お役立ち記事
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2024.08.22
「段取り」は、日常生活を送るなかでたいへん馴染みのある言葉ではないでしょうか。また工場などの製造現場でも当たり前に行われている業務の1つです。近年では、主流だった「大量生産」から「多品種少量生産」の需要が高まりつつあります。多様化する顧客のニーズに応えるためにも、製造業での段取りはとても重要な工程です。仕事をスムーズに行うには、段取りを見直すことも必要でしょう。そこで今回は、段取りの基礎知識から、改善する方法までを解説します。
目次
「段取り」とは「物事を行う順序や手順、準備」のこと。
語源には諸説ありますが、もともとは歌舞伎の楽屋用語として使用され、芝居の構成や転換を「段取り」と呼んでいたことが始まりだそうです。
また神社や寺などの坂道に石段を設ける際に、勾配から段数を予測することを「段を取る」と言い、石段の仕上がりを「段取りが良い・悪い」と表現したとも伝わっています。
現在でも、もの作りや製造業の現場において段取りという言葉が根付いており、非常に重要視されているのです。それが「段取り八分、仕事二分」という言葉に表れています。
「段取り(準備)をきちんとしていれば、仕事はほぼ終わったも同然」という意味で、言い換えれば、成功するかどうかは段取りの段階で80%決まってしまうということ。
仕事をスムーズに行い、よい結果を求めるなら、業務に取りかかる前の段取りが欠かせません。
また製造業では「QCD」が重視されています。「Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)」の頭文字を取ったもので、この3つを徹底的に管理することで生産性が高まり、安定した経営ができるのです。
「段取り時間」とは、「現在取り組んでいる製品の加工が終わった瞬間から、次の製品に切り替えて最初の良品ができるまでの時間」を指します。
段取りの改善を進めていくうえで、この段取り時間をきちんと定義することが必要です。
製造業において、3つの段取りが存在します。
・内段取り:マシンや作業を止めないと行えない段取りのこと
・外段取り:機械を動かしながら(スタッフが作業しながら)行える段取りのこと
・無駄な段取り:物(金具・治具など)を探すこと
段取り改善では、以上の3つの段取りをどう変えていくかを検討します。
「多品種少量生産」など多様化する市場のニーズに応えていくために、無駄のない生産体制が必要です。小ロット生産では段取りを行う回数が増えるため、段取りを最適化することが要求されます。では、段取りを見直し・改善することでどのようなメリットが考えられるのでしょうか。
段取りを最適化すると、機械の稼働率がアップするため生産効率も上がります。例えば、資材が整わず機械を始動できない場合や、準備不足により工程変更後の段取り替えに時間がかかる場合、工具などが揃えられていない場合では、すぐに業務に取りかかることはできません。しかし、段取りを最適化すると無駄な時間が削減できるため、生産性を上げることができるでしょう。
生産コストの削減が期待できるのもメリットです。機械の稼働率が上がれば、製品1個あたりの原価も抑えられるでしょう。材料のコストを低減させたり、不良品を作ったりしないのはもちろんですが、段取りをよりよいものにすることも経費削減に役立ちます。
ここからは、段取りを改善・改良する手順を解説していきます。
段取り改善は、1回の作業時間を把握することから始まります。おおまかな時間しかわからない状態では、問題点や修正点を見つけることができません。作業時間を割り出せたら、各工程でスタッフが段取りにかけている時間を明確に数値化しましょう。
次は段取りの内容に着目し、内段取りと外段取り、無駄な段取りに分類します。
機械や作業を止めないとできない内段取りは生産に直接関わってくるため、優先的に改善していく必要があります。また、振り分けていくなかで工具を探すといった不必要な時間も発見できるため、無駄な段取りを認識しやすいでしょう。
リストアップできたら、それぞれの改善策を挙げていきます。
内段取りの改善策
・複数人で段取りを行い時間短縮を図る
・属人化を減らし、誰もが同じように行える仕組みを会社全体に浸透させる
・教育や訓練を標準化する
・作業を簡単にする
外段取りの改善策
・必要な工具や治具を作業する場所の付近へ置く
・作業時間のバラつきを低減する
・作業手順を洗い直し、時間の短縮を図る
無駄な段取りの改善策
・作業姿勢や職場環境を変更する
・整理整頓を社員に浸透させる
生産を止めなければ行えない内段取りには付加価値は生まれません。できるだけ多くの内段取りを外段取り化できれば、生産停止(設備停止)時間を減らすことが可能になります。
内段取りを外段取り化するのは簡単なことではありませんが、最先端技術などを活用することで可能性は広がるでしょう。
3つの段取りに対する改善案をもとにアプローチすると、内段取りと外段取りにおいて「廃止できる作業(やめてもよい作業)」も見えてきます。ただし、最新の装置などは自動化が進んでいるため、そのままの状態でも問題ない場合もあります。設定や設置作業などを廃止するだけでも、大幅な時間短縮につながるでしょう。
段取りを見直すことはQCDの向上や効率化にもつながります。段取り改善を成功させるには、日頃から業務内容を見つめ直すことが大切です。以下のポイントを頭において改善に取り組みましょう。
作業リストの作成や資料のチェックなど、必要な段取りをピックアップして整理しましょう。項目化するなどして定着させることで、段取りを誰が行っても同じ質の高さが保たれます。
移動や業務内容、待ち時間などの無駄を見つけ、それらをなくす方法を考えましょう。
段取りや仕事内容、作業順序を明確にしておかないと、作業者によって時間や品質にバラつきが出やすくなるため、やること、やらないこと、必要・不必要なことなどに優先順位をつけるのが大切です。まずは、やらないことを決めたうえで、最初にやることを決めるとスムーズにいくでしょう。
内段取りを外段取り化するには、最新のテクノロジーがなくても技術者一人ひとりの意識改革で変えられる場合もあります。例えば、事前にスケジュールを決めることで時間への意識が高まるため、効率や生産性の向上が期待できるでしょう。事前準備や空いた時間を利用して片付けや確認作業を習慣化するのもおすすめです。
段取りを記録してマニュアル化するのもポイント。マニュアル化することで、優先順位ややることがはっきりします。また改善前後の結果を比較・検討できるだけでなく、新人などに教える手間も省けるでしょう。
段取りの基礎知識をはじめ、メリットや改善方法をご紹介しました。生産性の向上を図るには、早いうちに課題を見つけ段取りを改善し、日々業務に取り組んでいくことが必要です。また段取りを意識することで利益向上にもつながるため、しっかりと見直していくことが大切になります。
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執筆者
MENTENA編集部
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