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2024.08.29

製造業に必要な自主保全とは? 目的や特徴、自主保全を進めるためのステップを解説

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設備の管理は、保全部門の仕事と考えていませんか?自主保全活動を正しく実施するには、オペレーター一人ひとりが「自分の設備は自分で守る」という意識を持たなくてはいけません。こちらの記事では、工場での生産性を高めるために必要な自主保全の活動内容や進め方について詳しく解説します。自主保全ができるオペレーターを育成したい企業さまは、ぜひ目を通してみてください。

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目次

そもそも自主保全とは何?

そもそも自主保全とは、オペレーターが自分の使っている設備を維持・管理する活動のこと。従来はオペレーターと保全担当で「作ること」と「直すこと」を分業しているケースもありましたが、Total Productive Maintenance(以下、TPM)活動の一環として、昨今では自主保全の重要性が叫ばれています。

自主保全はTPMの基本的な考え方

TPMとは、生産現場全体が協力し合い、発生するロスを未然に防ごうとする考え方のこと。これにより、質の高い製品を効率良く製造することを目指しています。

 

TPMを実現するには、設備や人、原単位(※)の効率化を図ることが大切です。しかし、従来のようにオペレーターと保全担当で仕事が切り離されてしまうと、設備保全に関する認識の統一ができません。いくら保全担当が安全対策を講じても「仕組みや危険性が理解できない」という理由から、オペレーターは製造工程で無理をしてしまうことがあるのです。これではいつまでたっても設備トラブルや故障をなくすことはできず、生産効率も上がりません。

 

そこで、注目されるようになったのが、オペレーター自身が設備保全も担当する自主保全の考え方です。「自分の設備は自分で守る」という責任感は、生産におけるロスやトラブルの改善につながります。つまり自主保全は、生産性を向上させる効果が期待できるとして、TPMのなかで基本的な活動と位置づけられているのです。

 

※製品の生産に必要な時間・エネルギー・原材料を表す単位。

自主保全を進める目的は?

自主保全の目的は、生産性と作業効率を両立させることです。万一設備トラブルが起きれば、生産現場ではいったん製造ラインを停止し、故障に対応しなければなりません。製造ラインの停止により生産がストップしてしまうだけでなく、修理に追われたり納品先に状況説明を行ったりと、企業としての信用問題にも発展します。

 

また、不具合が頻繁に起これば、都度対応に追われ、生産現場は大きなストレスを抱えることになるかもしれません。自主保全は、生産ロスを防ぎ、技術者のモチベーションを維持するうえで重要な役割を担っています。

自主保全にはどのような特徴がある?

自主保全の特徴は「自分で決めたルールを自分で守る」こと。つまり、自主的に行動することに意義があります。言われたことを作業としてこなすだけでは、本当の意味で自主保全の重要性が理解できないためです。自主保全には、オペレーター一人ひとりが責任感を持って自発的な行動が求められています。

オペレーターに不可欠な4つの能力

自分の設備を自分で守るには、設備に強いオペレーターになる必要があります。ここでは、自主保全に取り組むオペレーターに不可欠とされる4つの能力についてお伝えしましょう。

異常を発見する能力

オペレーターは、異常を異常として見る目を養う必要があります。この異常を発見するというのは「不良品が出た」「設備が突然停止した」など、誰の目にもわかるトラブルを検知することではありません。優れたオペレーターは「何か違和感がある」「いつもと違う」といった異常の前兆を見極める力を持っています。早期にトラブルを発見できれば、その分事前に対応できるでしょう。異常を発見する能力は、自主保全に取り組むうえでまずオペレーターが身につけたい重要な能力です。

処置・回復する能力

次に身につけたいのは、異常に対して迅速かつ的確に処置し、元の状態に回復させる能力です。設備を処置・回復するうえで必要なのは、設備に関する正しい知識や技術を習得することと、上司や関係部門に異常を的確に報告できる対応力を養うこと。もちろん、オペレーター自身が異常に対して迅速に正しい処置を施せるのが一番ですが、自分の能力を過信しすぎることはトラブル対応においてベストとはいえません。自分にできること・できないことを的確に判断し、適した行動に移せることが優れたオペレーターの証しです。

条件を設定する能力

条件を設定する能力とは、素早い対応を実現するために、正常と異常の判定基準を定量的に決められる力のこと。設備に強いオペレーターになるには、設備と品質の関係性を理解し、決めた条件が適正かどうかを判断できる力を身につける必要があります。オペレーターは自分が定めた条件で設備を稼働させてみて、その条件が適正であるかどうかを繰り返し検討することで条件設定能力を高められます。

維持管理する能力

設定した条件や決めごとを確実に守るとともに、設備の維持管理が適切に行われているか監視できる能力です。維持管理する能力のあるオペレーターは、条件や決めごとが守れない場合には、その原因を究明し改善するための力も備えています。

自主保全を進めるための流れ

ここからは、自主保全をどのように進めるのか、大まかな流れについて確認していきます。

自主保全における7つのステップ

自主保全は、基本的に7つのステップに沿って進められます。

 

ステップ 名称 具体的な活動内容
第1ステップ 初期清掃・清掃点検 ゴミや汚れの排除と給油、増締めの実施など、設備を中心とする不具合の発見と復元を図る。
第2ステップ 発生源・困難箇所対策 ゴミや汚れの発生源を特定したり給油の困難箇所を改善したりすることで、不具合の解決策を立案する。
第3ステップ 自主保全仮基準を作成 清掃・給油・増締めなどを確実に行うための行動基準を作成する。
第4ステップ 総点検 マニュアルを活用して設備の機能や構造を学び、実際に点検する。
第5ステップ 自主点検 自主保全仮基準に、総点検で学んだ内容を盛り込んで点検項目を改良する。
第6ステップ 標準化 改良した点検項目を現場に投入し、維持管理の完全システム化を進める。
第7ステップ 自主管理の徹底 改善活動の定常化によるムダの排除とコストダウンの推進、および保全記録の徹底と条件に合わせた設備改善を推進する。

自主保全における3つの基本構成

自主保全を進めるには7つのステップを順番に実施する必要がありますが、それぞれのステップは大きく3つの段階に区分されるのです。

第1段階|劣化を予防する活動

第1~3までのステップが、第1段階に該当します。第1段階は、設備の基本条件を綿密に整備することで劣化を予防するための維持体制を作り上げる段階です。オペレーターが実際に自ら手を汚し、工夫や苦労を重ねながら実施するという点で、自主保全においては非常に重要な活動とされています。特に清掃・給油・増締めは、劣化を防ぐために必須となる整備。すべての活動のベースとして、丁寧に点検や補充することが求められます

第2段階|劣化を予測する活動

第2段階は第4~5までのステップで、設備の劣化を予測するための活動です。第2段階では、点検マニュアルに沿った総点検を実施することで、感覚ではなく理屈に裏づけされた自主保全ができる状態を目指します。設備の劣化がどのように起きるのかを知り、問題が発生する前に対応する力を身につけることは、設備に強いオペレーターを目指すうえで欠かせないスキルです。

第3段階|標準化と自主管理の活動

第3段階には第6~7のステップが含まれます。標準化と自主管理を行うための活動で、総仕上げの段階です。第3段階では、オペレーター自身が自ら考え、自主保全に必要な知識・技能を完全にマスターすることが求められます。第3段階まで進めば、仮に設備や環境ががらりと変わったとしても、これまでどおり自主保全を続けられる力が身につくでしょう。

 

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最後に

自主保全は、生産現場が作業効率や生産性を向上させるために重要な活動です。自主保全を実現するには7つのステップを順に進めていく必要がありますが、活動内容を1つずつ丁寧に実施していくのは簡単なことではありません。

 

MENTENA(メンテナ)」は、設備保全の業務進捗や故障・稼働率といった重要データを蓄積、見える化することで、製造業の自主保全をサポートします。自主保全を強化したい企業さまは、お気軽にご相談ください。

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製造業向けの業務効率化・業務改善に役立つコラムやセミナー、および有益な資料を通じて、実践的な情報を提供しています。最新のツールの使い方や業界の情報・トレンドを継続的に発信することで、製造業の皆様にとって信頼できる情報源となることを目指しています。

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