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2024.07.30

トレーサビリティとは?製造業で重視される理由や実践法を詳しく解説

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トレーサビリティは、製品の品質担保や、生産性の向上を目指すうえで欠かせない概念。近年では、製造業やサービス業など幅広い業界での事業運営において、トレーサビリティの需要が高まっています。そこでこちらの記事では、トレーサビリティの概念や注目されるようになった背景、具体的な実践方法など基本的な知識について詳しくご紹介。トレーサビリティの効果的な導入方法について興味がある企業担当者さまは、ぜひお役立てください。

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目次

製造業におけるトレーサビリティの基本的な概念

トレーサビリティとは、原料や部品の調達から消費に至るまでの全工程を追跡可能な状態にすること。意味の定義は各業界で異なりますが、製造業においては「どのような原料や部品を調達したか」「どこでどのように製品を作ったか」「生産した製品がどこで流通・販売されるのか」といった情報を把握するための仕組みを指します。

 

トレーサビリティでは、主に「トレースフォワード」と「トレースバック」という用語を使用します。トレースフォワードは時系列に沿って情報を追跡すること、トレースバックは時系列を遡って記録をたどることです。なお、トレーサビリティの種類は「チェーントレーサビリティ」と「内部トレーサビリティ」の2つに大きく分類されます。

チェーントレーサビリティ

製造業では、トレーサビリティの多くがチェーントレーサビリティを指します。チェーントレーサビリティとは、複数の「企業間」で製品の移動を把握すること。チェーントレーサビリティを構築すれば、原料の調達・加工・組み立て・物流・販売など製造に関わるすべての事業者が、部品や製品を追跡したり遡及したりできるようになります。

 

製造履歴が明確になるため、製品に不具合や故障が生じたときでも、原因の究明や製品の回収に着手しやすくなるのが大きなメリットです。

 

ただし、複数の企業にトレーサビリティの管理が及ぶため、事業者が密に連携し合わなければ、チェーントレーサビリティは実施できません。各企業間でトレーサビリティの理解や取り組み内容に差が生じないよう、サプライチェーン全体で認識を合わせておくことが重要なポイントです。

内部トレーサビリティ

内部トレーサビリティとは「工程内」での製品移動や作業内容を把握することです。内部トレーサビリティでは、物流全体ではなく拠点ごとに情報の追跡が可能な状態を構築します。自社内で仕組みを完結できるため導入しやすい一方で、情報管理のための新たな作業が現場で生じることもあります。作業者からの反発が起きないよう、導入前には管理側と現場側の双方がしっかりと話し合っておく必要があります。

トレーサビリティが重視されるようになった背景は?

トレーサビリティが国内で重視されるようになった理由としては、いくつかの背景があります。

BSE問題によって世間が注目

2003年に欧米で発生した牛のBSE(牛海綿状脳症)問題は、トレーサビリティの重要性を大きく浸透させることになったきっかけの1つです。BSEを発症した牛の肉や危険部位が混入した食品を摂取することで、人にも感染することが判明した事件です。

 

この事件を受けて消費者の牛肉離れが進みましたが、農林水産省はなんとか安心して牛肉を食べてもらおうと牛トレーサビリティ法を導入。国内で生まれたすべての牛を個体管理するなど、牛肉に関する仕入れや販売の記録を義務付けました。

 

これにより、インターネットを利用すれば、消費者が自由に牛の生産履歴をたどることができるように。それまで製造業で一般的だった「トレーサビリティ」という用語が、一般消費者にまで広がる社会現象となりました。

 

そしてBSE問題を皮切りに、生物由来製品を扱う事業者など、食品をはじめ、医療の分野でも次々とトレーサビリティが義務化。国内で急速にトレーサビリティの取り組みが拡大するきっかけとなりました。

リコールへの対応が円滑に

トレーサビリティを導入すると、原料や部品の調達・加工・組み立てなど、流通に関わるすべての工程がデータとして蓄積されます。つまり、万一製品の不良や故障が判明し、リコールしなければならない状況に陥っても、問題の工程を早期に発見することができます。各工程で履歴が残っているため、不具合が起きている製品がいつ・どのように作られ、現在どこにあり、誰に販売されているのかといった影響範囲が明確にできるのです。問題のある製品が特定できれば、企業は不良品の回収やリコール対応をスムーズに進めることができます。

 

結果として問題発生によるリスクや損害を最小限に抑え、早期に売上の回復を目指すことが可能となります。万一のリコールに対応する有効な手段として、トレーサビリティは注目を集めています。

業務の効率化が図れる

トレーサビリティが確立していれば、納品先の顧客情報も追跡できます。これにより、受注予測を踏まえた生産計画やマーケティング施策などを顧客のニーズに合わせて展開することが可能です。結果として、業務の効率化や収益アップにつながります。

 

また、トレーサビリティにより原料や部品の仕入れ先・製造場所に関する情報を公表できるようになれば、消費者は企業へ信頼感・安心感を覚えるでしょう。トレーサビリティは、顧客管理や業務の効率化を実現するだけでなく、企業のブランドイメージ構築にも貢献します。利益を高めつつ企業としての誠実な姿を表明できることから、トレーサビリティは現在多くの業界・業種で導入が進められているのです。

製造業DXの実現を可能に

製造業においてのDX化とは、デジタル技術を取り入れて業務を効率化し、製品を利用した顧客の生活や社会をよりよいものへと変革することを指します。現状、まだまだアナログな体制が定着している製造業。DX化は、製造業の成長を促すことが見込まれています。トレーサビリティの導入が進めば、製造業DXが大きく進むと期待されています。

製造業でのトレーサビリティ導入課題

メリットの多いトレーサビリティですが、なかには「意欲はあるものの、思うように導入が進んでいない」企業も少なくないのが現状です。ここでは、トレーサビリティの導入を阻害する要因について考察します。

導入に必要なコストの不足

トレーサビリティを導入するには、それなりのコストが必要です。特に、チェ―ントレーサビリティの規模が大きくなるほど、かかるコストも膨大になります。中小企業のなかには、コスト不足が原因でトレーサビリティの導入を断念するケースも珍しくはありません。

 

また、導入する段階でトレーサビリティの費用対効果を感じにくいのも、初期投資を踏みとどまる要因となっているようです。たしかに、トレーサビリティはそもそも問題発生時に備えるためのものです。問題が起きて初めて、導入のメリットを享受できるでしょう。

 

しかし、製造過程の情報が公開されていることは、消費者にとっての信頼感・安心感につながることを忘れてはいけません。「信頼のおける企業」「安心感のある企業」というブランドイメージは、消費者の購買意欲に大きな影響を与えます。

現場の作業量が増加する

場合によっては現場で新たな作業が発生することも、トレーサビリティの導入における懸念材料です。特に作業員一人あたりの負担が大きい中小企業では「これ以上現場の作業量を増やせば反発が生まれる」といった問題を抱えています。

 

たしかに、具体的な説明が作業員に行われることなくトップダウンでトレーサビリティが進めば、現場との衝突も生じる可能性があります。しかし、トレーサビリティで収集した情報がトップと現場の双方にとって役立つものであれば、社員全員が納得してトレーサビリティの構築に協力してくれるはずです。事前にしっかりとコミュニケーションを取る・事業規模に合わせて無理のない範囲から始める・現場の作業量を極力増加させない手段をとる・トレーサビリティの実現により削減できる個所とセットで評価するなど、現場への配慮を忘れないことが、導入成功のカギを握っています。

製造業でトレーサビリティを実践する方法

製造業でトレーサビリティを実践するには、さまざまなICTが必要となります。ここでは、具体的なソリューションについて解説します。

ブロックチェーン技術の展開

ブロックチェーンとは、データを分散して管理するための技術です。データの透明性とセキュリティ性が高く「書き込まれた情報が改ざん困難」な特性を持ちます。従来のデータベースでは、製造に関わるすべての事業者が独立したデータを保存していましたが、ブロックチェーンではデータ全体が連結した状態で情報を管理するのが特徴。つまり、データが1つにつながっているため、途中のブロックを抜き出して別のブロックに置き換えるといった行為が不可能ということです。このような特性を持つブロックチェーン技術をトレーサビリティに導入すれば、高い業務継続性と機密性を実現できます。

RFIDタグを現場で活用する

RFIDタグとは、無線を使って情報を自動認識する技術です。RFIDタグを専用のリーダーで読み込むだけで、製造データや品質検査データといった製品に関するあらゆる情報を管理システムに取り込むことが可能です。すべてのタグをそれぞれスキャンする必要もなく、電波が届く範囲であれば一括で情報を読み取れるため、各流通過程での記録を容易に行えます。

 

また、RFIDによる情報伝達は温度や湿度といった外部環境の影響を受けにくく、安定性も高いのが特徴。データは読み取りだけでなく書き換えもできることから、トレーサビリティの効率的な運用に大いに役立ちます。

MENTENA(メンテナ)

MENTENA(メンテナ)」とは、設備の保全業務に特化したクラウド上のサービスです。紙やExcelではなく専用のデータベースで一元管理するため、設備保全に伴う点検・記録といった業務を効率良く行えるのが特徴です。

 

トレーサビリティの観点においても、ユーザーIDによる管理で、保全業務のデータをいつ、だれが、どの機能を、どのように登録・編集したかが確実に記録されます。設備の日常点検データや、保全履歴を確実に蓄積し、計画的な保全活動(予防保全)や安定的な生産をご支援します。

 

さらにMENTENA(メンテナ)では、ID数に応じた月額制のプランを採用。これにより、コスト面が心配な場合でも、初期費用を抑えたスモールスタートを実現できます。また、MENTENA(メンテナ)の導入時には現場で混乱が起きないよう、カスタマーサクセスチームがサービス定着を徹底的にサポート。使い方の講習やセミナーを開催するほか、わからない点は電話やメールで適宜対応するなど、万全の支援体制を整えています。

 

このように、コスト不足や現場での作業量増加といった課題を解決できることが、トレーサビリティにMENTENA(メンテナ)を利用する何よりのメリットです。規模の大小に関わらず、製造業をはじめとしたさまざまな企業で導入が進んでいる理由の1つといえるでしょう。

最後に

トレーサビリティは、不良品の流出防止や品質の安定化、リコールが起きたときの損害の最小化において重要な役割を担っています。そのため、製品の安全性やブランドイメージ向上を意識する多くの企業で導入が進んでいますが、トレーサビリティで成果を上げるには、現場環境を把握したうえで従業員に正しく目的を理解してもらうことが重要です。

 

MENTENA(メンテナ)」には、幅広い業界・業種での導入実績があります。コストやサポート面でトレーサビリティの導入を踏みとどまっている企業さまは、ぜひMENTENAをご検討ください。

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MENTENA編集部

執筆者

MENTENA編集部

製造業向けの業務効率化・業務改善に役立つコラムやセミナー、および有益な資料を通じて、実践的な情報を提供しています。最新のツールの使い方や業界の情報・トレンドを継続的に発信することで、製造業の皆様にとって信頼できる情報源となることを目指しています。

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