
公開日:2026.01.16
更新日:2026.01.16

目次

工場火災の多くは、設備故障や偶発事故ではなく、日常管理の見落としに起因しています。
偶発的な事故ではなく、事前の対策によって防げる可能性が高い災害であり、その現状を正しく理解することが重要です。
この記事では、トラッキング火災、ボタン電池火災、集塵機火災といった具体的な事例をもとに、
その原因と対策、そして今日から実践できるチェック項目までをわかりやすく解説します。

トラッキング火災とは、コンセントやプラグのすき間に付着したホコリや汚れが湿気を含み、微弱な電流が流れ続けることで発火する火災のことです。
目に見える火花や異常がないまま進行するため、気づいたときには火災に発展しているケースも少なくありません。
トラッキング火災は、次のような流れで発生します。
1. コンセントとプラグの間にホコリや油分がたまる
2. 湿気や結露によってホコリが湿る
3. 微弱な電流が表面を流れ続ける
4. 発熱・炭化が進行し、やがて発火する
この現象はゆっくり進行するため、異臭や発煙が出るまで気づきにくい点が大きな特徴です。
・未使用プラグは、コンセントから外す
・コンセント・プラグの定期清掃
・市販のプラグカバーの設置
・絶縁処理されているプラグの使用
トラッキング火災は、気づかないうちに進行し、突然発生する非常に危険な火災です。
工場のように粉じんや湿気が多い環境では、発生リスクが高まるため、日常点検と早めの対策が欠かせません。
「小さな異変を見逃さないこと」が、重大な工場火災を防ぐ第一歩となります。

ボタン電池火災とは、使用済みまたは未使用のボタン電池がショート(短絡)や破損を起こし、発熱・発火する火災のことです。
小型で危険性が低いと思われがちですが、実際には強い発熱や発火を伴う危険な火災原因のひとつです。
特に、リチウムを含むボタン電池はエネルギー密度が高く、条件がそろうと短時間で発火に至ることがあります。
最も多い原因が、電極同士が金属などでつながるショートです。
・金属製の箱や缶に入れる
・ネジ・クリップ・硬貨などと一緒に保管する
・廃棄時にテープで絶縁していない
これにより急激に電流が流れ、電池が異常発熱します。
ボタン電池火災は、正しい管理と廃棄ルールの徹底で防ぐことが可能です。
・電極部分をテープで確実に絶縁する
・金属製容器を避け、耐火性のある容器を使用
・他の金属くずと混ぜない
・高温多湿を避けた場所で保管
ボタン電池は小型で身近な存在ですが、取り扱いを誤ると重大な火災につながる危険物です。
特に工場では、廃棄・一時保管の段階で事故が起こりやすく、日常的な管理の徹底が欠かせません。
「小さいから大丈夫」という油断をなくし、正しい知識とルールで火災を未然に防ぐことが重要です。
集塵機火災とは、集塵機内部やダクト内に蓄積した粉じんが着火し、火災や爆発に至る現象を指します。
木粉、金属粉、樹脂粉、食品粉体など、多くの工場で日常的に発生する粉じんが原因となるため、非常に身近で危険な火災リスクです。
特に、集塵機は稼働中に粉じんが集まり続ける設備であるため、条件がそろうと一気に燃焼・爆発が広がる危険性があります。
集塵機内部やダクト、フィルターに粉じんが蓄積すると、わずかな火種でも着火します。
・清掃・交換頻度が不足している
・フィルターの目詰まり
・粉じんの性質を正しく把握していない
・フィルター・ダクトの定期清掃
・粉じんの種類・可燃性の把握
・溶接・火気作業とのエリア分離
・自動消火装置の設置
集塵機火災は、粉じん・火種・静電気といった複数の要因が重なって発生する、典型的な工場火災の一つです。
日常的に使われている設備であるからこそ、危険性が見過ごされがちですが、適切な管理と対策によって防ぐことが可能です。
集塵機は「粉を集める装置」ではなく、火災リスクを内包した設備であることを認識し、継続的な安全管理を行うことが重要です。

トラッキング火災、ボタン電池火災、集塵機火災など、工場火災の原因は一見するとそれぞれ異なるように見えます。しかし、実際に多くの火災事例を見ていくと、設備や物質の違いを超えて共通する「見落としポイント」が存在します。
ここでは、工場火災を招きやすい代表的な見落としについて解説します。
工場火災の多くは、危険性を理解していないからではなく、わかってはいるが後回しにされたことが原因で発生しています。
・使っていないが、差しっぱなしのコンセント
・後で片付けるつもりの使用済み電池
・次回清掃時に対応しようと放置された粉じん
このような「一時的な状態」が常態化することで、火災リスクは確実に高まります。
工場火災は、普段あまり目に入らない場所で発生することが少なくありません。
・機械の裏側のコンセント
・天井付近の配線やダクト
・集塵機内部やフィルター
日常点検が目視中心になっている場合、こうした場所は点検対象から漏れやすく、異常の発見が遅れる原因となります。
火災の前には、多くの場合小さな異常の兆候が現れています。
・焦げ臭や異常な発熱
・音や振動の変化
・いつもと違う動作
工場火災を防ぐために重要なのは、新しい設備を導入することだけではありません。
日常の管理・意識・仕組みを見直すことが、最も効果的な火災対策となります。
「異常が起きてから対応する」のではなく、 「異常が起きる前に気づける仕組み」を作ることが重要です。
これらを「気のせい」「そのうち直る」と放置することで、重大事故につながります。

工場火災を防ぐために重要なのは、日々の確認です。
次のチェックリストで、普段の作業の中に危険がないか確認してみてください。
【電気設備・配線(トラッキング火災対策)】
□ 使っていないコンセント・延長コードが差しっぱなしになっていない
□ コンセント・プラグ周辺にホコリや油分が付着していない
□ プラグの緩み・変形・変色がない
□ 配線が踏まれたり、無理に曲げられていない
□ 異常な発熱や焦げ臭がしていない
【電池・小型電源(ボタン電池火災対策)】
□ 使用済みボタン電池が放置されていない
□ 廃棄する電池は電極部分をテープで絶縁している
□ 電池をネジ・金属くず・工具類と一緒に保管していない
□ 電池専用の回収・保管容器を使用している
□ 高温多湿な場所で電池を保管していない
【集塵機・粉じん設備(集塵機火災対策)】
□ 集塵機・ダクト・フィルターに粉じんが蓄積していない
□ フィルター清掃・交換が定期的に行われている
□ 可燃性粉じんの種類・危険性を把握している
□ 火花・高温物が発生する工程と集塵系統が分離されている
□ 集塵機・ダクトのアース(接地)が適切に取られている
【異常発見・初動対応】
□ 焦げ臭・異音・異常発熱などの兆候を見逃していない
□ 異常発見時の報告先が明確になっている
□ 作業停止の判断基準が決まっている
□ 消火器の設置場所と使用方法を把握している
工場火災は、設備の不具合や偶然によって突然起こるものではありません。
トラッキング火災、ボタン電池火災、集塵機火災といった事例を見てもわかる通り、その多くは日常の管理や判断の積み重ねによって防げた可能性のある火災です。
工場火災を防ぐために最も重要なのは、日常的に安全を意識し続けることにあります。
一人ひとりが「自分の行動が工場全体の安全につながっている」という意識を持ち、今日からできる対策を確実に積み重ねていくことが、重大な火災を防ぐ力と言えるでしょう。
執筆者
MENTENA編集部
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