導入事例
導入事例
長野計器株式会社
製造業 圧力計測・制御製品の開発、製造、販売
長野計器株式会社様は、工業計器や半導体製造設備、FA・産業機械、自動車、鉄道車両、建設機械などさまざまな場所で使われている圧力計測・制御機器製品の製造を手がけるものづくり企業です。幅広い産業で使われる基本計器を作り続けてきた同社の製造現場では、設備保全システム「MENTENA」の導入が進んでいます。今回、MENTENAを導入したのは同社の上田計測機器工場 製造部。設備保全係のエキスパートさまに、導入前に抱いていた課題や変化、そして使い勝手などを伺いました。
MENTENA導入前
MENTENA導入後
長野県上田市内に2つの工場を持つ長野計器株式会社(以下、当社)は、1896年創業の老舗企業です。従業員数は、当社全体で、(本体)767名(2024年3月時点)。上田計測機器工場では主に機械式計測機器の生産を行っています。こちらの工場では、設備保全担当者は私を含めて計6名。現場で消耗品交換、さらに設備メンテナンスを主に実施する生産技術部があります。
私の所属する設備保全係が発足したのは6年ほど前で、つい最近です。それまでは、各現場の職長クラスがラインごとに設備を管理していました。設備保全係がスタートした時点で、課題として感じていたのが設備保全履歴の管理や共有です。現場ごとに紙ベースでの管理をしていた状況では、いざというときに過去の修理履歴やトラブル事例を遡って探すだけでも大変でした。
また、補修部品の管理に関しても、担当者の経験に頼る部分が大きく、予備部品や設備保全にかかる費用が年間いくらくらいなのかをきちんと可視化できていなかったのも課題でした。
こうした課題を見渡してみると、すべての問題の源は「情報の共有化」がうまくできていなかったことにつきます。社内でもDX化の必要性に対する声が上がる中、システムメンテナンスに関するセミナーで「MENTENA」を知りました。
設備保全システムを導入するにあたり、複数のシステムを比較検討しました。MENTENAは、設備と部品のデータを紐付けるシステムが構築されていたため、「設備ごとにどんな部品が必要か」「交換したのはいつか」「部品の在庫はどのくらいあるか」などの情報が分かりやすい点に惹かれました。
また、タブレットやスマートフォンで撮影した写真をそのままシステムにアップロードできるので設備ごとの情報を画像でも履歴として残せる点が便利でした。当社が重視していたのは、製造ラインごとに設備保全情報をまとめられることでしたが、その点もシステム上設定できるようになっていたのも決め手となりました。
当社は工場の規模も大きいため、まずは試験的に一部の製造ラインにMENTENAを導入。15IDのプランからスタートしました。導入にあたっては、1カ月半のトライアル期間を設け、トライアル期間中に台帳設定やマスターデータの移行などを行いました。設備保全システムの導入は初の試みでしたので、エクセルや紙管理からデータ管理への移行に対する心理的ハードルが現場にあったのも事実です。ですから、「まずは使いながら何ができるのか、どんな効果やメリットがあるのか」を現場に知ってもらうことを重視しました。
MENTENAを導入して1年で効果が徐々に見え始めています。例えば、設備保全履歴や情報を手書きのメモやチェックシートからデータ入力する時間を、月間で16%ほど削減できました。また、膨大なチェックシートなど紙で管理していた履歴もタブレットに直接入力できるようになったため、10%ほどペーパーレス化が進んでいます。紙の削減はまだまだ途上ですが、このまま点検表などをすべてMENTENAのシステムに移行できれば70%ほど削減できると見込んでいます。
定期点検なども事前にリマインドを設定すれば、前日や2週間前など希望のタイミングで通知がメールで届きます。これにより点検漏れもなくなりましたし、作業計画が立てやすくなりました。設備トラブルが発生する前に、部品交換や点検を確実に実施できるようになっています。
また、導入がある程度浸透すると、現場からも「こういうふうに使いたい」という前向きな声が上がるようになりました。例えば、製造機械の設備保全情報をすぐに呼び出せるよう、QRコードを貼っているのも現場の声から生まれたアイデアです。チェックシートをタブレットから呼び出す際に、各設備のチェックシートをスムーズに見つけるのが難しいという声を受けて、QRコードを導入しました。タブレットでQRコードを読み込めば、すぐに設備保全の履歴や図面、写真などが確認できます。設備保全担当者だけでなく、製造ラインのスタッフも情報を共有できる点はとても便利です。
情報を共有することで、部門を超えて同じ目線で話ができるようになったのも大きな収穫です。今後は人材育成やノウハウ継承という部分でも大いに活用していく予定です。
現在、MENTENAの設備保全システムを導入している製造ラインは、全体のわずか5%ほど。決して多くありません。ですが、1年間運用して作業の効率化や可視化する事により、今後のトラブル発生を削減する事を目的として、着実に効果を実感していますので、システム導入をさらに進める予定です。直近では、ID数を5件追加。さらに異なる製造ラインにも広げる予定です。
また、上田計測機器工場だけでなく別の工場でも導入の検討が始まっています。
設備保全システムは、保全に関わるスタッフだけでなくマネジメント層や製造ラインの現場も変える手応えを感じています。生産ラインのマネジメントをする上で、設備保全にかかるコストの見える化やトラブルの発生件数の推移などは重要な指標です。MENTENAにはすべてのデータが入っているため、タイムリーな情報を俯瞰的に把握できるのもシステム化をする大きなメリットだと感じています。
今後MENTENAを有効に活用していくための課題は、日々MENTENAのシステムを見る習慣を現場に浸透させることです。使ったことのないシステムの導入は、心理的ハードルを感じるのが当たり前です。そのため、使いやすいシステムであること、使用することで日々の業務が効率化されるといったメリットを地道に浸透させていこうと考えています。
品質保全の観点からも、設備保全情報の管理やシステム化は必須です。当社でも社内の監査で、この点が指摘されたこともありました。ですが、この点はMENTENAで設備保全情報を一元管理できる体制になりつつあります。品質マネジメントはものづくりにおいて欠かせない視点です。 安全・安心・高品質な製品づくりを続けるためにも、設備保全のシステム化は欠かせません。
MENTENAの導入により、品質マネジメントの改善が進んでいる点はすでに社内外から評価をいただいています。今後もより一層力を入れて、圧力計測のトップ企業にしかできないものづくり環境をつくっていきます。
長野計器株式会社
1896年創業。創業から120年以上の歴史を持つ老舗ものづくり企業。本社は東京都大田区。圧力計や圧力センサの開発から製造、販売まで手がけている。研究開発の拠点も有する圧力計・圧力センサメーカーであり、国内のシェアも60%を占めている。アメリカ・EUの特許を取得した圧力センサを有し、国内だけでなく世界でも製品への評価は高い。2006年には米・アッシュクロフト社を子会社化。圧力計メーカーとしては世界トップクラスのグループとなっている。
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