
公開日:2026.02.06
更新日:2026.02.06

目次
五現主義(5ゲン主義)は、製造現場などで使われる考え方で、
「問題が起きたとき、現場で事実を見て的確な改善を行う」というアプローチです。
思い込みや資料判断を避け、再発しない改善を行うことが目的です。
元々は「三現主義(現場・現物・現実)」に
「原理・原則」を加えた5つの要素を新たに取り入れ、五現主義となりました。
①「現場」へ行く
②「現物」を見る
③「現実」を整理する
④「原理」で考える
⑤「原則」に落とす
本記事では、五現主義の基本的な考え方から、実践ステップ、よくある失敗例までを整理し、現場で活かすための視点を解説します。

①原理
自然法則・科学的な仕組み・因果関係のことです。
人が決めたルールではなく、変えられない「なぜそうなるか」。
(例)材料の強度・疲労・劣化
②原則
組織や仕事で決められた、守るべきルール・標準・あるべき姿のことです。
こちらは人が決めた基準です。
(例)社内ルール、ダブルチェック
三現主義
・現場・現物・現実を重視
・状況把握が中心
五現主義
・三現で得た事実を 原理・原則に照らして原因と対策まで落とす
・再発防止まで含めた考え方
五現主義は「見る」だけで終わらせない点が特徴です。
今の時代は、
・情報は多い
・判断は速い
・現実を見ずに、現実を分かった気になる状態
このような背景があります。
こうした時代だからこそ、五現主義は 「考える前に、まず事実に戻りましょう」
という、時代に逆行するものの、最強の考え方です。
いくつか具体的に説明します。
リモート化・分業化・外注化で、
・判断する人は現場を見ない
・現場は「上が決めたこと」をやるだけ
という構造が増えています。
その結果、報告資料だけで判断⇒実態とズレた対策⇒ 同じ問題の繰り返し
が起きる可能性があり、五現主義はこのような現象を止めるための
「現場と意思決定を再接続する思想」です。
今は、
・AIの分析
・KPIダッシュボード
・パワポで整った説明
が溢れています。
しかしそれは “正しそう”に見えるだけで、本当に正しいかは別。
五現主義はデータや意見を否定せず、現実で検証し直すという、最後のブレーキとなります。
昔は 「見れば分かる」「触れば分かる」という暗黙知がありました。
五現主義はそれを
・現場で
・現物を使って
・原理・原則で言語化
する方法です。
属人化を防ぎ、再現可能にする。これが今、重要な考え方となっています。

① 事実を取りに行く → ② 仕組みで考える → ③ ルールに落とす
これを五現で分解して考えます。
まずやるべきことは、会議ではなく現場に行くことです。
・問題が起きている「場所」に行く
・作業の流れを止めずに観察する
・作業者に「なぜ」ではなく「どういう状況なのか」を問う
資料・写真・データの前に、実物を見ましょう。
「いつもと違うところ」を探すこと、数値より状態を見ることが大切です。
・不良品・設備・治具・工具を直接見る
・触る・比べる(良品と不良品)
・摩耗、汚れ、変形、匂い、音を確認
ここで初めて「何が起きているか」をまとめます。
・いつから起きているか
・毎回か、たまにか
・条件(人・時間・ロット・天候など)
ここで初めて「なぜ?」を使ってよい段階です。仕組みのズレを見つけることが重要です。
・物理・化学・仕組み・工程の流れから考える
・複数要因を前提にする
・「もし◯◯なら説明できるか?」で検証
最後は仕組み化。 再発防止がゴールです。
・手順・基準・設計の見直し
・ポカヨケ・自動化・見える化
・教育だけで終わらせない

五現主義は知っていても、実際の現場では十分に実践できていないケースが多く見られます。
「対策したはずなのに、なぜかまた同じ問題が起きる」
その背景には、五現主義が途中で止まってしまっているケースが多くあります。
・不具合発生 → すぐ関係者を集めて会議
・資料・写真・数値をもとに議論
・現場には行っていない
・現場特有の音・匂い・微妙なズレが抜け落ちる
・事実ではなく「記憶」や「解釈」で話が進む
・声の大きい人・立場の強い人の仮説が正解になる
会議室では音・匂い・微妙なズレなど”決定打”が落ちてしまい、五現主義でいう
現場・現物・現実が欠けた状態で話し始めることになります。
会議は「考える場所」ではなく「決める場所」
考えるのは、現場で現物を見ながら現物を前にして考えるという考え方を持つとよいでしょう。
・「前もこれだったから今回も同じだろう」
・「たぶん作業ミスだと思う」
・1回の事象だけで結論を出す
・他の可能性を見なくなる
・事実収集が途中で止まる
・本当の原因が隠れる
今の不具合は、
・複数要因
・条件依存
・再現しにくい
というケースが多くなっています。
原理は「説明できるか」の道具であって、最初に決める答えではありません。
・KPI・ログ・グラフは正常
・数値上は問題なし
・でも現場では「おかしい」
・数値に出ない異常を見逃す
・初期兆候を潰せない
・大きなトラブルに発展
データは平均・結果であり、 現物は個別・過程。
五現主義では「数値が正しい ≠ 現実が正しい」。
これらの失敗に共通しているのは、五現主義の要素そのものではなく、
実践する順番を誤っている点です。
まず事実に戻ることが、正しい原因究明と再発防止への近道となります。
五現主義を実践すると、次のような変化が期待できます。
・原因究明が属人化しにくくなる
・対策が「注意」や「教育」で終わらなくなる
・現場と管理者の認識のズレが減る
・再発防止が仕組みとして定着する
五現主義は、特別な分析手法や新しいルールではありません。
問題が起きたときに、何を先に見るか、どの順番で考えるかという姿勢です。
情報やデータがあふれる今の時代だからこそ、現場・現物・現実に立ち返り、原理で原因を考え、原則として仕組みに落とす。
この基本に忠実であることが、再発しない改善につながります。
遠回りに見えても、まず事実に戻ること。それが、最も確実で、最も速い問題解決への道です。
執筆者
MENTENA編集部
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