化を行い、コストの削減や品質維持などを図ることです。平準化導入に固執しすぎてしまうと、本来の目的があやふやになり、うまく進めることができません。自社にとって最適な生産方法はどういったものなのかをしっかりと考え、平準化導入に反映する必要があります。

生産計画は柔軟性を意識する

これまでのデータを参考にしたとしても、来月の生産量を正確に予想することはほとんど不可能です。近日中の生産量が決定している場合でも、クライアントから急なキャンセルが入る可能性もあるでしょう。こういったクライアントからの要望に応じてすぐに対応ができるよう、柔軟な生産計画を意識することが大切です。

 

昨年度のデータを参考にしつつ、今年度に入ってからの生産実績や前月の売り上げなど、直近のデータを用いて生産計画を立てましょう。生産計画は、短いサイクルで作成し直し、常にクライアントの需要にマッチした業務が行えるような工夫が大切です。

 

技術者ごとに異なる技術力を考慮する

同じ工場内で働く技術者の技量に大きな差があると、業務にかかる時間や担当する業務の量などにムラが生じて平準化を進めるのは難しくなります。そのため、できるだけ技術者全員が同じ技量とスピード感で作業できるようにすることが重要なポイントです。

 

マニュアルを作成する、定期的にトレーニングを行うといった対策を実施し、平準化を進めましょう。その際、一定のルールを設けることで、技術者による技術やスピードの差を極力なくせるはずです。

システムをうまく活用する

納期や生産効率に配慮しながら、平準化を進めるのはなかなか難しいことです。人の手で生産計画を作成すれば、何時間も費やしてしまうこともよくあります。さらに、複数ある製品の生産量を一定にしたとしても、納期が遅れたり段取りが増えたりしてしまえば、平準化の意味がありません。

 

そこで、生産量や納期などを自動で管理できるシステムを導入するのも1つの方法です。システムを導入することで、技術者が長時間かけて作っていた生産計画を、自動的かつ瞬時に展開。人為的なミスやムラがない計画を立てることができます。

マニュアルを作成する

平準化を進めるためには、全技術者がほとんど誤差のないパフォーマンスをすることが重要です。そのため、誰が見てもわかりやすいマニュアルを作成しましょう。マニュアルがあることで、たとえ担当者が休んでしまったとしても、代わりの技術者が作業を行うことができます。また、新人教育や業務の引き継ぎなどの際にも便利です。

定期的に見直しをする

業務の分析や段取りの工夫を行ったことで、順調に平準化が進んだとします。このとき、平準化の導入がうまくいったからと油断するのは禁物です。業務のかたよりをなくし、長期的に平準化を維持するには、定期的な見直しを行いましょう。見直した際に発見した課題の改善で、よりよい環境が整います。変化する仕事にも柔軟に対応できるため、平準化を安定して継続できるでしょう。

最後に

製造業において平準化は、人件費削減や品質の確保、在庫量の適正化など、さまざまなメリットが得られます。無駄な時間を省き、業務内容を技術者全員で統一するなど、働きやすい環境も整うでしょう。そんなメリットが多数ある平準化ですが、いきなり導入するのはなかなか難しいこと。

 

そこで、一部の製品に絞って始めるなど、スモールスタートをすることも覚えておきたいポイントです。他にも、生産計画に柔軟性を持たせる、システムを導入するといったポイントも抑えて、効率的に平準化を進めてみてください。平準化がスムーズに進んだあとは、よりよい状態が維持できるよう、定期的な見直しを行うことも覚えておきましょう。

 

MENTENA(メンテナ)」では、クラウド型の設備保全システムを展開しています。平準化を検討する際に必要な設備台帳の情報や保全活動の履歴を蓄積することが可能です。また、予備品の在庫についても管理が可能なため、平準化の一助となるでしょう。

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製造業向けの業務効率化・業務改善に役立つコラムやセミナー、および有益な資料を通じて、実践的な情報を提供しています。最新のツールの使い方や業界の情報・トレンドを継続的に発信することで、製造業の皆様にとって信頼できる情報源となることを目指しています。

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