お役立ち記事
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2024.07.02
製造業において聞きなじみのある「保守点検」。重要性は広く知られていますが、正しく理解して取り組んでいるところは少ないのではないでしょうか。そこで今回は、保守点検を実施する目的やメリットを改めておさらい。保守点検の展望や、点検業務を効率化させる方法もあわせてご紹介します。ぜひ工場経営や業務フローの見直しにお役立てください。
目次
保守点検は、製造業と切り離して考えることができません。まずは保守点検について、正しい知識を身に付けておきましょう。
保守点検とは、その名のとおり設備や機器を点検し、安全や正常な動作を担保する業務を指します。現場で使われる設備・機械は、故障や不具合がつきもの。保守点検をしなければ、重大事故や損失につながるリスクもあります。保守点検は事前にきちんと計画を立て、スケジュールに沿って行うことがポイントです。現場の作業員が日々の点検や清掃を行う「日常点検」と、月単位でより細かく調査を行う「定期点検」があり、点検する項目についてもしっかりと検討する必要があります。
保守点検と似た言葉に、設備保全があります。設備保全にも設備や機器を点検して正常な状態を保つといった意味があり、両者に明確な違いはありません。ただし、企業や現場によっては業務で呼び分けているところもあります。例えば、部品交換やボルトの締め込みなど異常がない状態のときに行うメンテナンスを設備保全と呼び、点検時に発覚した問題に対処することを保守と呼んでいるパターンです。ほかにも、自社で行うメンテナンスを保守点検、メーカーによる点検を設備保全と使い分けるケースも。いずれにせよ、重要なのは呼称ではなく点検内容と作業する現場の技術者の理解です。なぜ保守点検を行うのか目的を明確にして、現場全体で共有することが大切です。
上述で保守点検は設備や機器を正常に保つために行うと触れましたが、保守点検を行う具体的な目的をそれぞれ見ていきましょう。
設備の故障は業務を滞らせ、納品の遅れによる損害や、残業代、追加の原材料費を発生させてしまう恐れも。また、小さな問題を見過ごすことで大規模な修繕が必要となり、想定外の支出となる可能性もあります。定期的に保守点検を行うことで設備の状態を把握できるだけでなく、万が一問題が発生しても、修理や交換で故障のリスクを最小限に抑えることが可能です。
設備や機器が故障すると、不良品の発生を招きます。大量の廃棄を出さないためにも、保守点検が必要です。さらに、もし不良品が市場に出回った場合、大きな問題へと発展するでしょう。顧客からの信頼を失うだけでなく、リコールや労働災害(労災)など、より深刻な状況になる可能性もあります。保守点検は、不良品発生による問題を防ぐ役割もあるのです。
設備の故障が原因で技術者が怪我などをしてしまった場合、労災に当てはまります。企業は現場の技術者の安全を守る必要があり、労災を防止するために保守点検が欠かせません。仮に保守点検を怠ったことが原因で労災が発生すると、法律違反となり、責任者が罪に問われる可能性もあります。
保守点検は、さまざまなリスクを回避するために行われることがわかりました。では、保守点検で得られるメリットやプラスになる効果はあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
保守点検で設備の不具合を早めに発見できれば、不良品の発生を抑え、製品の品質安定化へとつなげられます。製品の品質を均一にすることは顧客満足度にも反映され、売上アップや新規顧客獲得などにもつながるでしょう。工場を経営していくうえで、保守点検による品質の安定化は大きなメリットといえます。
保守点検は、設備を維持するために必要な費用を削減することも可能です。設備の劣化や消耗を保守点検で早期発見することで、修理や部品交換の時期を把握しやすく、無駄のない予算計画を立てることができます。また、適切な保守点検を行うことで設備の寿命が伸びれば、トータルのコストも抑えられるでしょう。浮いた予算で新しい設備の導入もしやすくなります。
日常的な保守点検で設備や機器への知見が深まると、万が一トラブルが発生しても対処しやすくなります。設備に関する独自のノウハウを得ることができれば、不具合の兆候を察知したり、速やかな原因究明が可能になったりと、得られるメリットは大きいでしょう。設備の停止による損失や技術者の業務過多を防げるほか、新しい設備を導入する際にもノウハウを活用できます。
製造業におけるDXとは、AIやIoT、ICTなどのデジタル技術を活用し、業務の効率化やビジネスの発展を目指すものです。保守点検も例外ではなく、DX化が必要だとされています。ここでは保守点検にデジタル技術の導入が必要な理由を解説します。
保守点検は、設備ごとにスケジュール管理と点検項目の選定をしなければいけません。情報量が多く、また点検を重ねるごとに蓄積されるデータを管理・更新する必要があります。手作業によるパソコン管理や紙ベースでは、見落としや記載漏れといったミスが発生しやすく、膨大な労力と時間を費やさなければいけません。そのため情報の展開までにタイムラグが生じ、トラブル発生時には対応が遅れるといった課題があります。
製造業界は全体的に人手不足です。その中で保守点検を行うとなると、技術者への負担が増加する、もしくは保守点検に十分な時間をかけられないなどの課題に直面します。限られた人材で設備を安全かつ正常に維持していくためには、デジタル技術の活用が欠かせません。点検業務に対する負担が減れば、余ったリソースをほかの業務に割くなど、業務プロセス全体の見直しも可能です。
設備を点検する際には専門的な知識や技術を要するため、ベテラン技術者に依存しやすく、業務が属人化する傾向が高いです。点検業務を次の世代へ継承するには、ベテラン技術者が培った経験や技術を、情報として共有する必要があります。デジタル技術を活用すれば、保守点検に必要なノウハウをデータ化して、人材育成やマニュアルの強化に役立てることが可能です。データを一元管理することで人為的なミスを減らし、品質の安定化も図れるでしょう。
保守点検に活用できるデジタル技術にはどのようなものがあるのか、一例をご紹介します。
AIでデータを解析し、設備の不具合をいち早く知らせるというものです。AIに通常の動作を学習させておくことで、異常を発見したときに警告を出すという仕組み。手作業や人の目では気付けなかった、ささいな異常も検知できます。
従来の保守点検は、データの収集、管理、保全計画の立案など、多くの工程を踏む必要がありました。これらをクラウド上での一括管理で、どこにいても誰でもデータベースにアクセスでき、業務を大幅に効率化させることができます。
製造業における保守点検は、リスク回避のほか品質向上や顧客満足度にもつながる重要な業務です。上手にデジタル技術を取り入れながら、未来を見据えた工場経営を行っていきましょう。当社では保守点検にご活用いただけるクラウド設備保全システム「MENTENA(メンテナ)」を提供しております。デジタル技術の導入はコストがかかりがちですが、取り入れやすい価格帯を実現しました。興味がありましたら、ぜひMENTENAまでお問い合わせください。
執筆者
MENTENA編集部
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