お役立ち記事
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2024.08.23
保全計画とは、設備保全に取り組む際の指針となるもの。保全業務を行う前に十分な計画書を作成しておくことで、円滑に作業を進められます。そこで今回は、設備保全に取り組むうえで重要なポイントとなる保全計画の概要と重要性、メリット、保全計画の立て方について徹底解説。保全計画をスムーズに立てるためのポイントもあわせてご紹介します。設備保全業務の効率化を図りたい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
設備保全とは、機械をはじめとした設備の安全かつ安定的な稼働を維持する活動のこと。設備点検を行い、必要であれば部品の交換や修理を施して整備します。点検以外にも、突発的な故障や不具合が生じたときの対応が必要です。
設備が安定して稼働し続けることで、生産ラインの停止期間が減少。無駄のない効率的な生産活動が実現します。生産活動の維持・向上や工場で作業する技術者の安全に直結している設備保全は、製造業にとって必要不可欠な業務といえるのです。
保全計画とは、設備保全業務を適正に遂行するために必要な指針のこと。保全計画のなかには、機械をはじめとした設備の性能や機能、点検・整備作業を行う周期、消耗品の交換時期、機械を分解して清掃作業や部品交換を行うオーバーホール実施時期の目安などの内容を盛り込んでまとめます。保全業務に取りかかる前に綿密な保全計画を立てておくことで、作業を順調に進めることができます。保全計画を立てることは、設備保全業務を行ううえで重要な基盤を作るステップといえるでしょう。
綿密な保全計画を立てておくことは、製造業にとって不可欠な生産性を維持・向上させることにつながります。保全計画の段階で設備トラブルが発生する可能性を熟考しておくことで、適正な保全作業が実現。思わぬ故障や不具合を防止できるでしょう。
設備トラブルが起こりにくい生産現場では、効率良く作業が進むため、生産性を維持・向上させやすくなります。また事故も発生しにくくなるため、技術者の安全確保も容易に可能。多くの設備を扱う製造業の現場では、十分に保全計画を立てておき、設備保全の精度を高めることが大切なのです。
保全計画は、以下の4つのステップを踏むことで策定可能です。それぞれの内容を詳しく確認しておきましょう。
まずは、保有している設備の情報を詳しく記録した設備管理台帳を用意しましょう。設備管理台帳には、設備の種類や機種、導入時期、消耗品の部品番号、点検する箇所、点検・整備サイクルなどの情報を細かく記載しておくことが大切です。設備管理台帳で保全に関するすべての情報を管理しておくことで、漏れのない保全計画が立てられます。
工場にあるすべての設備情報を網羅した設備管理台帳が準備できたら、実施する点検内容を決めましょう。設備管理台帳に記録した設備の導入時期や点検・整備サイクルなどの情報をもとに、どの設備のどの部分を作業するのか検討します。
また、保全計画の段階で点検・整備する基準を定義しておくことで、作業漏れを防止できます。新しく導入した設備は、保全計画の段階で点検周期と点検内容をあらかじめ定めておきましょう。
点検内容が確定したら、担当者と実施日程を決めます。対象となる設備の機能や点検内容を確認し、技術者(作業者)のスキルとスケジュールを考慮して担当を割り振りましょう。おのおのの能力に合わせた適切な役割分担を行うことで、保全作業がスムーズに進みやすくなります。実際の作業に支障をきたさないためにも、計画段階では無理のないスケジューリングを心がけましょう。
点検内容・担当者・実施日時が確定したら、作業指示書を作成します。作業指示書は、実際に現場で行う点検・整備作業を円滑に進めるための書類です。文字や写真などで示すことで、伝達ミスを防げます。作業する設備の名称、点検内容、終了までの時間、担当者、作業実績などの情報を明確に示しておきます。作業の注意事項がある場合には、備考欄に記載しておくと安心です。作業者がわかりやすいように簡潔にまとめましょう。
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保全計画を立てておくことで、設備保全を実施する際に3つのメリットが得られます。それぞれ詳しく解説しましょう。
保全計画を立てることは、精度の高い保全作業を実現しやすくなる点が大きなメリットです。保全計画は設備管理台帳をもとに策定するため、現状では不具合が起こっていない設備にも目を向け、点検や整備を行う必要があるかのチェックが可能です。立案時に作業が必要な箇所をすべて抽出しておくことで、精度の高い適正な保全作業が実現。機械の故障やトラブルを回避しやすくなるため、ダウンタイムを減らせるでしょう。
保全計画を立てておくことは、設備保全業務を円滑に進める役割も果たします。保全計画は、設備管理台帳に記録した内容を確認して計画を立てるため、設備に関する情報をあらかじめ十分に把握しておくことが可能。作業にあたる技術者のスキルに合わせて役割分担ができる・保全内容を事前に確認して作業に取りかかれる・限られた人員を効率良く配備できるといった特徴があります。よりスムーズな保全作業は、時間外労働の短縮による人件費の削減や技術者のモチベーションアップにもつながるでしょう。
保全計画を立てることは、実際に設備保全を行う際に起こりがちな点検・整備の漏れを減少させることにもつながります。保全計画で決めた作業標準に基づいて作成した作業指示書を確認しながら保全作業に取り組むことで、点検・整備中の作業漏れを防止できます。徹底した保全業務が行えると、重大なインシデントが発生せず、安全な職場環境がもたらされるでしょう。もし設備保全で作業漏れが生じた場合には、保全計画に基づいた適切な作業指示書が作成されているか再確認します。
保全計画を立てるときに、押さえておきたい2つのポイントをまとめました。
保全計画の役割は、作業を実施するまでではありません。作業を終えたあとは、保全結果と照らし合わせてフィードバックを行いましょう。設備の稼働状況も含めて保全計画を見直します。劣化箇所や不具合がなく稼働時間も少ない場合には今後の作業回数を減らす、劣化による不具合が生じる可能性がある箇所や稼働率の高い設備は作業回数を増やすなどの改善点がないか検討しましょう。見つかった改善点は、次回からの保全計画に反映させます。
保全計画は、設備管理システムを活用することで作業の効率化を図れます。設備管理台帳へ記載する内容は、最新の情報に更新しながら抜けがないよう管理しなければなりません。紙やエクセルですべての情報を統括することは困難を極めます。
設備管理システムは、設備情報をタブレット端末などで入力可能です。入力した情報は、あらかじめ設定した項目ごとにクラウド上へすべて自動入力されます。設備管理システムを活用することで、保全計画の策定を素早くに進められるだけでなく、保全作業の実施結果も共有しやすくなるでしょう。
保全計画とは何か、その概要と重要性、計画の立て方、メリット、計画するときのポイントをまとめて解説しました。保全計画を立てるときには、設備の保全に関わるすべての情報を設備管理台帳に記載し、漏れなく保全作業が行えるよう確認しておくことが大切です。設備管理システムを有効に活用し、適正かつ効率的に保全計画を策定しましょう。
執筆者
MENTENA編集部
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