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2024.07.19

設備保全とは?目的や課題、保守メンテナンスとの違いやIoT活用について解説

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製造業の工場において、機械や設備を滞りなく稼働させることは大前提です。そこで、生産ラインをトラブルなく稼働させるために重要視されるのが「設備保全」です。この記事では、設備保全の目的や、保全方式の種類といった基礎、課題について解説します。また、昨今、注目されているIoTがもたらすメリットについてもお伝えします。設備保全にIoTの導入を検討している企業さまはぜひご参考ください。

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目次

IT、ICT、IoTとは

 

日常的に目にするようになったIT、ICT、IoTという言葉ですが、区別がつきにくいと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。IT(Information Technology)は「情報技術」、ICT(Information and Communication Technology)は「情報通信技術」を指します。言葉の意味はほぼ同じですが、ITはコンピューターやソフトウェア、アプリケーションなどの情報技術そのものであることに対し、ICTはメールやチャット、ネット検索などの通信技術を使って人とインターネット、または人と人がつながることを表し、人が主体の技術です。ITとICTは、国際的にはどちらの技術もICTとして認識されており、日本でもその認識は浸透しつつあります。

IoT(Internet of Things)は、モノのインターネットを示します。離れた場所のモノの状態を確認・操作するなど、モノをインターネットにつなげて遠隔操作できるのはIoT技術の発展によるものです。IoTを制御したり情報伝達するために、ICTの技術が利用されています。

 

 

設備保全とは?何を意味するのか

 

設備保全を意味する「Productive Maintenance(プロダクティブ・メンテナンス)」とは、機械や設備が滞りなく稼働し、安全な環境のもと、安定した製品供給ができるように維持・管理することです。具体的な活動としては、設備の点検や整備、修理などが挙げられます。
「設備が順調に稼働することで、価値が見出される」という考えに基づき、利益を生み出すためにも設備保全を通じて生産ラインを動かし続ける必要があります。

 

 

設備保全の目的とは?

 

設備保全の主な目的は「機械トラブルを防止し、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)といった、3つの生産活動を維持する」「事故を防止し、安全性を保持する」「不必要なコストを削減する」ことです。これらの目的について、より細かく解説していきましょう。

 

 

安全性を長期的に保持する

工場内の生産設備の保全を正しく行うことで、設備のトラブルを未然に防ぐことができます。重大な設備トラブルへ発展することも回避できるため、機械の長寿化を可能にするでしょう。さらに設備が良好に稼働すれば、安全な状態で生産を行えるため生産率もアップします。また、設備不良が原因で技術者の人命に直結する事故が起きるのは問題です。設備保全を遂行することで、技術者の安全性が保持できるでしょう。

 

設備の故障を低減する

設備保全を徹底すると、設備の故障を減らせます。設備が故障してしまうと、工場のラインが停止し、製品を生産できないとなれば、企業が経済的に大きなダメージを負います。
設備保全を徹底すれば、設備の停止による損害を防ぐことができるのです。

 

設備部品の耐久性を上げる

設備保全は、設備に備わる部品を長持ちさせることにも役立ちます。製造業の生産設備には多くの部品が使用されており、使用するたびにそれぞれの部品で劣化が進みます。劣化が進むと、停止時間増加による生産性の低下や、設備の故障などの事態に陥りかねません。
部品は定期的な交換が必要となりますが、まだ耐久年数が残っているものまでむやみに交換するとコストが増えてしまうデメリットもあります。コストを抑えるために、設備部品をできる限り長く使うこと・状態を見極めることが求められるのです。

 

設備の停止時間を削減する

設備の稼働をできる限り停止しないことも、設備保全の目的です。工場の生産設備には、主に2つの停止タイプがあります。わずかな停止が1日に数回頻発する「チョコ停」と、再稼働できるまでに数時間かかるような、影響の大きな「ドカ停」です。
停止には設備の故障に限らず、さまざまな要因が関わっていますが、故障が近づいてくるとチョコ停が頻発する傾向にあります。たとえ数分のチョコ停であっても、積み重なると長時間のロスになります。生産性を上げるため、チョコ停への対策も設備保全の重要なポイントになるでしょう。

 

欠陥品の発生を防ぐ

設備保全により、製品に欠陥が生じるのを防止できます。設備の状態が悪いと物損が起こりやすくなり、出荷できる良品が少なくなってしまいます。場合によっては、同じ生産ラインで作られた製品をすべて処分しなければならないことも。結果的に、廃棄された製品の材料費や人件費などが無駄になってしまいます。設備保全は、品質を安定させることはもちろん、金銭的な損害の防止にも役立つのです。

 

メンテナンス

 

保守・メンテナンスとの相違点

 

設備保全と保守・メンテナンスの言葉には、似たイメージを持つでしょう。広義では、これらは機械設備の点検や修理を行うという点で同様の活動内容です。違いを挙げるとすれば、保守・メンテナンスは設備機器メーカーが実施する行為を指します。設備の故障を未然に防ぐための整備をはじめ、機械が壊れた際の修理という意味合いも強いです。
一方で、設備保全は実際に設備を使用する工場による行いであり、自社が所有する機械設備の故障防止や、安全を保つ意味合いが強い傾向にあります。

 

 

設備保全の3つの保全方式

 

設備保全の業務は、主に3つの保全方式に分かれます。以下の保全方式を組み合わせることで、よりよい設備保全が実行できると考えられています。

 

予防保全

予防保全は、事前に立てた計画に沿って、工場の機械設備の点検や修理、部品交換などを行う保全方式です。あらかじめ作成したスケジュールに沿って予防保全を行うことで、機械設備のトラブル発生を防止でき、稼働も安定します。
予防保全は、さらに以下の2つの基準に分けられます。

 

・時間基準保全(Time-based-maintenance:TBM)
・状態基準保全(Condition-based-maintenance:CBM)

 

時間基準保全は、特にトラブルがなくても、決められた期間に到達したら部品を交換する保全業務です。部品に劣化が生じる前に交換することにより、大きなトラブルの発生を防ぐことができます。一方の状態基準保全は、部品のダメージを確認したうえで、交換作業を行う保全業務です。また、状態基準保全は、後述する予知保全の面にも関係します。

 

事後保全

事後保全は、機械や設備に対して故障や停止など、トラブルが発生したあとから行う保全方式です。
事後保全が求められる故障には以下の2つの種類があります。

 

・機能停止型故障
・機能低下型故障

 

機能停止型故障とは、生産設備が完全に停止した状態を指し、生産ラインが機能しなくなる、非常に大がかりな復旧が必要になる故障のことです。一刻も早く事後保全を講じなければなりません。機能低下型故障は、生産設備が停止してはいないものの、作動しにくくなる、スピードが落ちるといった設備機能が落ちている状態のことです。機能が低下した状態で稼働を続けると、品質低下や不良品が発生してしまう可能性があります。

 

事後保全ではなく予防保全をしていれば、上記のようなトラブルは防げるため、事後保全にマイナスのイメージを抱く人もいます。ただし、設備によってはコストをかけて予防保全をするのではなく、あえて事後保全で対処するケースもあるのです。
とはいえ、生産ラインの停止は、大きな損害につながります。機械や設備の不調が起きた原因を究明し、再びトラブルを起こさないように対策をすることも、事後保全の重要なポイントです。

 

予知保全

予知保全とは、機械や設備の故障や不具合が起きることを予知して対策をする保全方式です。「一定期間使用した部品を劣化に関わらず交換する」といった予防保全の時間基準保全でもなく、「故障やトラブルが起きたら対処する」という事後保全でもない予知保全は、理想的な保全方式として昨今、注目されています。

予知保全を遂行するには、機械設備の不具合や故障を監視する先進的なテクノロジーによるシステムの構築が必要です。また、予兆検知の精度向上には、故障の予兆情報を数多く収集する仕組みが重要となります。

 

 

設備保全における課題とは?

 

設備保全では、いくつかの課題も想定されています。日本の製造業界では、ベテラン技術者の「勘」「知識」「コツ」を軸として設備維持や管理する傾向にありました。しかし、少子高齢化の現代においては、若手への継承も難しく、このような維持管理方法では高い生産性を維持できません。
また、人手不足が問題となっている昨今では、一人ひとりの抱える負担も多く、簡単な点検の見落としや管理不足などの人的ミスも起こりやすい状況にあるのも課題です。
つまり、いかに業務の効率化を図れるかが重要となってきます。

 

 

ICT、IoTによる設備保全の最適化

 

設備保全における問題点を解決し、設備保全を最適化するにはICTやIoTの導入が有効です。例えば、ICTを活用して情報収集を行い、IoTで生産設備をインターネットに接続して機械制御を行うことで、設備の故障をより細かく予兆でき、予知保全を最適化できるでしょう。
さらに、AIを活用して高精度な情報収集を行なうことで、生産設備を監視するうえで重要な故障や不具合を見極めやすくなり、大規模な機械停止を避けられるようになります。
予知保全が確実に行われると、機械や設備の稼働率も向上し、より生産性を高めることができると期待されています。

 

ICT、IoTによる設備保全を進めるには

前述したように、製造業界においては若手の人材不足が問題視されています。また、グローバル化による競争を勝ち抜くため、日本の製造業界では、より生産性を上げることが必須です。
これらを実現させるために、生産設備にIoTの導入によるオートメーション化を推進。省人化・無人化を図り、効率良く生産設備を稼働することが求められています。メリットの多いように思えるオートメーション化ですが、以下のような新たな課題も生まれます。

 

・初期費用がかかる
・機械や設備の故障への対応
・知識を持つ人材の確保
・オートメーション化できない作業のフォロー

 

製造業の工場においてオートメーション化を図るには、機械の購入や設置についてイニシャルコストがかかります。長期的に考えると費用対効果が優れているのですが、ばく大な費用に迷うこともあるでしょう。そこで一度に大がかりなオートメーション化を図るのではなく、まずは生産効率の向上につながりやすいポイントに絞って始めるのもよいでしょう。
また、作業工程のなかには、オートメーション化せずに目視や人の経験が役立つ仕事もあります。オートメーション化するのか、人間が行うのかをしっかりと見極めるのがポイントです。

 

機械や設備は、故障やトラブルが起きるもの。定期的なメンテナンスや緊急時の修理などへの対応、また機器の適切な運用ができるスキルを持った人材確保も重要です。これらをふまえ、オートメーション化を実現するには、サポート体制の整ったシステムを導入することが大切です。また、極力初期費用がかからない設備保全システムを選ぶことも大きなポイントとなるでしょう。

 

 

最後に

 

設備保全とは、機械や設備を安定して稼働させ、製品を安定的に生産するための維持管理業務です。安全性を保ったうえで、生産設備の故障や停止時間を低減させ、不良品を発生させず安定した製品供給をすることが目的です。従来は人の感覚や経験によって進められていましたが、より効率のよい維持管理には、ICT、IoTといった技術の導入が有効です。

MENTENA(メンテナ)」はクラウドシステム管理を活用した設備保全システムです。作業計画や履歴、停止の原因・対策を記録でき、傾向分析などによる設備の安定的な稼働や設備保全の効率化をサポートいたします。また、初期費用0円で導入いただけます。ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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MENTENA編集部

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製造業向けの業務効率化・業務改善に役立つコラムやセミナー、および有益な資料を通じて、実践的な情報を提供しています。最新のツールの使い方や業界の情報・トレンドを継続的に発信することで、製造業の皆様にとって信頼できる情報源となることを目指しています。

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