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2025.01.10

製造業で無駄をなくす!ムダ取りの改善方法やコツを徹底解説

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製造業では、生産性の向上とコスト削減が常に求められています。その実現に向けた重要な方法の1つが「ムダ取り」です。製造現場でムダを削減することで、作業効率を向上させ、コストの削減や品質向上を図ることができます。特に日本の製造業で重視される7つのムダ「かざふてつどう」は、ムダを効率的に見つけ、改善するための指針として広く活用されています。

この記事では、7つのムダ「かざふてつどう」の詳細な解説と、それぞれのムダに対する改善方法を具体的に紹介していきます。

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目次

製造業におけるムダ取りの重要性

「製造業におけるムダ取りの重要性」のイメージ

製造業におけるムダ取りの重要性は、企業の競争力強化と持続可能な成長に直結しています。

 

トヨタ自動車の創業者、豊田喜一郎は、ムダの徹底的排除を追求し、「ジャスト・イン・タイム」の原則を確立しました。この考え方は、効率的な生産と品質向上を実現するための重要な経営戦略です。ムダ取りは単なるコスト削減策ではなく、企業全体の競争力を高める活動です。

 

トヨタでは「必要なものを、必要な時に、必要なだけつくる」ことを重視し、生産の同期化を図っています。これにより、業務の効率化と不良品の削減が実現されています。

 

また、ムダ取りは一時的な取り組みではなく、継続的な活動として位置づけられています。常に現状に満足せず、よりよい方法を追求し続けることが、製造業の競争力維持には不可欠です。

 

(出典)
トヨタ自動車|トヨタ生産方式

7つのムダ「かざふてつどう」とは?

7つのムダ「かざふてつどう」とは、製造業において見逃されがちな7つのムダを体系的に管理・改善するための考え方です。

それぞれの文字は特定のムダを指し、それを意識することで、効率的な現場改善が可能になります。

 

  • :加工のムダ
  • :在庫のムダ
  • :不良のムダ
  • :手待ちのムダ
  • :造りすぎのムダ
  • :動作のムダ
  • :運搬のムダ

 

これらのムダをなくすことで、作業効率を高め、生産コストを削減することができます。それでは、それぞれのムダについて詳しく見ていきましょう。

か:加工のムダ

「か:加工のムダ」のイメージ

加工のムダとは、製品を製造する際に必要以上の工程を行っている状態を指します。

 

例えば、過剰な仕上げ作業や、品質基準を上回る精度での加工を行うことが挙げられます。これにより、作業時間やエネルギーが浪費され、コストが増大します。

 

また、過剰な加工は設備や工具の消費を早め、メンテナンス費用がかかる原因にもなります。

改善方法

加工のムダを減らすための第一歩は、「加工工程の見直し」です。各工程の必要性を再評価し、最適化を図ります。

 

例えば、CAD/CAMソフトを活用して加工プログラムを効率化することや、最新の工作機械を導入して複数工程を一括で行えるようにすることで、作業時間の短縮が期待できます。

 

また、標準作業の確立も重要です。作業者全員が統一された手順で作業を行うことで、無駄な加工を防ぎます。さらに、品質管理を強化し、過剰な精度の追求を避けることで、必要最低限の加工で済むようにします。

ざ:在庫のムダ

在庫のムダとは、製品や部品を必要以上にストックしている状態を指します。これにより、保管場所が圧迫され、保管コストや劣化リスクが増加します。

 

また、在庫が増えすぎると、管理が煩雑になり、資金の流動性が低下する可能性もあります。さらに、長期保管によって製品が陳腐化し、廃棄することになる場合もあります。

改善方法

在庫のムダを削減するためには、在庫管理の徹底が求められます。例えば、適正在庫量を設定し、過剰在庫を防ぐことが大切です。需要予測の精度を高めるために、販売データや季節要因を分析し、より正確な発注計画を立てることが効果的です。加えて、ジャスト・イン・タイムを導入することで、必要な時に必要な量だけを生産・仕入れする体制を構築できます。

 

また、定期的に在庫の棚卸しを行い、不要在庫を廃棄することで、在庫量の最適化を図ります。

ふ:不良のムダ

「ふ:不良のムダ」のイメージ

不良のムダとは、製造過程で発生する不良品や品質不良による手直し、再加工、廃棄を指します。不良が発生すると、再作業が必要になり、作業時間とコストが増加します。

 

また、不良品が顧客に届いた場合、信用を失うリスクもあります。

改善方法

不良のムダを減らすには、品質管理の強化が不可欠です。QCサークル活動を行い、現場の作業者が自ら品質改善に取り組む体制を作ります。

 

また、製造工程での自動検査機の導入により、早期に不良品を検出し、次の工程への流出を防ぐことができます。

 

さらに、トレーニングプログラムを通じて技術者のスキルを向上させ、作業のばらつきを減らします。工程のFMEA(故障モードと影響解析)を活用して、潜在的な不良原因を事前に予測し、対策を講じることも効果的です。

て:手待ちのムダ

手待ちのムダとは、作業者が次の作業を待っている状態を指します。

 

例えば、部品が揃うのを待っている時間や、設備のメンテナンスを待つ時間などです。この時間が長くなると、作業者の稼働率が低下し、全体の生産性が落ちます。

改善方法

手待ちのムダを減らすためには、作業工程のスムーズな流れを確保することが重要です。ボトルネックとなっている工程を特定し、改善します。

 

例えば、設備の稼働率を高めるために、予防保全を徹底し、設備の突発的な故障を減らします。

 

さらに、多能工化を進めることで、作業者が複数の作業を行えるようにし、待ち時間を削減します。

 

また、生産スケジュールを見直し、作業の順序を最適化することで、手待ち時間の短縮を図ります。

つ:造りすぎのムダ

「つ:造りすぎのムダ」のイメージ

造りすぎのムダとは、実際の需要以上に生産を行うことで発生する無駄を指します。過剰生産によって在庫が増え、保管スペースや管理コストがかかるだけでなく、製品の劣化や在庫の陳腐化リスクも高まります。

改善方法

造りすぎを防ぐためには、需要予測と生産計画の精度向上が重要です。過去の販売データや市場動向を分析し、適切な生産量を設定します。

 

さらに、セル生産方式やフレキシブル生産ラインを導入することで、小ロット生産を可能にし、需要変動に柔軟に対応できます。

 

また、カンバン方式を利用して、生産工程間の部品供給を調整し、造りすぎを防ぎます。

ど:動作のムダ

動作のムダとは、作業者が必要以上に動くことによって発生する無駄を指します。

 

例えば、工具や部品が遠くに置かれているために取りに行く時間がかかる場合や、作業台の配置が悪く、何度も移動しなければならない状況などです。

改善方法

動作のムダを削減するには、作業環境の整理整頓が必要です。5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を徹底し、作業者が必要な道具や材料をすぐに取り出せるように配置します。

 

また、作業動線の最適化を行い、作業者の動きを最小限に抑えるレイアウトを検討します。これにより、作業時間が短縮され、生産効率が向上します。標準作業票の作成も効果的で、作業の手順を明確にすることで、無駄な動作を削減できます。

う:運搬のムダ

「う:運搬のムダ」のイメージ

運搬のムダとは、製品や部品を必要以上に移動させることによって発生する無駄です。例えば、作業場と倉庫の距離が遠い場合や、製品が何度も異なる工程を行き来する場合などが該当します。

改善方法

運搬のムダを減らすには、作業場のレイアウト改善が有効です。生産の流れに沿って設備や作業台を配置し、無駄な移動を減らします。例えば、U字型レイアウトを採用することで、部品の流れを一方向にまとめ、移動距離を短縮します。

 

また、自動搬送機器の導入により、運搬作業を効率化し、作業者の負担を軽減することができます。さらに、運搬頻度の見直しを行い、まとめて運搬することで、無駄な移動回数を減らします。

ムダ取りのコツ

「ムダ取りのコツ」のイメージ

ムダ取りを行う際には、単に無駄を削減するだけでなく、現場での観察や分析を通じて問題の根本原因を明らかにすることが重要です。

ここでは、ムダ取りを効果的に進めるためのコツをいくつか紹介します。

現場・現物・現実の原則を守る

「三現主義」とも呼ばれるこの原則は、実際の現場に足を運び、目で現物を確認し、現実を直視することを重視します。問題をオフィスで話し合うだけではなく、現場で実際にどのようなムダが発生しているのかを確認することが大切です。

 

例えば、作業者がどのように動いているか、部品や製品がどのように流れているかを直接観察することで、具体的な改善ポイントを見つけることができます。

小さな改善から始める

ムダ取りを行う際には、すぐに大規模な改善を目指すのではなく、まずは小さな改善から始めることが効果的です。

 

小さな改善を積み重ねることで、現場の作業者にも改善の意識が浸透しやすくなり、継続的な改善文化を育むことができます。例えば、作業台の配置を少し変えるだけで作業効率が上がることもあります。

 

関連記事:

>>工場で簡単にできる小さな現場改善案15選と成功事例4選

データに基づいた分析を行う

ムダの削減には、定量的な分析が欠かせません。例えば、作業時間の計測や、各工程ごとの不良率、在庫回転率などのデータを収集し、それをもとに改善策を検討します。データに基づく分析を行うことで、感覚的な判断ではなく、確実に改善効果を確認できる方法でムダ取りが進められます。

作業者の意見を取り入れる

ムダの多くは現場で日常的に作業を行う人々が一番よく知っています。作業者から改善のアイデアを募り、QCサークル活動などを通じて現場の意見を反映させることが大切です。

 

彼らの意見を尊重し、改善活動に参加してもらうことで、モチベーションが向上し、より現実的で効果的な改善が期待できます。

定期的な振り返りと改善の継続

一度ムダを削減したからといって、それで終わりではありません。改善活動は継続的に行う必要があります。定期的に現場を見直し、前回の改善策が効果を発揮しているか、また新たなムダが発生していないかを確認します。

 

例えば、月に一度の改善ミーティングを設け、現場の状況を再評価することが有効です。改善活動を繰り返すことで、ムダが再び発生しにくい現場環境を作り上げることができます。

標準作業の整備

ムダ取りを徹底するためには、標準作業を確立することが重要です。標準作業とは、もっとも効率的で品質を確保できる作業手順を文書化したものです。これを作業者全員が共有することで、作業のばらつきが減り、ムダが発生しにくくなります。

 

また、標準作業をもとにして新しい改善策を検討することも可能になります。

 

関連記事:

>>標準作業とは?ものづくりの基盤となる3要素と目的、効果、取り組み手順を徹底解説

最新技術の活用

製造業の現場では、IoTやAI技術を活用してムダを見つけ出す方法も増えています。例えば、設備の稼働データをリアルタイムで収集し、異常が発生する前にメンテナンスを行うことで、設備停止による手待ちのムダを減らすことが可能です。

 

また、AIによる需要予測を行うことで、造りすぎのムダを防ぐことができます。技術の導入により、今まで見逃していたムダも発見しやすくなり、より効率的なムダ取りが実現します。

最後に

設備管理クラウドサービスMENTENA

製造業において、ムダをなくすことは企業の競争力を高めるための基本です。「かざふてつどう」を活用して、現場のムダを発見し、改善することで、効率的で無駄のない生産体制を築きましょう。この記事で紹介した手法を参考にして、実際の現場での改善活動に取り組み、生産性と品質の向上を実現してください。継続的なムダ取りが、企業の成長と安定した品質提供につながるでしょう。

 

MENTENA(メンテナ)」はクラウド型の設備管理システムです。クラウドを活用し、データを一元管理することで情報の重複や入力作業といったムダを削減することができます。また、紙やエクセルで実施している業務をシステムに移行することでペーパーレス化や業務効率化を実現できます。ムダ取りをご検討されている企業さまは、ぜひMENTENAにご相談ください。

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MENTENA編集部

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製造業向けの業務効率化・業務改善に役立つコラムやセミナー、および有益な資料を通じて、実践的な情報を提供しています。最新のツールの使い方や業界の情報・トレンドを継続的に発信することで、製造業の皆様にとって信頼できる情報源となることを目指しています。

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