
公開日:2026.01.22
更新日:2026.01.29

目次
食品工場における異物混入は、品質トラブルやクレームにつながりやすく、特に注意が必要な課題です。
異物混入は、毛髪や金属片、プラスチック片など、さまざまな原因によって発生します。
これらの対策として、「持ち込まない・発生させない・取り除く」という3原則を組み合わせることで、現場に定着させることが重要です。
本記事では、食品工場で多い異物混入の種類と発生原因を整理し、現場で実践できる具体的な対策や防止のポイントをわかりやすく解説します。
食品工場で発生する異物混入は、いくつかの代表的な種類に分けられます。
それぞれの異物は発生源や原因が異なるため、対策も変わるのが特徴です。
| 異物の種類 | 異物の例 | 主な発生原因 |
| 毛髪・体毛 | 頭髪、ひげ、眉毛 | ・帽子やヘアネットの着用方法が不適切
・作業中の動作による毛髪の落下 ・作業服に付着した毛髪の混入 |
| 金属片 | ボルト片、ナット、刃物の欠け | ・設備のボルトや部品の緩み
・刃物や金属部品の摩耗・欠損 ・点検不足や老朽化した設備の使用 |
| プラスチック片 | カバーの破片、容器の欠け | ・樹脂部品の劣化や破損
・作業中の衝撃による欠け ・定期点検が十分に行われていない |
| ゴム片 | パッキン片、ホース片 | ・ゴム部品の経年劣化
・ひび割れや摩耗の見落とし ・異常に気づかず使用を続けている |
| 昆虫 | ハエ、ゴキブリ、小型昆虫 | ・出入口や扉の隙間からの侵入
・原材料搬入口の管理不十分 ・防虫対策や清掃の不足 |
| 紙類 | 段ボール片、紙くず | ・包装資材の作業エリアへの持ち込み
・整理整頓が不十分な作業環境 ・清掃不足による紙片の残留 |
| 木片 | パレットの破片、治具のささくれ | ・木製資材の破損や劣化
・ささくれや欠けの見落とし ・点検や交換が適切に行われていない |
食品工場で最も多く見られる異物の一つが、毛髪や体毛の混入です。
作業者が帽子やヘアネットを着用していても、毛髪が落下することがあります。
また、作業服に付着した毛髪が、作業中の動きによって製品に混入するケースもあります。
毛髪は少量でも目立ちやすく、消費者に不快感を与えやすい異物であるため、特に注意が必要です。
【対策ポイント】
・帽子・ヘアネット・マスクを正しく着用する
・作業前に鏡を使って身だしなみを確認する
・ポケットのない作業服を着用し、私物を持ち込まない
・手袋の破れや汚れがあればすぐに交換する
これらを個人の注意に任せるのではなく、ルールとして定着させることが重要です。
金属片は、食品工場において重大な事故につながる可能性がある異物です。
金属片は見つけにくい場合も多く、混入したまま出荷されると、消費者のけがにつながる恐れがあります。
そのため、金属探知機の導入だけでなく、日常的な設備点検が重要です。
【対策ポイント】
・日常点検でボルトの緩みや部品の欠けを確認する
・刃物や可動部の摩耗状態を定期的にチェックする
・樹脂・ゴム部品は劣化前に計画的に交換する
・異常を見つけたら、使用を止めて報告する
設備由来の異物混入は、点検と記録を継続することで未然に防げるケースが多くあります。
プラスチック片やゴム片も、食品工場で比較的多い異物の一つです。
これらは主に樹脂製部品の劣化や破損によって発生します。
金属と違い、検出しづらいケースもあるため、
破損に気づかず使用を続けてしまうと、異物混入が繰り返し発生する恐れがあります。
【対策ポイント】
・樹脂部品やゴム部品の劣化・ひび割れを定期的に確認する
・破損や欠けを見つけた場合は早めに交換する
・点検結果を記録し、劣化傾向を把握する
・異常に気づいたら作業を止めて報告する
プラスチック片・ゴム片は、気づかずに使い続けることで繰り返し混入が起こりやすいため、計画的な点検と交換が重要です。
食品工場では、昆虫や小動物の混入リスクも無視できません。
特に夏場は発生しやすく、環境管理が不十分な場合に混入が起こりやすくなります。
【対策ポイント】
・出入口や搬入口の開閉ルールを徹底する
・防虫設備の点検・清掃を定期的に行う
・原材料や廃棄物の管理を適切に行う
・作業エリアの清掃を徹底する
昆虫対策は一時的な対応ではなく、継続的な環境管理が重要です。
紙片や木片などの異物は、作業環境に身近に存在するため、異物として意識されにくい点が特徴です。
【対策ポイント】
・段ボールや木製資材を作業エリアに持ち込まない
・作業エリアの整理整頓を徹底する
・パレットや治具の破損・劣化を点検する
・作業終了後の清掃をルール化する
紙片・木片の混入は、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の徹底によって防ぎやすい異物です。
ここまで、食品工場で多く見られる異物混入の種類と、それぞれの対策について見てきました。
ただし、異物混入対策は個別の対策を行うだけでは十分とはいえません。
日々の現場業務の中で対策を定着させるためには、考え方の軸となる基本原則を理解しておくことが重要です。
そこで次に、異物混入対策の基本となる「3つの原則」について解説します。
異物混入対策を考えるうえで基本となるのが、
① 持ち込まない
② 発生させない
③ 取り除く
という3つの原則です。
この3原則は、異物混入を起こさないための考え方を段階的に整理したものであり、日々の現場業務に落とし込むことで、実効性のある対策につながります。
1つ目の原則は、異物を作業エリアに持ち込まないことです。
作業者の私物や不要な資材、外部からの段ボールなどは異物混入の原因になりやすく、作業開始前の管理が重要になります。入室時のチェックや持ち込みルールを徹底することで、異物混入リスクを大きく下げることができます。
【現場に異物を持ち込まないための対策例】
・作業エリア入室前に、作業服・帽子・ヘアネットの着用状態を確認する
・私物(スマートフォン、ペン、鍵など)を作業エリアに持ち込まない
・ポケットのない、または内容物が確認しやすい作業服を着用する
・段ボールや外装資材は作業エリアに持ち込まず、指定場所で開梱する
・入室時チェックをルール化し、習慣として定着させる
2つ目の原則は、作業中に異物を発生させないことです。
設備の摩耗や部品の劣化、工具の破損は異物発生の原因となるため、日常点検や定期点検による早期発見が欠かせません。作業手順を守り、「いつもと違う」状態に気づく意識を持つことが重要です。
【異物を発生させないための対策例】
・作業前・作業中に設備や工具の状態を確認する
・ボルトの緩みや部品の欠け、摩耗がないかを点検する
・樹脂部品やゴム部品の劣化・ひび割れを見逃さない
・異音や振動など、いつもと違う兆候に気づいたら作業を止めて報告する
・作業手順を守り、無理な作業や省略をしない
3つ目の原則は、発生した異物を速やかに取り除き、製品に混入させないことです。
異物混入を完全に防ぐことは難しくても、作業中の確認や清掃、検査工程を確実に行い、異常に気づいた時点で対応できれば、被害を最小限に抑えることができます。
【異物を取り除くための対策例】
・作業中に製品や設備の状態をこまめに確認する
・異物に気づいたら、作業を止めて製品を隔離する
・定期的な清掃を行い、異物が残らない状態を保つ
・検査工程を形だけで終わらせず、丁寧に確認する
・異常を発見した場合は、速やかに報告・対応する

しかし、異物混入は、どれだけ対策を行っていても完全に防ぐことが難しいトラブルであることが事実です。
重要なのは、異物混入が発覚した際に、現場でどのように対応するか、
そして同じトラブルを繰り返さないために何を行うかです。
異物混入を発見した場合は、まず被害の拡大を防ぐことが重要です。該当する製品やロットを速やかに隔離し、生産ラインを一時的に停止して状況を確認します。その後、上長や関係部署へ迅速に報告し、異物の種類や発見場所、時間などの情報を正確に共有します。初動対応が遅れると、影響が拡大する恐れがあります。
初動対応後は、異物混入の原因を特定するための確認を行います。作業手順や作業者の行動、設備の状態、清掃や点検の実施状況などを多角的に見直します。人・設備・環境の視点で整理することで、再発防止につながる原因分析がしやすくなります。
原因が判明したら、それに基づいた再発防止策を立案し、現場で確実に実行します。作業手順や点検内容の見直し、設備の補修や部品交換、教育の実施など、原因に応じた対策が必要です。対策は決めるだけでなく、継続して守られているかを確認することが重要です。
対応内容や原因、対策を記録として残し、関係者で共有することで、同様の異物混入を他の工程やラインでも防ぐことができます。記録の蓄積は、点検や管理の質を高めることにもつながります。
異物混入への対応と再発防止は、現場全体で取り組むことが重要です。小さな異常にも気づき、報告し合える風土をつくり、点検や記録を日常業務として定着させることで、異物混入を起こしにくい現場づくりが実現します。
食品工場における異物混入は、特別なトラブルや一部の人のミスによって起きるものではありません。多くの場合、日常の作業や点検、清掃の中にある小さな見落としが積み重なって発生します。
だからこそ、異物混入対策には一時的な取り組みではなく、日々の業務の中で継続して行うことが重要です。作業者一人ひとりが異物混入を意識して行動することに加え、設備の点検や作業環境の管理を習慣化することで、リスクを確実に下げることができます。
また、異物混入が発生した際には、適切な初動対応と原因に基づいた再発防止を行い、その内容を記録・共有することが欠かせません。こうした積み重ねが、同じトラブルを繰り返さないための土台となります。
異物混入を「起きてから対応する問題」ではなく、「日々の業務で防ぐもの」として捉え、現場全体で継続的に取り組んでいくことが、安全で信頼される食品づくりにつながります。
執筆者
MENTENA編集部
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