お役立ち記事
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2024.10.23
現代のビジネス環境では、企業の成長と効率化を実現するために多くの企業がERPシステムを導入しています。しかし、ERPが具体的にどのようなシステムなのか、また、SAPとの違いについては多くの方が曖昧になっているかもしれません。
この記事では、ERPの基本的な概念から、SAPとの違い、導入する際のメリットとデメリット、ERPの種類、選び方、導入方法、導入事例について詳しく解説します。ERPの導入を検討されている企業さまは、ぜひ目を通してみてください。
目次
ERP(Enterprise Resource Planning)とは、簡単に解説すると、企業の資源(人材、資金、物資など)を統合的に管理するためのシステムのことです。
ERPは、企業のさまざまな業務プロセスを一元化し、リアルタイムでデータを共有・管理できるようにします。これにより、業務の効率化や情報の一貫性が保たれ、意思決定の迅速化が図られます。具体的には、以下のような機能が含まれます。
ERPシステムの導入により、部門間でのデータの重複やエラーを減少させ、業務の全体像を把握しやすくなります。また、部門間のコミュニケーションが改善されることで、業務のスムーズな進行が可能になります。
ERPとSAPとの違いは、SAPはドイツに本社を置くSAP社が提供するシステムの名称で、ERPパッケージの1つであるという点です。つまり、SAPはERPと異なる製品ではなく、ERPの一部に位置づけられているのです。特にSAPは市場でのシェアが大きく、その使いやすさから多くの企業に支持されています。
SAPは対応する業務範囲が広く、多くの企業が積極的に導入しているため、導入を検討する際にも安心して選択できるシステムといえるでしょう。さらに、パッケージソフトウェアとして導入が容易である一方、高度なカスタマイズが可能で、企業の特定のニーズに柔軟に対応できるのも強みです。
ERPを導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、ERPを導入することで得られるメリットについて紹介していきます。
ERPシステムは、手作業のプロセスを自動化し、業務の効率を大幅に向上させます。例えば、データを入力する場合、ほかの機能とも連動しているため、システムごとに生じる重複作業を減少させることができます。
各部門のデータが統合され、リアルタイムで更新されるため、業務の進捗状況や問題点を即座に把握することができ、迅速な意思決定が可能になります。経営の意思決定にはスピードを求められる場面が多いため、大きなメリットといえるでしょう。
企業全体のデータが一元管理されることで、情報の整合性が保たれ、データの重複やエラーを防ぐことができます。また、データの検索や分析を行うことができます。
ERPシステム導入には、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。
ERPの導入には、高額な初期投資が必要です。また、導入後もシステムのアップデートや管理にコストがかかります。そのため、ERPを導入することで期待できるメリットとコストを比較して導入するか検討することが大切です。
システムの設定や運用には専門的な知識が必要で、導入後のトレーニングやサポートも必要です。技術者のスキルアップやシステムの運用に時間とコストがかかる場合があります。
ERP市場には、多種多様な製品があるため、きちんと自社に合った製品を選定できるか困難です。ERP導入前に手間と時間をかけて自社の現状と目標、製品の内容をしっかりと把握することが重要になります。
ERPは、導入方法によって大きく2種類に分けられ、企業のニーズに応じて選択することができます。
オンプレミス型ERPは、自社のサーバーにインストールして運用するシステムです。これにより、自社のニーズに応じた高度なカスタマイズが可能で、データは自社のサーバーに保存されるため、セキュリティを自社で管理できます。ただし、初期投資が高く、ハードウェアやソフトウェアのメンテナンス費用がかかります。また、システムの運用や保守には専門知識を持ったIT部門が必要となります。
クラウド型ERPは、インターネットを通じて提供されるシステムで、サブスクリプションモデルが一般的です。クラウド型ERPはオンプレミス型ERPと比べて初期投資が低く、運用コストも予測しやすいのが特徴です。インターネットさえあればどこからでもアクセスでき、リモートワークに適しています。また、プロバイダーがシステムのアップデートやメンテナンスを行うため、常に最新の機能を利用できますが、データが外部サーバーに保存されるため、セキュリティやプライバシーの問題が懸念されることもあります。
数多く提供されているERPの中から効果的なものを導入するための選び方のポイントについて紹介します。
自社の規模や業務内容に合ったERPを選定することが、最も重要な要素の1つです。小規模企業の場合、シンプルで直感的なシステムが適していますが、大規模企業や多国籍企業では、複雑な業務プロセスに対応できる高度な機能が必要です。また、業種に特化したERPシステムも考慮すべきです。
ERPの選定では、初期導入コストだけでなく、運用コストやメンテナンス費用も含めた「総コスト」を考慮することが大切です。短期的なコスト削減だけを重視せず、長期的な視点で投資対効果を見極めることが重要です。
ERPは企業のニーズに応じてカスタマイズできるものが理想的です。特に、自社の業務プロセスが他社と異なる場合や、特殊な業務要件がある場合、カスタマイズの自由度が高いシステムを選ぶべきです。
ERP導入は一度行うと長期にわたって利用するため、ベンダーの信頼性とサポート体制は非常に重要です。万が一のトラブル時に迅速に対応してくれるか、アップデートや改善要求に応じた柔軟なサポートを提供してくれるかどうかも、ベンダー選びの重要なポイントです。
企業が成長するにつれて業務量が増加し、新しい機能やプロセスの追加が必要になる場合があります。ERPが企業の成長に合わせてスムーズに拡張できるかどうか、つまりスケーラビリティの高さも考慮することが重要です。
企業の成長や市場の変化に対応できる柔軟で信頼性の高いERPを選ぶことが、長期的な成功につながります。これらのポイントを参考に、自社に最適なERPを選定しましょう。
ERPを効果的に導入するための方法を、ステップごとに紹介します。
まずは、ERP導入の理由や目的を明確にします。「業務効率化」「手作業のミス削減」など具体的な課題を洗い出しましょう。目的が曖昧だと、システム選定や運用に影響を与える可能性があります。
次に、ERP導入を進めるためのプロジェクトチームを作ります。チームには、経営陣、現場担当者、IT部門などを含め、責任者や役割を明確にします。プロジェクトチームが機能することで、導入計画をスムーズに進めることができます。
導入前に、現行業務のプロセスを整理し、時間がかかる部分や手作業の多い箇所を洗い出します。これにより、問題点や改善点が明確化され、システム選定に役立てることができます。
次に、どの機能が必要か、どの業務をサポートするかなど、ERPに求める条件をはっきりさせます。要件定義は、導入するシステムの選定やカスタマイズに直接関わるため、重要なステップです。
要件に基づき、最適なERPシステムを選びます。コスト、機能、拡張性、サポート体制なども選定基準に含めます。
選んだERPを企業の業務に合わせて設計・カスタマイズします。標準機能だけでは対応できない部分がある場合、ベンダーにシステムをカスタマイズしてもらいます。また、インターフェースの設計や他のシステムとの連携もこの段階で考慮されます。
ERP導入後の業務フローを設計します。社員が理解しやすい形で、新しい業務プロセスを整備します。
取引先情報や売上データなど、既存データを新しいERPに移行します。データの正確性を確認し、バックアップも準備します。
ERPシステムを導入しても、社員が使いこなせなければ効果は得られません。そこで、技術者向けにトレーニングを実施します。システムの基本操作から業務における具体的な使い方まで、実際の運用に必要なスキルを身につけてもらいます。特に、ERPは機能が豊富なため、初めての人にも理解しやすいシンプルな説明を心掛けましょう。
テスト運用で問題がないことを確認後、本番運用を開始します。導入後も定期的なモニタリングや改善が求められます。
ERP導入は各ステップで適切な準備と調整を行うことで、業務効率化や生産性向上に寄与します。導入目的の明確化と技術者のトレーニングが成功の鍵です。
導入後も継続的に改善を行い、企業全体でシステムを最大限に活用できるようにしましょう。
ERPの導入によって実際に企業がどのような効果を得ているのか、2つの成功事例を紹介します。
株式会社カヤックは、社員数の増加により、従来のエクセルを用いたプロジェクト管理では、労務時間や会計データが別々に管理されていたため、集計作業が難しくなり、ERPを導入しました。導入後、従来はバラバラだったデータを一元管理できるようになり、集計作業が迅速かつ容易になりました。また、受注前から案件のステータスや予定売上を管理できるようになり、プロジェクトの進行状況を把握しやすくなりました。そして、業務状況を“見える化”できたことで、リソース管理や経営予測の精度が向上し、直感的な判断にデータによる裏付けが得られるようになりました。
(出典)
ITトレンド|クラウドERP ZACの導入事例【株式会社カヤック 様】
コモダエンジニアリング株式会社は、Windows XPのサポート終了を機に、ERPを導入しました。導入後、従来は1日から3日かかっていたBOM(部品構成表)作成の作業時間が1分未満に短縮され、リアルタイムで正確なデータ取得が可能になりました。この効率化により、迅速な経営判断とコスト削減が実現し、さらなる品質向上と競争力強化へ取り組むことができるようになりました。
(出典)
日立システムズ|導入事例集
このように、ERPの導入によって企業は新たな成長の機会を見出し、より効率的な業務運営と迅速な意思決定を実現しています。業界を問わず、適切なERPシステムを導入することで、今後の成長と可能性を広げていくことができるでしょう。
ERPは、業務効率化や情報の一元管理を通じて、企業の成長と競争力強化に大きな効果をもたらします。しかし、導入には時間やコストがかかるため、適切なシステム選定と運用計画が重要です。自社のニーズに合ったシステムを選び、導入後のトレーニングやサポート体制を整えることが成功の鍵となります。
「MENTENA(メンテナ)」はクラウド型の設備保全システムを展開しています。クラウドを活用し、設備保全データを一元管理し、紙やエクセルを用いて実施している業務をシステムに移行することで業務を効率化することができます。ERPの導入を検討されている企業さまは、現場業務を改善するMENTENAもぜひ併せてご検討ください。
執筆者
MENTENA編集部
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