お役立ち記事
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2024.12.02
製造業は日本の経済を支える重要な産業ですが、近年、若者の製造業離れが深刻な課題となっています。
この記事では、なぜ若者が製造業を避けるようになったのか原因を探るとともに、人材確保に向けた具体的な対策を解説します。
製造業の経営者や人事担当者は、人材不足解消の対策の参考にしてください。
目次
日本の製造業における人材不足は、深刻な状況です。
データをもとに、現状を詳しく見ていきましょう。
経済産業省によると、日本の製造業における就業者数は、2002年の1,202万人から2019年には1,063万人に減少しており、この20年間の減少率は約11.6%になります。
また、製造業が全産業に占める就業者の割合も、2002年の19.0%から2019年には15.8%まで低下しています。
このように、製造業の人材が減少する傾向は明らかです。
関連記事:
>>工場が人手不足になる原因は?技術者が辞める理由や対策法を解説
離職者の割合が高いために人手不足が生じていることも、明らかになっています。
厚生労働省が公表している2022年のデータによると、製造業の入職者は73万人に対し離職者は78万人で、離職者数が入職者数を上回っています。
入職率は9.6%、離職率は10.2%となっています。
製造業就業者の高齢化も深刻です。
経済産業省によると、製造業における65歳以上の就業者数は、2002年の58万人(4.7%)から2023年には88万人(8.3%)に増加しています。
この変化は、定年を迎えた高齢者の再雇用によって起こっています。
人手不足が深刻化するなか、熟練技術者の経験を活かすために、定年後も現場に残っていると考えられます。
そのため、現在は高齢者の活躍により人手不足が若干緩和されていますが、彼らが退職するとさらに労働力不足が進行することが予想されます。
製造業が持続的に労働力を確保するためには、迅速な対応が求められています。
製造業における人手不足は、さまざまな問題を引き起こしています。
主に以下の4つの点で深刻な影響が見られます。
労働力が不足すると、当然ながら生産ラインの稼働が遅れ、納期に間に合わないことが増えます。
特に中小企業では、社員が減っても代わりの労働力を確保することが難しく、生産効率が著しく低下するケースが多発しています。
納期遅れは顧客の信頼を損ね、最終的には売上の減少につながる可能性があります。
人手が足りなくなると、残った技術者に多くの負担がのしかかります。
長時間労働や過度なストレスが発生しやすくなり、これがさらに技術者の離職を招く悪循環を引き起こしています。
また、技術者一人ひとりの生産性が低下することで、企業全体のパフォーマンスも悪化します。
製造業における人手不足は、人材育成の機会を減少させる要因ともなっています。
中小企業では、人材不足によって日常業務に追われ、若手社員に対する教育や指導に割く時間が確保できないことが多く見られます。
その結果として若手社員は十分なスキルを身につけることができません。
また、熟練工やベテラン技術者が不足することで、若手社員への技術継承がうまくいかないという点も問題です。
長年培われた職人技や特殊な知識が引き継がれないまま廃れてしまうと、製造業全体の競争力が弱まり、将来的に業界全体の成長を阻む大きな要因となります。
人手不足によって現場で働く人が減少すると、安全管理やリスク管理が不十分になることがあります。
労働者が過度に負担を強いられる状況では、作業の質が低下し、注意力が散漫になる可能性が高まります。
その結果、事故やトラブルが発生するリスクが増大してしまいます。
特に製造業は物理的な作業が多いため、作業環境での安全性が脅かされ、技術者の健康にはもちろん、企業の信頼性や業績にも悪影響を及ぼします。
(出典)
経済産業省 | 2020年版ものづくり白書
経済産業省 | 2024年版ものづくり白書
厚生労働省 | 令和4年雇用動向調査結果の概況
製造業における人材不足の背景には、若者の製造業離れが深刻な問題として挙げられます。
製造業はかつて日本経済を支える重要な産業であり、多くの若者がこの分野の企業に就職していました。
しかし、現在では以下のような理由から若者が製造業を避ける傾向が強まっています。
製造業の若者離れが進む理由の1つは、労働環境の厳しさです。
製造業は長時間の立ち仕事や肉体的負荷の高い作業が多く、労働環境が厳しいとされています。
特に、デジタル時代に育った若者は、デスクワークやクリエイティブな職業に興味を持つ傾向が強いため、製造業の物理的な作業に魅力を感じにくいのです。
また、工場の現場では設備のメンテナンスや安全管理が欠かせず、規則正しい生活が求められます。
そのため、柔軟な働き方を望む若者が就職先を探す際の選択肢から外れてしまいます。
製造業の若者離れが進む理由として、給与や待遇への不満も挙げられます。
製造業の給与水準は、他の業種と比較して高いとはいえません。
特にITやサービス業と比べると、製造業は報酬が低い傾向があります。
古い・地味という根強く残るイメージも、若者の製造業離れが進む要因となっています。
実際には最新技術を活用したスマートファクトリーや、ロボティクスを導入する企業が増えています。
しかし、そのような先進的な取り組みが若者に十分に伝わっておらず、よりトレンド感あり自由な雰囲気のある業種に人が集まる傾向があります。
製造業では明確なキャリアパスが見えにくいことも、若者の離れを加速させている要因の1つです。
迅速な昇進や多様なキャリアの選択肢がある他の業種に比べると、製造業は長期間同じ現場で働くことが多くなります。
そのため、将来をイメージしにくく、キャリアアップを目指す若者にとって魅力を感じにくくなっています。
製造業は技術革新が急速に進んでおり、AIやロボットの導入が増えています。
人材不足解消によい影響を与えそうですが、技術革新に伴う新たなスキルや知識が求められるため、従来の製造業のイメージとの間にギャップを感じて離職する若者も多くなっています。
製造業の人材不足を解消するためには、企業としてさまざまな対策を講じる必要があります。
以下では、若者も含めて幅広い人材を確保するための具体的な施策をいくつか紹介します。
製造業における人材確保には、労働環境の改善が非常に重要です。
例えば、長時間労働の是正や、柔軟な勤務形態が求められます。
特に近年では、ワークライフバランスを重視する風潮が強まっており、柔軟な働き方を提供する企業が増えています。
製造業でもリモートワークや時短勤務といった柔軟な勤務形態を取り入れることで、若者を集めることができるでしょう。
また、技術者の健康管理や安全対策に力を入れることも効果的です。
製造業が他業種と競争して人材を確保するためには、給与・待遇を見直す必要があります。
そして、適正な報酬を提示すると同時に、昇給やキャリアアップの道筋を明確にする必要があります。
特に、成果主義の導入や、技術力に応じたインセンティブ制度を設けることで、技術者のモチベーションを高めることができます。
また、スキルアップを図りたい若者に対しては、研修制度を充実させることで魅力的な職場環境を提供することが可能です。
製造業におけるデジタル化の推進は、人材不足の解消に大きく貢献します。
自動化技術やAI、IoTを活用したスマートファクトリーを導入することで、労働力に頼らずに生産性を向上させることができます。
これにより、より少ない人員での業務運営が可能となり、技術者が技術の習得や管理業務に専念できるようになります。
また、最新の技術を取り入れることで若者が興味を持ちやすくなり、業界全体のイメージアップにもつながるでしょう。
製造業の技術継承の問題を解決するためには、若手社員の育成も不可欠です。
ベテラン社員と若手社員のコミュニケーションを促進し、効果的な技術指導を行う環境を整えましょう。
例えば、メンター制度を導入し経験豊富な技術者が若手社員を指導する仕組みを作ることで、知識や技術の伝承がスムーズに進むようになります。
また、外部の研修プログラムや技術競技会への参加を奨励することで、若手社員のモチベーションを高めて技術力を向上させることも効果的です。
関連記事:
>>製造業の人手不足には人材育成が重要!効果的に行うためのポイント7つとは?
>>技術の継承が重要!製造業における後継者育成の課題と対策について徹底解説
若者に製造業の魅力を伝えるためには、教育機関との連携が重要です。
インターンシップや職場体験を通じて、製造業の実際の現場を知ってもらう機会を提供しましょう。
特に、高等専門学校や大学の工学部といった専門知識を持った学生に対して、製造業の現場で得られるスキルやキャリアの魅力をアピールすることで、将来的な人材確保につながります。
また、企業側が学校に対して積極的にアプローチし、カリキュラムの一環として職場見学やセミナーを開催することも効果的です。
製造業の若者離れによる人材不足は、
などが主な原因です。これに対して、
などが有効な対策となります。
特に、デジタル技術を活用した業務効率化は、人手不足を補いながら若者にも魅力的な職場環境を提供できます。
デジタル技術を導入するにあたってぜひ検討していただきたいのが、クラウド型設備保全システム「MENTENA(メンテナ)」です。
設備保全をデジタル化してデータを一元管理し、チーム全員がリアルタイムで情報を共有することで業務の効率化が図れるだけでなく、技術継承にもお役立ていただけます。
執筆者
MENTENA編集部
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