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2024.08.21

省人化・省力化・少人化の違いは?製造業の現場で重視される省人化について徹底解説

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近年、工場をはじめとした生産現場で求められている「省人化」。人手不足が深刻化している製造業の世界では、今後ますます省人化の動きが進むでしょう。そこで今回は、省人化・省力化・少人化の違いから、製造業で省人化を実現する方法、省人化のメリット・デメリットまでをまとめて解説します。生産現場の効率化を検討している方は、チェックしてみてください。

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目次

省力化・省人化・少人化の違い

「省人化」と類似している「省力化」と「少人化」。どれも製造業で活用されている概念ですが、それぞれの意味合いは大きく異なります。

 

「省力化」「省人化」「少人化」はどのような目的で実施されるのか、それぞれの違いをまとめました。

省力化とは?

省力化とは、人が行っている作業内容を見直して無駄を排除し、業務の効率化を図ること。具体的には、業務報告やスケジュール管理、タスク管理にITツールを導入するといった方法があります。作業効率が良くなることで作業員1人あたりにかかる負担が軽減し、余分な労力の消費を避けられるのです。

 

また、省力化は製造業における作業時間の短縮や人為的なミスの減少にもつながります。ITツールを導入しないまま、事務的な作業で手いっぱいとなっている場合には、省力化してみるとよいかもしれません。

省人化とは?

省人化は、生産ライン全体の業務内容を見直して無駄な工程を撤廃・効率化し、人員を削減することです。具体的には、自動化できる工程に機械やロボットを導入するといった方法があります。

 

省力化との違いは、適応する目的が人員削減であることです。余分な労力だけでなく、稼働する人員自体を減らすことで徹底的に無駄を排除します。省人化の実現により、製造業で深刻化している人手不足をはじめとした多くの問題が解決。スマートになった生産現場は、製造業にとって最も効率のいい環境となるでしょう。

少人化とは?

少人化は、生産量や受注数に応じて作業者の人数を変動させることです。一定の生産性を維持したうえで、時期や稼働状況によって臨機応変に対応できる環境が整っている生産体制のことを指します。

 

少人化を実現するためには、省力化による無駄な労力の削減と省人化による人員削減が欠かせません。省人化が実現して安定した生産性が維持できるようになると、少人化も導入できる生産現場となるでしょう。

「省人化」を製造業で実現する方法

省人化を実現するためには、大きく分けて4つの手段があります。
省人化につながる4つの方法についてそれぞれ詳しく解説しましょう。

業務内容の見直しを図る

省人化を導入する際には、まずすべての業務内容を見直して現状の無駄をなくさなければなりません。不必要な業務を撤廃するだけで、省力化や省人化につながる場合もあるのです。

 

日本の製造業を牽引しているトヨタ自動車では、「トヨタ生産方式」によって徹底的に無駄を排除する体制が整えられています。このトヨタ生産方式で無駄とされているものは以下の3項目です。

 

・不良品
・設備の見張り
・生産の滞留

 

トヨタ自動車では、自動化した生産ラインとともに異常を検知するシステムを導入。機械がトラブルを起こしたときに発生する不良品を最小限に抑えることで、無駄な業務やコストが発生しないよう徹底されています。また、機械の異常を自動で検知できることによって、設備の見張りを行う人員も削減。徹底した省人化体制が整えられています。

 

さらに、トヨタ生産方式では「必要なものを必要なときに必要な分のみつくり運ぶ」という生産体制を確立。ものを滞留させないことで、無駄なく効率のいい生産活動が実現します。自社内でつくりすぎによる在庫過多や運搬業務の無駄が生じていないか一度見直してみましょう。

作業の標準化を進める

省人化を実現するためには、作業の標準化を図ることが大切です。作業が標準化されていなければ、作業者によって生産速度や品質が変化します。生産ラインが不安定となってしまうため、人員を削減する動きも生まれにくいでしょう。

 

作業の標準化が実現すれば、作業者による生産効率の差が生まれにくくなります。安定した品質の製品を一定のペースで生産できるため、無駄な動きの排除が可能です。

 

作業を標準化するには、マニュアルや技術伝承用のトレーニング資料を作成することによって達成されます。だれにでも分かりやすい内容にまとめておくことで、人材育成にかかる時間や人手を削減できるでしょう。

自動化設備を導入する

省人化を実現させるためには、工場への自動化設備の導入が効果的です。今まで人が行っていた作業をロボットや機械が代わりに担うことで、人員を大幅に削減できます。

 

産業用ロボットには、人のそばで同じように組み立て作業を行う協働ロボットや、無人で稼働する搬送車などが存在。作業者1人分の作業をロボットに任せる、重労働となる運搬業務は積極的に無人運搬車を導入するといった方法は、省人化を実現させる大きな一手となるでしょう。

業務をデジタル化する

実際に生産する製造ライン以外の業務は、デジタル化によって省人化につながります。デジタル化できる業務は、以下の7つのような項目です。

 

・生産管理
・在庫管理
・帳票の作成
・図面の作図
・生産ラインの状況確認
・解析、シミュレーション
・設備保全

 

紙やエクセル、ホワイトボードなどでまとめている生産管理や在庫管理は、ITシステムの導入によって簡略化できます。帳票は、デジタル化することでシステムによる一括管理が可能です。設計・製造工程などで使用する図面を手書きや紙で作成している場合は、2Dや3Dでのデータ化がおすすめ。

 

また、生産ラインはIoTの導入によって生産状況の見える化が実現します。タブレット端末やスマートフォンを有効に活用することで、すべての従業員が状況を把握しやすくなるでしょう。

 

さらに、IT機器を活用して十分な解析とシミュレーションを行っておくことで、製造過程の無駄や手間を省けます。日々の点検作業をはじめとした設備保全は、クラウド管理により管理者にも即座に報告可能です。

 

紙やエクセルで管理している業務をはじめ、作業を円滑に進める手段としてデジタル化したシステムを導入しておくことで、効率良く業務が進行。省人化も実現しやすくなるでしょう。

 

(出典)
トヨタ生産方式 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

「省人化」製造業におけるメリット

徹底的に無駄を排除した生産体制である省人化。効率が重視される製造業の現場では、省人化の導入によって多くのプラス効果が得られます。

 

省人化を製造業の現場に導入する6つのメリットをご紹介しましょう。

人手不足を解消できる

人員削減を目的として取り組む省人化は、人手不足の解消に効果的です。少子高齢化の影響に伴い、深刻な人手不足に陥っている製造業界。事業を存続するためには、適量の人材が確保できない状況が続いたとしても生産性を維持し続けなければなりません。

 

省人化によって人手が足りていない工程に機械やロボットを導入することで、現状の作業人数のまま生産性を担保できます。人手不足に悩まされている生産現場では、パターン化している工程への機械導入を検討してみるとよいでしょう。

 

関連記事:

製造業が人手不足になる原因は?企業にできる対策法を解説

 

コスト削減につながる

省人化は、人材採用にかかるコスト削減も可能です。省人化によって、今まで多くの人手が必要だった工程を最小限の人数でこなせるようになります。機械を導入する費用はかかりますが、新しい人材を探す時間や人件費を軽減できるため、長期的なコスト削減につながるのです。

 

人材採用に多くの時間と経費がかかっている場合は、省人化を導入してみるとよいかもしれません。

生産性の向上が図れる

省人化は、製造業にとって重要な生産性を向上させる役割も果たします。人の手で行っていた業務を自動化することで作業スピードが速くなり、おのずと生産量を増やせるようになるのです。また、作業が自動化したことによって、新規事業や事業拡大の構想を練る活動に人員を集められます。

 

省人化の導入は、今までの生産性を維持したまま新たな事業展開が可能となるでしょう。

製品の品質が安定する

省人化の導入は、製品の品質を安定させることにもつながります。省人化によって人が行っていた作業を機械化するため、人的ミスのリスクが軽減。また、作業者によって異なるわずかな品質の差もなくなります。省人化を導入し、安定した品質の製品を継続して量産することで、顧客からの信頼も得られやすくなるでしょう。

現場の労働環境が改善する

省人化による機械やロボットの導入は、生産現場で働く従業員の労働環境改善にも大きな役割を果たします。従来、人の手で行っていた重労働や細かな作業工程を機械化することで、従業員にかかっていた負担やストレスが軽減。従業員は、繰り返し作業にかける時間を減らして創造的活動が必要な業務に注力できます。

 

また、快適な労働環境の実現により、安定した雇用の確保が可能。機械に任せられる工程は積極的に省人化を図ることで、長く働きやすい現場が実現できるでしょう。

技術継承問題を解消できる

省人化は、製造業における技術継承問題の解消にもつながります。これまで、長く働いている技術者の経験によって保たれていた製造技術は、スキルの継承が困難でした。一流の技術者になるまでに時間がかかるだけでなく、後継者が見つからず技術自体が消滅してしまうリスクも高まっているのです。

 

省人化では、生産現場に機械やロボットを導入するだけでなく、技術をデータ化してだれでも同じように作業ができるようになります。人が請け負う作業を減らしたうえで業務を標準化し、効率良く有能な人材を育成できるでしょう。

「省人化」製造業におけるデメリット

製造業において、多くのメリットがある省人化。しかし、導入する際にはデメリットも押さえておく必要があります。

 

省人化を導入する2つのデメリットをチェックしておきましょう。

機械の導入コストがかかる

省人化するデメリットには、機械の導入コストがかかる点が挙げられます。効果的な省人化を図るためには、機械化できる作業に積極的な設備投資が必要です。しかし、一気に導入することで莫大な投資コストがかかってしまうかもしれません。

 

作業の機械化を検討する際には、導入コストも考えたうえで最も効果的な工程からスタートしてみるとよいでしょう。

DX化に対応した人材育成が必要

省人化を図る際には、デジタル技術やデータを活用した生産体制を整えることが必須条件となります。このDX化した体制へと変えるためには、デジタル技術に対応できる人材を育成しなければなりません。自社にデジタル技術に詳しい人がいない場合には、外部の専門家の意見を取り入れる方法も有効です。

 

併せて、すべての従業員に新たな生産体制を浸透させるために、ある程度の時間を要することも見越しておきましょう。

 

(出典)
経済産業省|「デジタル・トランスフォーメーション」DXとは何か?IT化とはどこが違うのか?

最後に

省人化・省力化・少人化の違いと、製造業で省人化を実現する方法、省人化のメリット・デメリットまでをまとめて解説しました。製造業の生産性を上げるための重要なポイントとなる省人化は、業務の無駄を省いて作業の標準化を図り、機械やロボット、ITシステムを導入することで実現可能です。機械を導入する際のコストはかかりますが、省人化により人手不足の解消・安定した生産体制の確立・品質の維持・向上につながるでしょう。

 

MENTENA(メンテナ)」は、クラウド型の設備保全システムを展開。低コストで始められるだけでなく、サポート体制も万全です。省人化の一歩として、導入検討されるのはいかがでしょうか。

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