お役立ち記事
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2024.12.02
粗利率は会社の収益性を示す重要な指標です。製造業においてもこの指標を把握し改善することで、利益を最大化することができます。
この記事では、製造業における粗利率の基本知識や業種別の基準、改善するための方法をわかりやすく解説します。
最後まで読み進めて、特に製造業の皆さまは自社の利益を最大化するためのヒントをぜひ見つけてください。
目次
そもそも粗利益とは、売上高から売上原価を引いた額のことを指します。
粗利率とは、売上高に対する粗利益の割合を示す経営指標です。
製造業における粗利率は、企業の収益性を示す重要な指標です。
粗利率が高いほど、売上から製品の製造に直接かかるコストを差し引いた後の利益が大きいことを示します。
粗利率を把握することで、コストの削減や価格戦略の見直しに役立ち、企業の財務健全性や市場競争力の向上につなげることができます。
粗利率の具体的な計算式は以下のとおりです:
計算式 : 粗利率(%)=(売上高 – 売上原価)÷ 売上高 × 100
例えば、ある製造業者の月間売上高が1,000万円で、原材料費や製造にかかる直接費用(売上原価)が600万円の場合、粗利率は以下のように計算されます:
(1,000万円 – 600万円)÷ 1,000万円 × 100 = 40%
粗利率は、製造業の収益性を測るための重要な指標であり、企業の競争力に直結します。
なぜなら、粗利率が高ければ高いほど、企業は製品の製造コストを抑えつつ、利益を確保できていることを意味するからです。
粗利率が高い企業は、利益をさらなる投資や事業拡大に回す余裕があります。
一方、粗利率が低い企業は、価格に対してコストが高すぎることを意味し、企業の利益率が下がるリスクがあります。
粗利率が低い場合は原因を特定して改善する必要があります。
製造業の粗利率は、以下の4つの要因に影響を受けやすいです。
【4つの要因】
製造業では、これらの要因を適切に管理することで、粗利率の向上が可能です。
関連記事:
>>原価管理システム導入で黒字化!製造業の中小企業向けおすすめ5選
製造業の中でも、業種によって標準的な粗利率は大きく異なります。
ここからは、主要な製造業の業種別に、粗利率の目安をご紹介します。
自動車・機械製造業では、高度な技術と設備投資が必要なため、粗利率は25~35%が一般的です。
この業種では大量生産と効率的な生産ラインが粗利率に大きく影響を与えます。
特に自動車製造では、材料費や部品調達の効率性がコストに直結し、サプライチェーンの最適化が粗利率改善の鍵となります。
また、製品の品質と信頼性が求められる業種のため、品質管理のコストも粗利率を左右する要因の1つとして挙げられます。
電機・電子部品製造業での粗利率の目安は20~40%ほどです。
この業種では、製品の種類や技術の複雑さによって粗利率が変動します。
電子製品は製造プロセスが精密であるため、不良品管理の影響もあります。
また、競争優位性を保つために先端技術の導入が重要なため、高価な設備や研究開発投資も粗利率の変動要因として挙げられます。
食品製造業の粗利率の目安は15~30%と、他の業種よりも低めです。
他業種より粗利率が低い理由は、原材料費の影響を受けやすく、農産物の価格変動が直接的にコストに反映されるためです。
また、賞味期限の問題から在庫管理に制約があり、無駄を最小限にするためには精度の高い需要予測が必要です。
さらに、食品安全の観点から品質管理のコストがかかることも、粗利率の低さに影響しています。
化学製品製造業では多くの場合、粗利率が30~45%と他業種より高めです。
粗利率が高い理由は、化学製品の多くが製造に専門的な技術を必要とし、製品自体が高い付加価値を持つためです。
また、製品ごとに特定の産業用途に特化していることが多く、競争が限定的であることも利益率が高くなっている要因の1つです。
ただし、高額な設備投資と厳格な安全規制を遵守する必要があり、これらのコストをカバーするために高い利益を出す必要があります。
また、製品の需要は工業やお客さまの特定用途に依存するため、経済環境の変動も粗利率に大きな影響を与えます。
ここからは、製造業における粗利率を改善するための具体的な方法をご紹介します。
粗利率を改善するもっとも直接的な方法は、製造コストを削減することです。
コストを削減するための具体的な取り組みとしては、3つの方法があります。
1つ目は、原材料の調達コストを削減する方法です。
原材料をより安く調達するために、仕入先の見直しや交渉を行います。
複数の仕入先から見積もりを取り、もっともコストパフォーマンスが高い選択肢を採用するのも効果的です。
2つ目は、製造工程の無駄を削減し、効率を高める方法です。
例えば、作業手順の標準化や自動化設備の導入により、労働時間や人件費の削減を図ることが可能です。
3つ目は、エネルギーコストの削減に取り組む方法です。
工場のエネルギー使用量を見直し、効率的なエネルギー使用や省エネ対策を実施することで、コスト削減につながります。
製造業における粗利率を向上させるためには、生産・在庫管理の最適化によるコスト削減に取り組むことも重要です。
需要予測の精度を上げることで、生産量を最適化し、過剰生産や機会損失を防ぐことができます。
また、在庫を適正に保つことで、無駄な保管コストや在庫廃棄のリスクを低減できます。
過剰在庫は、保管コストや陳腐化リスクを引き上げて粗利率を低下させてしまうため、需要予測をもとに適正在庫を維持する必要があります。
さらに、在庫回転率を向上させることで無駄な在庫が減り、保管コストを削減できます。
製品の価格戦略を見直すことも、粗利率の改善に効果があります。
製品の付加価値を高め、価格を引き上げられるようにすることが重要です。
製品の付加価値を高める具体的な方法は2つあります。
1つ目は、製品の品質や機能、デザインなどで、他社製品との差別化を図ることです。
他社との違いを強調することで、価格を引き上げても顧客が購入する理由を提供できます。
2つ目は、ブランディングに取り組むことで、顧客に高い価値を感じてもらえるようにすることです。
ブランドに価値を感じてもらえれば、他社より高価格でも納得感を持って購入してもらいやすくなります。
中長期的な視点での粗利率改善には、設備への投資も必要です。
最新の製造設備の導入によって、生産効率を向上させ、人件費を抑制できます。また、省エネ設備の導入によって、エネルギーコストを削減することも可能です。
製造業における粗利率の改善には、人材教育も重要な要素となります。
技術教育の充実によって技術者の技能を向上させ、製品の品質向上や生産効率の改善につなげることができます。
また、原価意識を持つように教育し、技術者一人ひとりがコスト削減に取り組む風土を作ることも重要です。
粗利率を改善するためには、定期的な設備のメンテナンスも重要です。
機械の故障を未然に防ぎ、稼働停止時間(ダウンタイム)を減少させることで、生産効率を維持し、予期しない修理費用を削減できるからです。
これにより、品質安定やコスト管理が可能となり、結果的に粗利率の向上につながります。
関連記事:
>>設備の故障を未然に防ぐには予防保全が重要!メリットや他の保全方法との違いも解説
製品ミックスの見直しも粗利率の改善につながります。
高付加価値製品の割合を増やすことで、全体の粗利率を引き上げることが可能です。
具体的な取り組みとしては2つの方法が挙げられます。
1つ目は、製品ポートフォリオの見直しをすることです。
製品ポートフォリオを見直し、売上は高くても利益率の低い製品ではなく、粗利率の高い製品に注力することで、全体の粗利率を改善できます。
2つ目は、新製品を開発することです。
市場のニーズに応じた新製品を開発し、他社との差別化を図ることで、高い価格設定をして粗利率を向上させることができます。
サプライチェーン全体を見直すことで、コスト削減を実現し、粗利率の改善が可能です。
まず、仕入先の選定や交渉を通じて、原材料のコストを削減することが重要です。
複数のサプライヤーとの取引を行い、コスト面だけでなく品質や納期も含めた最適なサプライチェーンを構築することで、粗利率の向上が期待できます。
また、製品の輸送コストを削減するために、物流の最適化を図ることも重要です。
輸送手段やルートの見直し、共同配送の活用などにより、コストを削減して粗利率を改善できます。
この記事では、製造業の粗利率について基本的な理解から業種別の目安、そして改善方法を紹介しました。
粗利率を向上させるためには、製造コスト削減や生産効率向上、価格戦略の見直しなど、多方面からの取り組みが必要です。
ぜひ今回の内容を参考に、貴社の粗利率改善に取り組んでみてください。
小さな改善でも積み重ねていけば、企業全体の収益性や競争力の向上に大きな影響を及ぼします。
粗利率向上のための取り組みの1つとして紹介した設備の定期メンテナンスに課題をお持ちの企業さまは、ぜひ製造業に特化したクラウド型設備保全システム「MENTENA(メンテナ)」の導入をご検討ください。
MENTENAでは設備保全にかかるコストや稼働状況を可視化し、コスト削減に向けた取り組みをサポートします。
執筆者
MENTENA編集部
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